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集められたAランク、特記現る。

ブックマーク20件に到達しました。評価の方もしていただけているようで嬉しい限りです。これからも週二回更新を継続できるよう頑張ります。

「すぐに使えそうな魔法は何かないのか?。そんな先の話をしても意味ないだろ。」

 シャーリーが話してくれていたのはかなり高難易度の魔法だった。今まで魔法を使ったことのない俺には到底無理な話だ。


「そうだったのよ。受付だった頃の癖で最終目標を先に言ってしまったのよ。闇属性の…初歩は…『ブラインド』と[サークル』なのよ。」


「『ブラインド』は敵の顔に闇を張り付けて一時的に視界を奪う魔法なのよ。だけど相手が格上だとすぐに剥がされてしまうのよ。奇襲用の魔法なのよ。」


「『サークル』は自分の周囲の決めた範囲で地面に触れたものを感知する魔法なのよ。その範囲は使い手の習熟度に比例するのよ。」


「ブラインドは奇襲用か。…それと逃走用かな。一瞬でも視界が無くなるのは精神的にも負担になるだろうし。連続で使えるかどうかで使い方が結構変わってくるな。サークルは索敵魔法、…待ち伏せとかに有効だな。…サークルからのブラインドならかなりの確率で成功する奇襲が出来そうだ。」

 問題点はその奇襲をする俺が敵の不意をついても倒せない可能性があることくらいか。…いや、大問題だろ。


「…なんかもっと…こー、直接的な魔法ない?。」


「…んー、闇属性で直接的な魔法だと…『影手』があるけど…少し難しいのよ。そもそも闇魔法は存在が固定されてないから固定された物や具体的な物にするのが難しいのよ。」

 影手、多分名前的に影の手を操る的な魔法だろう。それさえ使えれば実質腕が増えて攻撃力が上がるはずなのに。


「…結局俺自身が強くなるしかないのか。」


「そうなのよ。クラヒトのスキルと闇属性魔法は倍率なのよ。掛けられる素の数字が大きければそれだけ強くなるのよ。だからしっかり頑張るのよ。」


「…だよねぇ。」

 頼みの綱も今すぐには使い物にならないことが判明した。これからも地道に頑張っていくとしようか。


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 所変わって王城の大広間。そこには数十人の男女が集められていた。みなそれぞれが独特の雰囲気を持つなかアリアは壁を背に今回の召集について考えていた。そこに顔馴染みのジゼルが話しかけてくる。


「…あ、アリア!あんたも呼ばれたのねって当然か。今王都にいるAランク以上の冒険者は全員招集だもんね。」


「あぁ、ジゼル。ん?…今日はイベルカはいないのか?。彼なら実力的に問題ないと思うのだが…」


「イベルカはこういう召集とかが嫌いなのよ。だからAランクに上がらないんだし。」


「そうか、そういえばそう言っていたな。いやはや今の時代にそこまでの生き方を貫き通せる武人は中々いないぞ。…是非手合わせ願いたい。」


「アリアじゃ無理よ。イベルカの対個人戦闘はSランクに匹敵するんだから。」


「分かっている。だが……おっと、この気配…嵐鬼か?。」

 今日ここにいないジゼルの前衛イベルカについて話していると大広間の中に更に異様な存在感で満ちるのをアリアが感じ取った。


「………………つまらないわ。」

 顔全体を覆うローブを纏った1人の人物。声から女性だと分かるがそれ以外が全て謎の人物。だがその場にいる者たちはそれだけでその人物が誰か見当をつけていた。嵐鬼と呼ばれる特記戦力だった。史上最速で特記に選ばれそれによって史上最速でAランクになった女。その期間僅か3日。次代の最強候補の一角である。


「おい、嵐鬼。お前、顔を見せろよ。ここは王城だ。最低限のマナーがあって然るべき場所だぞ。」


「……私に言ってるの?。」

 一切顔を見せずただ立っている嵐鬼に1人の冒険者が顔を見せるように告げる。この王城では顔を隠す物の着用は認められておらず嵐鬼以外の全員が顔を晒している。嵐鬼は自分に話しかけられていると分かっていなかった。


「そうに決まってるだろ!。貴族である俺もここではマスクを外す。」


「……つまらないわ。…死ねば良いのに。」

 嵐鬼に再びローブを顔から除けるように告げる男に対して突如嵐鬼の存在感が膨れ上がる。その場にいた全員が即座に戦闘態勢に移行して嵐鬼の行動を見守る。


「…っ、お前!王城で戦闘意識を見せるだと?。無礼にも程があるぞ!。この『炎鎌』のコレットが貴様に礼儀を教えてやる!。」

 嵐鬼の言葉に業を煮やした男は二つ名を名乗り背中に背負う鎌を構える。その鎌には炎が宿りメラメラと燃えていた。


「……やっぱりつまらないわ。…なんでそんなに弱いの?。」

 嵐鬼の声自体は小さいのに何故か内容はこの場の全員に聞こえていた。明らかな挑発ともとれる発言。それまで中立の立場だったその場の冒険者達も嵐鬼に腹を立てる。


「…あらあら殺気が充満してるわ。……少し面白い。」

 それでも嵐鬼の口調は変わらない。どこか超然としながらも馬鹿にしたような口調で言葉を紡ぐ。


「…貴様…、…この状況でまだ減らず口を…」


「ねぇ、いつまで口だけなの?。その鎌は…飾り?。」


「…っ、…くたばれ!。」

 ついに我慢の限界に達した男が鎌を振り下ろす。


「………つまらないわ。蟻が一匹で人に勝てると思うの?。」

 男の鎌は嵐鬼に届くことはなかった。男の全身を突然現れた樹木が縛り付けているのだ。


「…な、なんだ、これは…このクソ。燃やしてやる。」

 男は全身に炎を纏い樹木を燃やそうとする。だが樹木は燃えるどころかどんどんと太くなり男の全身を硬く縛っていく。


「…がぅ……俺の…炎が…………や、…やめて……助け………………」

 ついに男の顔まで到達した樹木は枝に大輪の花を咲かせる。


「………つまらないわ。」

 嵐鬼は同じ言葉わや繰り返す。まるで何事もなかったかのように。

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