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一緒にいる為に必要なこと。

「一応魔物を使役する冒険者もいることはいるから登録することになるのよ。登録しておかないと他の冒険者に討伐されても文句が言えないのよ。」

 スターダストドラゴンとかいうカッケェー名前だと判明した小龍。俺に対して敵意はないようなのでお供にするのだがその為には登録が必要らしい。


「必要なのは、名前と登録料なのよ。それと、もしその魔物が他人を傷つけたり物を壊した時は所有者が責任を負うのよ。」


「…だ、大丈夫だよな?。」

 シャーリーの言葉に不安になる俺。今はまだ小型犬ぐらいのサイズだけどこれからデカくなったら気性が荒くなったりしないだろうか?。シングルファザー?なので情操教育がきちんと出来るか不安である。


「…その懐き方をみている限りある程度は大丈夫だと思うが…。クラヒトがしっかりと向き合うことが大事だぞ。因みに私は使役していた魔物に裏切られて喰いちぎられた冒険者を見たことがある。」


「今それを言う必要ある?。」

 一瞬上げてその直後凄い下げられた。


「…あくまで可能性の話だ。信頼関係を築くことが出来なければそうなる。それは人も魔物も一緒ということだ。」


「…ん、…肝に銘じることにする。…で登録だっけ?。それってどこでやればいい?。」


「冒険者ギルドで出来るのよ。普通は申請してから少し時間がかかるけどアリアちゃんとの連名なら仮許可が下りるのよ。それでも駄目なら…その子が魔翠玉から生まれた伝説の王龍種だと正直に言ってやればいいのよ。そうしたらすぐに王城から使者が飛んでくるのよ。」

 途中からシャーリーの黒い部分が出たな。んー、正直に話すと面倒な事になる可能性があるんだよな。いつかは話さないと駄目なんだろうけど明日からダンジョンに行くから今日はサクッと許可をとりたい。


「なんならサクスベルク家が後ろ盾になっても構いませんよ?。その可愛らしい子が悪さをするとは考えられませんし。」

 マーベルさんがそう提案してくれる。


「…あ、あれを使うか?。かなり権力寄りだけど…王城に呼ばれるよりはましか。」

 俺はある事を思い出し鞄の中を探る。そして取り出したのはホーベンス家の家紋が刻まれた扇子だ。この前セレナちゃんから貰ったこの扇子は所有者をホーベンスが支援していることの証になるらしい。流石に侯爵家の後押しが有れば仮許可ぐらい下りるだろう。


「サクスベルク家とホーベンス家の後押しがあれば絶対に大丈夫なのよ。あとは…種族名だけど…スターダストドラゴンは隠しておくのよ?。」


「うん、取り敢えずね。帰ってきたらエルマさんとかローゼリア様に相談してみる。」

 あの2人は信頼出来るはず。魔翠玉のことも知っているので話がしやすい。


「なら…種族はカーストドラゴンにしておけ。Bランク相当だがまだ子供だと言えば問題ないはずだ。以前使役している者を見たことがある。」


「ん、オッケー。そんであとは…」


「登録料が金貨5枚なのよ。」


「結構するな。俺が普通にDランクだったら払えないぞ。」

 まぁ、俺には魔族を撃退した時にローゼリア様から貰った金貨があるし、ランクもCに上がったから問題はないけど。


「その額を払えない者には魔物を使役する権利がないと言うことだ。管理や世話にも金が必要になってくるからな。」

 なるほどね、日本ではそこまで支払わなくて済むから無責任に買って飼えずに捨てたりする輩がいるわけだが、ここは違うようだ。


「クラヒトは順調にランクを上げてるから問題ないのよ。Cランクになれば一回の依頼で金貨になることもあるのよ。ちゃんと依頼さえこなしていれば大丈夫なのよ。」


「…最後にこいつの名前か。…よっと…」

 シャーリーのお墨付きを貰ったところで最後の難題である。この小龍に名前をつけないといけない。登録する時に必要なのだ。しっかりと見たことが無かったので膝の上に伏せている小龍を抱き上げる。逃げられるかな、と思ったが大人しく抱っこされる。


「…想像より軽いな。」

 目の高さまで持ち上げても重さはそこまで感じない。…それにしても真っ白だ。それにプニプニである。鱗があるのはあるのだが硬さはなく、そんなので外敵から身を守れるのか不安になる。


『……クウ…』

 俺の心配を感じ取ったのか小龍は一つ鳴き声を上げると姿を消した。そしてマーベルさんの足元に出現していた。


「…なるほどね。攻撃されても影に潜るから心配ないのか。」

 持ち上げた時に出来た自分の影に飛び込んだようだ。攻撃される時は大概の場合自分の影が足元にあるだろうし攻撃してきている敵の影も有るだろうから回避には困らないようだ。


「あらあら、少しは私のことを信用してくれているのかしら?。」

 小龍が足元に出現したマーベルさんは嬉しそうだ。小龍がマーベルさんを選んだ理由は自分を擁護してくれていたのが分かったから、…それとこの中で一番強いからかな?。


「んー、カゲマロ、カゲヒコ……そもそも性別ってあるのか?。」

 影から連想して名前を考えるが思い浮かぶのは男性名だけだ。


「…いや、よく分からない。」


「私もなのよ。龍種はそこまで出回らないし…この子のことなんて記述しかないのよ。」

 困った。名付けはその子の一生を決める。ここで失敗するとその後グレてしまうかもしれない。


「あら、この子は女の子よ?。」


「え、…母上どうして…」


「一目見たときから女の子だと思っていたわ。」

 何そのスキル。これが3人の子供を育てた母親の力なのだろうか。


「じゃあ影って入れるのはやめといた方がいいかな。んー、……………」

 悩むがアイデアすら出てこなくなった。男だと思っていた時はスラスラ出てきたのに。


「…白雪。…シラユキはどうだ?。お前のその白い肌に因んだ名前だ。」

 なんとか一つの名前を捻り出す。女の子の名前を考えるのがこんなに難しいとは。これが拒否されたら俺にはもう考える力は残っていない。


『…………クウ…』

 小龍は暫く俺の顔をじっと見つめていたが突然マーベルさんの足元から俺の手の上に転移する。


「おわっ⁉︎。…え、…なんか出た!。」

 小龍が俺の手の上から退くと俺の中指にリングがはめられていた。真っ白のリングだ。


「…えーと、認めてくれたってこと?。」

 そのリングを撫でながら小龍に尋ねると頷いてくれた。…なんか普通に嬉しいな。これが親の気持ち。


「よしっ!シラユキ、登録にいくぞ!。お前は俺の家族だ!。」

 こうして玉地家一人娘が加入した。

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