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人の縁は大事にしないといけない。

「…あ、またここか。って事は俺はまだ生きてるって事だな。」

 気がついたら俺は白い空間にいた。もはやお馴染みですらある。取り敢えずここに来れたという事は死んでいないということだ。中々の怪我を負っていたしな何より街からも離れていたから今回はヤバいと思ったがなんとかなったようだ。


「…あ、そうだ。…日輪の確認しておくか。」

 頭の中に六芒星を思い浮かべる。日輪…、この力は確実に俺の手札で最強になるだろう。だが…


(…使用条件付きか。ま、当然だな。)

 日輪の発動には条件があるようだ。今まで見えてなかったのだが、それぞれの能力に鎖が巻かれているのが見える。天癒には一本、大虎にも一本、造匠と神速にはない。そして日輪には二本、鎖が巻きついている。


(…天癒は自然の力の徴収。…大虎は…敵の力が強いとかだな。)

 これまでの経験を元に使用条件を推察する。まぁ、天癒の使用条件はこの世界からどこにいても問題なくクリア出来る。少し効果が弱くなるけど。大虎は敵次第だし基準が曖昧だから厄介だ。


(…でだ、…この日輪は二本。…一つは想像つくな。太陽が出ていること。…太陽でいいのか?。まぁ、いいか。…根本的に陽の光を集めているわけだから出てないと使えないはずだ。…もう一つは不明だな。)

 俺は深く考えるのはやめて六芒星を回す。あと一つの能力。まだ名前も分からない能力に思いを馳せる。


「…このパターンでいくと残り一つの頂点の能力は条件じゃなくて代償系か。そっちの方が使い勝手が良いけどな。」

 神速と造匠は使用に条件はない。ただ神速は発動が長すぎると俺自身の肺が壊れるし造匠は強さと維持時間が反比例するという代償がある。いつでも使える分代償があるのだ。でも俺的にはそっちの方が良いと思っている。使えなくて死ぬより使って代償を払う方が良い気がする。


「…お、来たな…。さて…俺はどうなっているか…」

 何度も味わったことのある感覚が襲ってくる。目が覚める感覚だ。俺はその感覚に身を任せて目を閉じた。





「…あれ、…ここは…アリアさんの家か。」

 目を覚ました俺は見覚えのある景色を目にする。というか俺が借りているアリアさんの家の部屋だった。


「…体には。痛みはないな。もう治してくれているのか。」

 念の為にそっと体を起こすが痛みはない。結構抉られたと思ったんだが既に治されていた。


「…あのレベルの怪我だとかなり治すのは難しいだろう。…結構お金かかったかな。今回は赤字かもしれない。」

 怪我が深刻になる程それを治療できる治癒師の数は減る。当然依頼料は高くなる。あのレベルの怪我を完治させるにはいくらかかったのか。確実に赤字だと思う。


「…いや、でもなんかでっかいの倒したし。あの魔族だって…。…うーんどうなんだ?。」

 いかんせん相場が分からない。


「…あ、クラヒト、目を覚ましたのよ!。」

 部屋にシャーリーが入ってくる。その手にはカットされた果物が乗ったお盆を持っている。どうやら俺の為に用意してくれたようだ。…それとシャーリーの後ろにはセレナちゃんがいる。どうかしたんだろうか。…まさか!病気が再発したのか⁉︎。


「クラヒトは怪我による出血と魔力の欠乏で意識を失っていたのよ。何とかこの街に帰ってきた時には結構危なかったのよ。だから…セレナちゃんに頼ったのよ。」

 シャーリーの説明によると王都に着いた時には既に結構やばくてそれから治癒師を探す時間はないと判断したらしい。だからシャーリーと俺が持つ繋がりのなかで最も無理が効きそうなホーベンス家を頼ったようだ。サクスベルク家じゃなかったのはホーベンス家がセレナちゃんの治療の為に治癒師に詳しくなっていると考えたかららしい。シャーリーの話を聞いたセレナちゃんは大急ぎでカリヤさんに連絡。そして腕利きの治癒師が派遣されたそうだ。


「…そっか…。…それならちゃんと礼を言わないといけないな。」


「我が家への礼は必要ありません。クラヒト様が私にしてくれた行為に比べれば全然なのですから。…お礼はシャーリーさんに言ったほうがよろしいかと。」

 セレナちゃんがそんな事を言うとシャーリーがワタワタし始めた。どうしたんだろうか。


「シャーリーさんはクラヒト様を担いで王都までの道程を帰ってきたのです。担当した治癒師の話ですとシャーリーさんも全身の筋肉が極度の疲労状態になっていたそうです。」

 考えてみればそうだ。シャーリーは俺が気を失ったあと、歩きで片道4時間の道を俺を担いで連れ帰ってくれたんだよな。道中には魔物もいたのに。


「じゃあ、2人ともありがとうだ。俺には感謝の言葉を伝えることしか出来ないけどそれぐらいはさせてくれよ。」


「…べ、別に良いのよ。あんたは頑張ったんだから私がそれを返すのは当然なのよ。」


「うふふ、…また何かありましたら遠慮なくお声掛け下さい。私たちはクラヒト様の為なら何でも全力で取り組ませていただきますので。」


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