表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/136

弱点を見つめ直す、鍛えまくるぞ!。

「…まずクラヒトは自分の能力をしっかり把握しろ。どれだけ強い能力でも使い方が悪ければ無力と同義だ。」

 アリアさんに完敗した俺は意気消沈してギルドに戻って来ていた。勝てるとは思って無かったけどもっと善戦出来ると思ってました、はい。


「…あの武器を作る能力にしても魔物の大群を一刀両断にした能力と同じとは思えない。何故そこまで違いがでる?。」


「うーん、あの時はゴードンを助けるのに必死だったからなぁ。助けるには魔物を全部殺すしかないって覚悟を決めてた。」


「となると思いの強さも関係があるのかもしれんな。…クラヒト、今日使った剣に名前はあるのか?。」

 あの刀に名前?、そんな物はない。


「…もしないなら付けた方が良い。言葉には力が宿るし名前を付けることによって分類もしやすく、かつイメージもしやすい。固有の名前でイメージを固定するんだ。」

 アリアさんのアドバイス。それはまさに目から鱗だった。確かに一々頭の中でこんなのってイメージするより名前で呼んだ方が分かりやすい。種類も増やせそうだ。


「…成る程、流石アリアさん、ためになるなぁ。しっかりとイメージ固めてそれに名前を付ける。そうしたら今度からその名前だけで剣が造れる。武器を出す速度も上がるだろうし能力も使えてる。…良い感じだ。」

 取り敢えず今日の刀には仮の名前として『風月』と名前を付けよう。飛ぶ斬撃と鍔迫り合いの度にでる衝撃波が持ち味と。…やべぇ、楽しいな。中2の頃を思い出す。


「ニヤニヤするのをやめるのよ。通報されたいのよ?。」

 他の冒険者の相手をしていたシャーリーがやってくる。その手にはいつものあのジュース。あれ?だけどその数は一つだけだ。ここには俺とアリアさんがいるのに。


「…待てシャーリー。それは噂の特製ドリンクか?。私も飲んだことがない、あの。」


「そうなのよ?。」

 アリアさんの質問に何でもないように答えながらシャーリーが俺の前にドリンクを置く。2人の間とかじゃなく明確に俺の前だ。これなら間違いようもない。


「何故クラヒトの分だけなのだ?。」


「これは1日に一杯だけしか作れないのよ。クラヒトには依頼を頑張ったら飲ませてあげる約束をしているのよ。だから毎日の習慣なのよ。」


「…な、なんと。…東方の国では毎日一杯の汁物を飲ませて欲しいという告白があると聞く。まさか…シャーリー。」

 まさかシャーリー!。そんな日本での味噌汁告白みたいなことがあったなんて。君の思いに気付いてあげられなくて。そんなにも俺のことを…。だけど俺には…んー、シャーリーは可愛いけど見た目が幼いからな。俺ロリコンじゃないし。


「勘違いなのよ。そんなつもりはないのよ。…でもこのジュースの虜になったクラヒトが私に求婚してくることはあり得ることなのよ。それに関しては…仕方ないことなのよ。」

 …勘違いらしい。…仕方ないって、どういうことなんだろうか。


「確かにこのジュースは美味しいからな。シャーリーのジュースを飲む権利はアリアさんにでも譲れない。」

 このジュースはマジで旨い。日本でも飲んだことないレベル。依存症になっちゃうかも。


「…なんだ今の永く寄り添った夫婦のやりとりは。…ううんっ!まぁ良い。…さぁクラヒト反省を続けるぞ。シャーリーは早く他の仕事をすると良い。」


「今日の仕事は終わったのよ。」

 アリアさんの言葉にシャーリーがノータイムで返す。おかしいな、俺の目にはカウンターに並んでいる冒険者の人達が見えるんだけど。やんわりとシャーリーにその事を伝えるとただ大丈夫とだけ返された。怖いからこれ以上何も言わない。


「…クラヒトが使ったもう一つの能力についてだが、確かに恐ろしい速度だったが動きが直線的すぎる。どれだけ速くともそれなら反応は可能だ。特に私のようなスキルを持つ者には無意味だ。」


「直線的すぎるか…。でも神速を使ったまま曲がるのは足への負担が凄いんだよな。でも、そうだよな。現状スタートとストップの切り替えぐらいしか出来ない。でもステップが踏めたら背後に回れたりもするか。…うん、要トレーニングだな。」

 神速状態で自由に動けたら戦術の幅が一気に広がるはず。心肺機能の強化とともに足腰のトレーニングをこなさなくては。


「それなら良いトレーニングがあるのよ。毎日依頼の後の日課にすると良いのよ。」

 シャーリーが紙に書いたトレーニング一覧を渡してくれる。中々の量だが強くなるには必要な事だ。頑張ろう。


「あとは今日見ていない治癒の力天癒と膂力強化の大虎か。天癒は分かるが何故大虎を使わなかった?。聞く限りでは大虎が1番近接用なのだろう。」


「…今日は使えなかった。てかアリアさんにはだな。俺のスキルでは使える能力が相手によって変わるんだよ。大虎は多分俺よりも大きいか力が強いことが発動条件なのだと思う。」

 大虎は発動条件がある代わりに代償がない。逆に発動条件がない神速と造匠は代償や縛りがある。上手く使い分けないといけない。


「…冷静に分析しても尖っている能力ばかりか。残りの能力も気になるところだな。」


「俺としてはその2つは何とか使い勝手の良い能力がいいんだけど。使用制限とかないやつが良い。多分無理だけど。」


「…多少魔法にも手を出した方が良いかもなのよ。弱い魔法でも神速とかと組み合わせれば効果的になるかもなのよ。」


「そうだな。よし明日から午前は依頼をこなしつつ能力、特に造匠の強化。午後は1日おきに身体トレーニングと魔力トレーニングに当てよう。アリアさんはどれぐらいコーラルにいる予定?。」

 思い立ったが吉日。どこまでやれるか分からないけど特訓を自分に課す。


「暫くは休暇を取るつもりだ。私が魔法の使い方とついでに剣術を教えてやる。」


「それじゃあ私が身体トレーニングを受け持つのよ。獣人のトレーニングだから覚悟するのよ。」

 こうして俺の超強化期間が組まれることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ