28話 父の危機
『緊急魔族警報!!緊急魔族警報!!!
神官都市『シリウス』に魔族の大規模な襲撃がありました!!
皆さん地下室に避難してください!!!!』
授業中ブーブーブーっと警戒音とともに館内放送が流れます。
「シリウスって結構遠くだよね?
それなのに避難しなきゃいけないってことは……」
リーチェが立ち上がり言いました。
「かなり大規模な襲撃です。
一匹二匹の話ではない。軍隊レベルの襲撃があったのだと思います。
シリウスが滅ぼされれば魔族の進行方向によってはここも襲撃対象になる可能性があります。
避難したほうがいいでしょう」
と、クライム君。すぐさま各自の護衛達が護衛対象の横に並びます。
「ちょっと待ってください。シリウスって……」
ジャンの護衛が顔を真っ青にしていいました。
「そうです。今各国の王族が集まっているはずです」と、セディス。
「「「えっ!?」」」
私、クライム君、ジャンの驚きの声が重なりました。
「そんな、会議が今日あるだなんて聞いてないっ!?」
ジャンがジャンの護衛に問い詰めれば
「秘密裏の会議です。開催日と開催場所はごく一部のものしか知りません」
「ではまさか……っ!!王族を狙ったって事か!???」
ジャンの問いに護衛はこくりと頷いた。
「なら助けに行こう!お前ら王族なんだろ?」
と、緊急魔族警報の警報音が鳴り響くなか言ったのはリカルドでした。
私たちの視線がリカルドに集まります。
「リカルドお前……」
クライム君が驚いた顔で言えば
「流石にわかるよー。三人がなんとなく偉い人だって。
話してくれないから知らないふりはしてたけど」
と、リーチェ。
「うん。護衛さん達の仕草が貴族特有だったから。今まで気づいた事言わなくてごめんね」
と、アリーシャ。まさかの貴族ばれは護衛君たちのせいだったらしいです。
私のせいじゃなかったのです。セーフです。
逆に言えば、隠してもいないのに私の仕草に貴族らしさの微塵もないという事実が若干頭をかすめましたが、私の場合スルースキルが高いので3歩歩けば忘れるのでセーフです。
しかし貴族と気づいててわからないふりをしていたアリーシャたちは本当にいい子だと思います。
平民としてちゃんと私を対等に友達として扱ってくれました。私の初フレンド達はいい子達ばかりでちょっと泣きそうになってしまっているのは気のせいです。
などと考えていれば、
「いえ、行っても邪魔なだけです。各王国のスペシャルナイトは貴方たちよりレベルも実戦経験も高い。
彼らが苦戦をするレベルなら、あなた達では邪魔になります。緊急事態ですから、はっきり申し上げますが、付け焼刃で数値上強くなっただけの子どもに参加されても迷惑なだけです。
今まで魔族を簡単に倒していたのはお嬢様がこっそりあなた達にバフをかけていたからです」
と、セディス。みんなの自信になるようにとこっそり強大なバフをかけていたのがばれていたようです。
こんな時にカミングアウトするのはやめていただきたいのですが。
「それに、かなりの数の襲撃となると、仲間を巻き込まないように魔術師は味方をマーキングしているはずです。
マーキングしていない者が乱入してしまっては、逆に大技を放てなくて邪魔となってしまいます」
と、今度はクライム君の護衛。
「一番の問題は今から私たちが行っても間に合うかどうかですが……。
学園の飛竜を借りても一日はかかります」
最後にジャンの護衛。
その時でした。
どぉぉぉん!!!
父が攻撃を受けた光景が脳裏に伝わってきました。はっきり。
「どうしたんだよセレス?」
と、リカルドが言いますがそれどころではありません。
0歳の時から家族に何かあるからいけないからと、危険な時には発動するように張った防御結界が発動したのです。
この感じは父の結界。
父に何かがあったに違いません。
「セディス!!!シリウスの座標を教えてください!!」
私が言えば、セディスが眉をひそめて
「え?」
「父に誰かが攻撃をしています!!少し行ってきます!!!」
「え!?行ってくるって、今の話聞いていました!?
飛竜にのっても間に合うかわかりません、それに陛下ならお強い。
多少の魔族くらいなら大丈夫です。襲撃も聖王国のスペシャルナイトが返り討ちにする可能性が……」
「私が父に張っておいた緊急用の結界が発動したのです!!
つまり、父自身では攻撃を防ぎきれないほどの魔族に攻撃を受けている事になります!!」
「なっ!?聖王ってセレスより強いんだろ!?」
「そうだよ!!それにっ!!そんなところに行ったらセレスちゃんだって危ないよ!!!」
そう言ってアリーシャが心配そうに手をとってくれました。
「シリウスは北緯 35°41′22″ 東経 139°41′30″です、どうするおつもりですか?セレスティア様」
と、クライムが聞いてきます。
「テレポートでさっと倒してきます。セディスは状況把握のために私に同行。
他の皆はここも何があるかわかりません、ここに残ってください。
もし魔族の残党がこちらに逃げて来た場合、倒すのを任せます」
「セレスちゃん!!!」
アリーシャが私の手をつかむ力を強めます。
「大丈夫です。こんな素敵な友達がいるのに死ぬわけがありません」
私がアリーシャにぎこちない笑みで微笑めば、アリーシャは一瞬すごく悲しそうな顔をして、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえました。
「……わかった、でもこれ」
そう言って渡しに自分のつけていたミサンガをつけてくれました。
「これは?」
「お守り。命が危険な時に守ってくれるってお婆ちゃんにもらったの。
……絶対だよ、絶対に戻ってきてね?」
声を振るわせてアリーシャが言ってくれました。
あ、やばいちょっとうるっとしてしまいました。
ちょっとだけ感動に浸ってもいいでしょうか。
友達のミサンガ。なんと甘美な響きでしょう。
「ちゃんと戻ってくる。5分で」
「約束だよっ!無理そうならちゃんと逃げてね!」
「はい。死んでも自動復活で復活する術はありますから心配しないでください」
私が涙目のアリーシャに微笑めば
「さっきからさらっとテレポートや自動リザレクションなどまるで普通の事のように披露しないでいただきたいのですが」
と、セディス。
「セレスティア様、父を、父を頼みます!」
と、クライム君やジャンが縋るように言うので私は微笑みました。
「大丈夫です。死んでても生き返らせられますから。
その場にいる者を複数復活できるので死んでても心配ありません」
後ろでセディスが、規格外だのなんだの言ってますが知りません。聞こえません。
友達を安心させる方が優先です。友達ですから。
「セレス様!!父を頼みます!!」
「お気を付けて!!」
「セレスちゃんなら余裕!頑張って!」
「おう!お前ならできる!!」
その場にいたみんなの声を聴きながら、私はテレポートを発動させました。
父に害をなすものは誰であろうと許しません!






