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魔法を使うために、色々手に入れた。

「クラヒト君、君は魔法を使えるようになるわ。」

 ソアラさんの言葉に俺の心臓が跳ね上がる。


「…え、…でも魔力が殆ど流れないって。」


「それはそうね、因みに今使える魔法って何がある?。使えることは使えるんでしょう?魔力回路に使用した形跡があるから。」

 そんなことまでわかるのか。


「えーと、サンライト、サイレンス、ソフトです。」


「干渉系魔法だけね。まぁ今のままならそれが限界だと思うわ。」


「君の体には所々に魔力の流れを抑える弁があるのよ。極稀に生まれるタイプなのだけどそのタイプは先天的に強力な魔法系スキルを持っている可能性があるの。多分そのスキルの使用を生まれながらに抑える為にね。」


「使用を抑えるって…」

 言ってる意味が分からない。生まれながらに持ってモノを体が拒否してるみたいだ。


「自分の体を守るためね。体の中の弁は体の成長と共に緩くなり成熟して更に魔法を使い慣れると外れるようになっているの。でもクラヒト君の場合まだ全然緩くなってないの。」

 …多分俺が異世界から転移してきたからだな。だから突然体の中に出来た弁がまだまだ頑張ってくれちゃっているんだろう。


「でも冒険者をやってるのよね。…だったら魔法使えた方がいいよね。多分素質的には属性魔法も使えると思うわ。」


「すぐに使えるようになる方法があるんですか?。」

 もしあるなら是非ともお願いしたい。俺とシャーリーのパーティーでは近接に寄りすぎている。耐物理の敵と遭遇した時逃げるぐらいの魔法は使えるようになりたい。


「えぇ、あるわよ。」


「姉上!そんなの私も聞いたことありません!。一体何を…」


「ん?…んー、今クラヒト君の体の弁は硬くしまってるのよね。だけどそれは使っていけば緩むモノ。なら一気に魔力を流せば絶対に緩むと思わない?。」

 んー、強引。力技の極み。だけど前にアリアさんに調べてもらった時にやったこととどう違うのだろうか。


「無理やり他人に流す?。そんなの既にやっています。それでもクラヒトに変化はありませんでした。」


「それはアリアの力不足よ。あなたは万能型。お兄様より魔法が出来て私より格闘が出来る。だけど…魔法では私の方がずっと上。…どう?クラヒト君。君の覚悟次第だけど。」

 成る程サクスベルク家の相関図が垣間見える。アリアさんが万能型でクルトさんが近接特化、ソアラさんが魔法特化。いやいや、気にすることはそこじゃない。覚悟とは。


「…覚悟って…えーとどういう意味なんですか?。」


「あくまで可能性の話だが無理やりに弁を開く行為には痛みを伴う可能性がある。」


「どれくらいか想像はつかないのですか?。クラヒトはそこまで痛みに強いとは言い難いのですが。」


「そうだね、多分回路の太さに比例すると思う。」

 おや?この展開、何故か2度目な気がする。…いつだったかな。


「…どうするんだ?クラヒト。が怖いならやめといていいんだぞ。」


「私としてはクラヒトが魔法を使える方がいいのよ。このままの2人ではどうしても受けられる依頼が偏るのよ。私は魔法を使えるようになることはないのよ。でもクラヒトが痛いのが嫌なら今回は辞めとくのよ。ゆっくりでもいいのよ。」

 俺が記憶を呼び起こそうとしているとアリアさんとシャーリーが心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。2人の中で俺はどれだけ痛みに弱いのだろう。まぁ実際痛いのは嫌だけど。


「それじゃあやってみようかな。」


「うん、いい度胸ね。…それじゃあこっちの椅子に座ってくれる?。」

 ソアラさんに呼ばれて1人掛けの椅子に腰掛ける。…緊張するな。


「それでは今から私の魔力を流していくわ。一気に多量の魔力を流すので酔うかもしれないが我慢してね。…いくわよ。」

 俺の頭に手を添えたソアラさん。その手が暖かくなる。その瞬間頭にガツンとした衝撃が走る。


「…ぐっ……これは確かに…視界が…」

 頭の中がグワングワン揺れる。目の前が回って見える。目を閉じておこう。


「さぁ、それじゃあ本番よ。一気に流していくわ。」

 頭から全身に何かが流れていく。どんどん下がっていくんだけど途中で確かに何かが引っかかっている感覚がある。これがソアラさんが言っていた弁なのだろうか。


「…痛…いたたた!。」

 痛みが来ましたよ!。そして思い出した!。さっきこの展開どこかであったなと思ったらコーラルであったんだ。ラスターさんの魔法を受けた時になったやつ!。


「あら、回路がかなり太い。それに…弁がかなり強固ね。これだけの制限を加えていたとすると…クラヒト君のスキルの中の魔法系の威力は尋常ではないわね。」

 ソアラさんが何か言ってるけど今の俺には関係ない。必死に歯を噛みしめ我慢する。な、なんとか耐えられそうだ。気絶するのは避けたい。


「…ん、…これはかなり頑固ね。だけど私を誰だと思っているの?。ソアラ・サクスベルクよ。」

 更に体を駆け回る魔力が増大する。そして体の中からミシミシと音がする。


「…がっ…ぐっ…!。……、…」

 頭の中に六芒星が浮かぶ。命の危機だからだろうか。…いや、違う。この感覚は…あの時と同じ。大虎を発現した時と。六芒星の中で大虎の隣、天癒の正面の頂点に文字が浮かび上がる。 


『日輪』

 まだ名前だけしか分からない。黒くなっているから発動出来ないようだ。


「…ふぅ、…終わりだ。回路が繋がった。これで君も魔法が使える。君の属性を教えておこうか。」


「君の属性は闇。一癖あるが使いこなせば多勢を相手にも、強者を相手にも出来る変幻自在の属性よ。」

 俺はこの日2つの武器を手に入れた。

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