22話 もうやだこの人(இдஇ; ) byセディス
「ごめん。学校を辞めないといけなくなった」
次の日。教室でそう涙目で言ってきたのはリーチェでした。
「はぁ!?何言ってるんだよ!?」
一番仲のよかったリカルドが食って掛かります。
「そうだよ!リーチェちゃん、ここで強くなって、神官様のお薬を買うって言ってたのに!
諦めちゃうの!?」
と、アリーシャもリーチェの手をとりました。
ってなんですか、神官様のお薬を買うという新情報は。
私の知らない所で二人の間になにか会話があったのでしょうか。
羨ましいです。私もその輪に入りたいです。
「ごめんっ。私も辞めたくないの……でも、よく見ないで、契約しちゃって……」
えっぐえっぐと泣きながら、リーチェが差し出したのは一枚の契約書でした。
そこにあったのは写経のバイトの契約書です。
「写経のバイトくらいで学園を辞めるなんておかしくないですか?」
と、クライムが手に取り青ざめます。
「なんて書いてあるんだ?」
ジャンがクライムに聞けば、
「本日中に写経3000枚仕上げなければ、賠償金1億ゼニー、それが無理なら学園を辞めるようにかいてあります」
「なっ!?何でそんな契約をうけたんだ!?」
リカルドが問い詰めれば
「違うよ!私がサインしたときはちゃんと期限は一か月で写経20枚だった!
サインをした途端内容が変わったの!」
リーチェちゃんがそう言えば、クライムが目を細めて
「嫌がらせですね。私たちが人数不足で模擬戦に出られないように、リーチェの契約書に偽造まで施して、やめさせようとしているのでしょう。最低でも6人いなければ試合は出れません」
「そんな……もしかして、マーク達が昨日の腹いせに?」
アリーシャの顔が真っ青になります。
「偽造書は必ずどこかに証拠が残る。
裁判をやれば勝てるだろうけれど……裁判が終わるころには模擬戦は終わってしまっている。
これって決して破る事が許されない、高位の魔道契約書だろ?
なんでこんな強制力の強い、契約書にサインをしたいんだい?」
ジャンが聞けば、リーチェは涙目になりながら
「わ、私、バイトくらいでそんな強制力の強い契約書なんて使われるなんて思わなくて……ごめんよく確認してなかった」
と、俯いた。確かに、強制力の強い魔法での契約書は平民には手が出る値段ではないと聞き及びます。
たかがバイトの契約書にそんなのが使われるとは思わないでしょう。
「なら、俺たちが手伝おう!3000枚紙に書き写せばいいだけだろ!!」
「リーチェのバイトは魔法の効果を得るスクロールの写経です。
ただ書き写せばいいというわけではありません。
文字に魔力を込めるには一定の技術がいります。
リーチェは写経のスキルを所持している。私達では無理でしょう」
と、クライム君。
「それじゃあ、リーチェに辞めろっていうのかよ!?」
「そうは言っていません。僕だってこんな汚い不正で模擬戦に出れなくなるなんて嫌です!
ですが、今日中に魔法効果のあるスクロールを3000枚となると、MPとかかる時間を考えても1000人以上写経のスキル持ちをあつめなければなりません。
そんなことは王族でも無理です。
……どうしますかセレス様?」
と、クライム君がこちらを見ます。
恐らく、私達が王族であることを明かすかという事を聞いているのでしょう。
王族であることを明かせばこんな不正はすぐに却下できるでしょう。
ですが、それではあの陰湿マークを公衆の面前で公開処刑することができません。
あいつだけはお天と様が許しても私が許しません。
公衆の面前で公開処刑です。大恥をかかせてやります。
「写経スクロール3000枚など簡単な事です。私が昔作った魔道具があります」
「え?」
私の言葉にその場にいた一同の視線が集まります。
「そう、あれは遠い昔。私がまだ8歳だった頃……」
「8歳ってたった二年前……」と、リカルド
「父の役に立ちたくて、写経のスクロールがコピー出来れば便利と、おやつの時間に思いついたので開発しました」
「いや、そこで軽く言ってるけど、物凄く恐ろしい事言ってるの君理解してる?」とジャン。
「大体、魔道具は古代に作られたものを再利用する形で使われています。
コピー機ですら古代に開発したものを大事に使っている状態なのに、それを改造するなんて。我が国の魔道具師でもできません。
現代の技術では、文字盤に刻まれた法則性のない意味不明の羅列の文字を解読することすらできないと言うのに」
「あれは、法則性がないのではありません。マクロです。
作成者が自由に決めてマクロを組んでいるため法則性がないように見えているだけです。
そしてマクロの基盤となる根幹部分は厳重に封印し、見れる部分はCallでマクロ呼び出しているため法則性がないように見えるだけです」
「Call?マクロ?」
「はい、ルーチン……ある一文でその文字と数字だけ変えればいい、長いプログラムをマクロ化して、それを呼び出して、魔道具のプログラミングを書いています。
魔道具のプログラミングは複雑でマクロ化した方が楽だったのでしょう。
法則性がなかったのはルーチン化しているマクロの名前が作成した魔道具師たちによって違ったからでしょう。
文字盤に刻まれている、プログラミングはあくまでもマクロ名で作られた簡単な部分です。
おそらく、持ち主変更などの場合にすぐ書き換えられるようにそこだけロックの簡単な文字盤に刻んだのでしょう。
どの魔道具もルーチン化したマクロ本体は、複製されないように特殊技法でかくしていました。それ故詳しくない人には解明できなかったのだと思います」
私が説明をすれば。
「何を言ってるかよくわからない!」
「うん、古代語かなにかか?」
「よくわからないけどセレスちゃんは凄いね!」
リーチェと、リカルドと、アリーシャが言い
「セェェェレェッェエスさまぁぁぁぁぁ」
なぜか隠れてたはずのセディスが出てきて私の肩をわっさわっさと揺さぶりました。
「何さらっと500年魔導士たちが研究に研究を重ねても解けなかった事実を、ちょっとそこらへんに散歩行ってくるのノリで披露しちゃってるんですか!?
え?わかっています?それどれ程凄い事かわかっていってます?
何で他国の人の前で披露しちゃってるんですっ!?
何ですぐに報告しなかったんですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
と、涙目になっていってきます。
え?すみません。そんなに凄い事だったのでしょうか?
転生前の記憶のプログラム知識さえあれば簡単にわかる事だったのでよくファンタジーとかである秘密結社とか極秘機関では知っているのかと思っていました。
「あれ。セレスちゃんのお家の執事のセディスさん何でここにいるんですか?」
と、アリーシャに突っ込まれてセディスがハッと我に返るのでした。






