転生先はアースハイド。…ちょっと危ないっぽい
「…何とかなったな。これで次の俺は安泰だろ。それにしても魔法があるファンタジーな世界か。どんなんだろうなぁ。」
とかなんとか考えながら面接会場を後にする俺。解放された感がハンパない。だが浮かれるな、前の世界ではその勢いのままに下半身解放して内定取消しになったりするらしい。勝って兜の緒を締めよ。って感じだな。
「あ!クラウド!。…また会ったな。」
前からシャルさんがててて、と駆けてくる。美少女度が止まることを知らない。
「はい、また会いましたねシャルさん。これから面接ですか?。」
「そうなのだ、私がここまでいい感じに来れたのは奇跡だ。この面接で更にいい感じにやって何とかいい感じに転生したいぞ!。」
いや、もう『いい感じ』を使いすぎてどんな感じか分からなくなってる。
「シャルさんなら大丈夫です。いいですか、しっかり自分がどうなりたいかを言うんです。あと挨拶は大事ですよ。」
「うん!分かった。…クラウドはどこに往くのか決まったのか?。」
「俺は…えーとちょっと待ってください?…んーとアースハイド!、アースハイドです。」
「そうか、なら…」
「なら?」
「な、何もないぞ?。…そ、それじゃあ私はもう行く。また会えるタイミングがあればいいな。」
なんか慌ててシャルさんは行ってしまった。…今日もスカートの下履いてないのかな。もしそうであればもう一度、もう一度だけそのチャンスを頂きたい。あの時はあまりの衝撃に脳が耐え切れなかったから映像がバックアップされていなかった。
「…しかしあの鏡は偶然の産物。…意図的にやると犯罪者になってしまう。あの奇跡だからこそ、罪悪感なく拝める訳で…」
俺は見たいが見た時の罪悪感が気になるというパラドックスに悩みながら考え続ける。思考を止めるな、何か、何か妙案があるはずだ。煩悩丸出しで歩いていると謎の看板を見かけた。
『全世界共通冥土はブラックだ!。我々は改善を要求する。以下の要求が認められない場合ストライキを起こす。
1、1週間に一度の休暇
2、1日2時間以上の残業の撤廃
3、人員の補充(可能なら3倍、少なくとも1・5倍)
これらの要求に対して一週間以内に回答されたし。』
「…どの世界でもブラック企業って奴はあるんだな。…でもこれってどこに対しての要求なんだ?。」
内容も中々ヘビーだぜ。1週間に一回はそもそも少ないし2時間までの残業は容認するってどれだけやばいんだ。俺の元いた世界なら確実に労基に訴えられてるな。
「…俺の転生に影響とか出ないよな。流石にやることない状態でほっとかれるのは結構キツイぞ。もう漫画も読みきっちまったしな。」
…そういえば俺の往く場所の案内図みたいなのないかな。あったら時間潰しにもなるし探しに行くか。その間にどうぞ勝手に解決しといてください。
「…お!これ途中で読むの辞めた…じゃなくて…えーと、アースハイド、アースハイドっと。…あった!、…なになに、アースハイドには5つの大国、10の小国があり。魔物も存在、魔法有り、スキル有り、勇者有り、魔王有り、…ん?めっちゃ危なくないか?。」
軽く見ただけでとても日本とは比べ物にならないぐらいの危険を感じる。…これ、貰える能力がクソなら即詰みじゃないのか?。それともそこで子供から過ごしてれば普通に暮らせるのか?。
「…また生活水準は生まれる家庭に大きく依存し、貴族は教育を受ける機会も多く大成しやすいが、平民は能力が突出していなければ、貧民に関しては更に強大な運がなければ成り上がることはない。…マジかよ。運ゲー感凄いな。」
…本当にいいのかそんな所に行って。幾ら能力を持ってても貧民に産まれたら自我が目覚めるまで生きてられるんだろうか。…Bランクだし多少は考慮してくれはず。…と思いたい。あとで確認しとこ。
「…時間はあるっぽいし続きから読も。…あとのことは任せたぞ、来世の俺!。」