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アリアさんは貴族

 金の成る木とかいう宿に軟禁されて3日が過ぎた。俺はゴードンの言いつけ通り宿で大人しくしている。まぁ暇っちゃ暇だが三食昼寝付きアンドベッドなら悪くないと思う。あともう一つ収穫があった。


「ねぇねぇ、アリアさん、もう警戒とかしてないよね。」

 俺の目の前では優雅に晩酌をするアリアさん。赤いワインのような物をチーズのような物を肴に楽しんでいる。


「…図らずもお前がほぼ無力ということが判明したからな。今までの警戒は一体何だったのか。その分楽しむことは許される筈だ。」

 そうなのだ、暇に耐えかねてアリアさんに腕相撲を申し込み俺の右手は砕けた。比喩ではなく本当に骨折しておりびっくりした。あ、そうそうこの世界には回復魔法もあった。なんかバキバキいいながら骨が元通りになった時は吐きそうになった。その件で俺が一般人に少し劣るぐらいの身体能力しか無いと判明。現在に至る。


「…アリアさんって強いんですよね。その割に武器とか持ってなくないですか?。まさか拳が私の武器だ!系ですか?。暴力ヒロイン系ですか?。それは大衆受けは良くないですよ。」


「…暴力ヒロ…何を言ってるのかは分からんが私は拳闘士ではないぞ。主に魔法を使う。武器もその時に魔法で創り出すのだ。まぁ魔法剣士という奴だな。そもそも強くなればそのような括りは無意味になる。どれも高水準でなければならないからな。」

 アリアさんは質問にしっかり応えてくれる。どうやら久しぶりのアルコールで上機嫌のようだ。このままもう少し込み入った話も出来そうある。


「アリアさんって髪綺麗ですけど貴族なんですか?。」

 昔何かの本で読んだことがある。髪の毛の艶は裕福かどうかを判断する材料になるらしい。髪の毛の手当てにはシンプルに金がかかるし手間もかかるから平民にかなり厳しいらしい。アリアさんの光沢のある長い茶髪は恐らく相当な金がかかっている筈だ。


「ん?あぁ、そうだ。私はこの国の伯爵家の次女だ。サクスベルクの名前で分からないか?。」

 やっぱり貴族だった。…ならなんで冒険者なんてやってるんだろ。危ないし怪我することも多いと思うけど。


「…私は自由が好きだからな。そもそも上には兄と姉がいる。爵位も継げないのに家にいてもどこからの家に嫁に出されるだけだ。それならこの身1つで立身出世が可能な冒険者にと思ったのだ。幸い才能があったのかここまではこれた。」


「…成る程。…努力したんですね。」


「…あぁ、そうだ。とても…努力…し……て……。」

 アリアさんの呂律がおかしい。というより寝入ってしまった。流石に無防備過ぎると思うが勿論俺が手を出すことはない。そんな度胸ないしそもそも寝ていても自動で迎撃が可能と言う話を聞いたことがある。一流冒険者怖い。


「…いつまで待てばいいんだろ。俺の冒険はいつ始まりますかぁー。」

 そろそろ飽きてきた今日この頃です。










「おい!喜べ。遂に王都から王族の方がいらっしゃったぞ!。これでこの任務から解放される。体が鈍って仕方なかった。」

 遂に王族が来たらしい。喜べと言ってるけど喜んでいるのはアリアさんだけだ。俺としては退屈は終わるが結果によっては命が終わる可能性もあるので中々緊張が凄い。


「…えーと、どうすれば良いんですかね。ここの部屋でいいんですか?。」

 王族の前に出るような服は持ってない。それで非礼で打ち首とかなったら笑えないぞ。


「案ずるな。王家の方々はそこまで狭量ではない。それにある程度の事情はゴードン殿が報告されている筈だ。」


「…緊張するなぁ。…どんな人が来たか知ってますか?。男?女?。」


「ん、いや詳しくは聞いていないが…恐らく王女様だと思う。3人いるうちのどなたかは分からんがな。」

 王女様か…。パターンとしては美人だけど性格が悪いってのが多いよな。でも狭量ではないって言ってたし…ん?。


「アリアさん、王女様に会ったことあるの?。」


「勿論だ。この前も言ったが私も貴族の端くれ。それに第二、第三王女と歳も同じだ。それなりに近しくさせて貰った。まぁ昔の話だがな。」


「第二王女と第三王女と同じ歳ってことは…」


「そうだ、双子なんだよ。双華と呼ばれる…って本当に知らないのか?。これは平民でも広く認知されていると思っていたのだが。」

 …ここまでアリアさんとはある程度仲良くなったつもりだがまだ本当のことを言うのはやばい気がする。…しらばっくれるか。


「…俺は頭が悪いんで。」


「話している限りそんな印象は受けなかったが…まぁいい。同行している司祭に見てもらえば全てわかる。…死罪にならないように祈ってる。」

 やっぱり死刑の可能性はあるのか。


『コンコン。』

 俺の運命を握る時が始まる。

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