表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/136

便利そうな闇魔法、だけどいつ使えるかな?

「お腹も膨れたところでクラヒトの魔法について話しておくのよ。多分今からやってもすぐには使えるようにならないけど明日からの依頼の最中でも意識するといいのよ。」

 朝昼兼用のご飯を食べてひと心地ついた俺はシャーリーが借りている部屋に案内された。因みに今日一度も姿を見ていないアリアさんは王城に行っているらしい。流石Aランクの冒険者。


「確か属性は闇だったな。…まぁ俺にお似合いの属性って感じがするか。」

 闇じゃなくて病みだったりしてな。日本にいた時は友達とかはいなかったし別に一人でいることも苦に思ってなかった。高校の時も案外どのグループにも属さずにいることは可能だった。ユーティリティープレイヤーみたいな?。彼女は欲しかったけど。


「クラヒトにぴったりの属性なのよ。」

 どうやらシャーリーも俺には闇が相応しいと思っていたらしい。口に出されるとキツイな。お前はぼっちの陰キャラだと宣告されているみたいだ。


「…だよね、俺みたいなぼっちの最適だよね。」


「…?クラヒトは何を言ってるのよ?。闇属性は持っている人が少ない希少属性の一つなのよ。そして…翻倒の可能性も持つ深慮の属性と呼ばれているのよ。」

 俺の言葉にシャーリーが首を傾げる。なんだ?…また何か言葉のすれ違いが起こっている気がする。…えーと、そうか、この世界では闇=陰キャラみたいな図式はない。俺の勝手な被害妄想か。


「…えーと、翻倒って、…どういう意味?。」

 俺の勝手な誤解が解けたところで意味の分からなかった単語を聞いてみる。聞くのは一時の恥、聞かぬは一生の恥。俺は分からないことはバンバン聞いていくぜ。


「全てを逆さまにする、入れ換えるという意味なのよ。闇属性の魔法は単体での威力は基本属性に劣るのよ。でもその多様性と応用性故に使い手依存の属性と言われているのよ。弱き知恵者を覇者に変え、傲慢な強者を敗者に変える。そんな属性なのよ。」

 えー、ややこしい。俺としてはもっとシンプルに使える属性の方が良かった。なんかまた尖った属性じゃないか。これはあれか?前世では尖った行動をしていなかったからとかあるのか?。


「使いにくそー、…そういえば、シャーリーは何で闇属性が俺にぴったりだと思ったの?。」


「クラヒトは自分で気付いてないかも知れないけど依頼の途中でも常に工夫をしているのよ。普通冒険者は慣れてくると作業のように魔物の討伐を行うのよ。」

 俺の質問にシャーリーが答える。俺の場合は日々工夫していかないと予期せぬ事態があった時に使う余力が無くなると思ったからなんだよな。


「まぁ、必要に駆られてって感じだけどな。…それで?闇属性の魔法で有名なのは何がある?。」


「有名な魔法だと『影の倉庫』、『闇の遠吠』、

『深淵の羽織』なんかが有名なのよ。どれも抜群の効果なのよ。」

 いや、名前だけ言われても分かんないっす。と思っているとシャーリーが魔法の説明を始めてくれた。流石シャーリー、俺のこと分かってるぅ。


「『影の倉庫』は自分の影に物を仕舞う魔法なのよ。長い期間になる依頼でも荷物を影に仕舞えるからサポートとして最高なのよ。影に収納できる質量は使用者の体重と同じ重さまでなのよ。あと、入れる時は影を入り口にするから影より大きい物は入らないのよ。」

 うむうむ、…めっちゃ便利やん。思わず関西弁になってしまう。俺の体重が75キロ…こっちの世界に来て筋トレの成果か増えました、だから結構色々入る。それに…


「入れる時の影の大きさも夕方を選べばある程度は解決しそうだな。…武器を入れておくのもいいかもしれない。戦闘中でも影から武器を出せれば奇襲になる。入れる時に勢いよく入れたら出る時はどうなるんだ?。影の中に魔法を仕舞うことが出来れば砲台にもなれるな。」


「……そう、それなのよ。能力の本質と活用法をこの一瞬で考えられるのがクラヒトの良いところなのよ。とりあえず次いくのよ。『闇の遠吠』は闇の波状攻撃なのよ。自分が発した音に闇の力を乗せて使うのよ。闇に囚われた敵は五感を失うのよ。」

 次の魔法は戦闘におけるデバフの魔法のようだ。音に乗せるっていうのが良いな。だって…


「音は効果範囲が円型だ。全方位に死角なく魔法の効果をぶつけられる。初見で防ぐことはほぼほぼ無理だろうな。いや、見た後でも無理か。だって音の速度は時速で1200㎞、秒速331+αだ。音速は誰にも防げない。…防ごうと思えば耳を封じるしかない。それでも聴覚を失うことになる。」

 問題があるとすればフレンドリーファイヤが起こり得ることか。対象外だけ、しっかり決めれたら文句ないな。


「…クラヒト、音について詳しいのよ。後で詳しく教えて欲しいのよ。」


「最後の『深淵の羽織』は闇のマントを生成する魔法なのよ。羽織に触れた物は全て飲み込まれるのよ。言うならば闇属性の絶対防御なのよ。」

 …はい、強い。つまり敵からの攻撃を全て吸収すると言うことだ。無敵…かと思うけど…


「絶対じゃないな。…まず羽織にしかならないならその羽織が捲られればあとは生身だ。風の魔法とかで剥がされる可能性がある。あと、飲み込むときの条件が気になる。羽織より大きな物はどうなるのか。あと衝撃もどうなるのかだな。飲み込めても衝撃が伝わったら俺なら死ぬ可能性がある。だから…常備じゃなく緊急防御用が最適だと思う。あと攻撃用な。」

 シャーリーが紹介してくれた闇魔法は思ったより使えそうな魔法だった。ただ、


「…で、今言った魔法達を俺が使えるのはいつになるのかな?。」


「が、頑張れば何とかなるのよ。」

 まだまだ先は長そうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ