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Aランクの一端を覗き見る。

次回の投稿は4月30日になります!。

「特記を目指すにしても基本は大事なのよ。だから今日もこの依頼をしっかりこなすのよ。」

 アリアさんのドキドキお宅訪問(1番ドキドキしたのは多分アリアさん)を終えた翌日、いつものようにギルドでシャーリーから依頼を受ける。昨日聞いた特記っていうのは飛び抜けた力がないとなれない。だけどその為にも基本は必要だ。


「…そうだよねぇ、それに…多分だけど俺の能力はまだ全部じゃない。あと2つか3つあるはずなんだ。」

 転移する前に聞いたのは七つの顔を持つ男。それぞれの能力を顔と例えているのなら後は3つ。なんだけど…頭の中に浮かぶのは六芒星。その頂点は当然六つしかない。俺自身を一つにカウントするから残りは二つということになる。どういう系統か分からないけど早く使えるようになりたい。


「…っ本当なのよ⁉︎。それが本当ならそれは…凄いスキルなのよ。私が知っているスキルでも一二を争うのよ。」


「…いや、俺自分でも結構ぶっ飛んだスキルだって思ってるんだけど…並ぶくらいのスキルがあるのか。」


「あるのはあるのよ。触れたものの重さを自在に変化させたり、引き寄せたりするスキルなんかとても強いのよ。そのスキルを持っている人は王国騎士団団長なのよ。まだ30歳ぐらいだけど凄く強くて単身で古龍の討伐も果たした化け物なのよ。」

 …重さを変える…重力か。どうやらこの世界には重力の概念はまだないようだ。それに引力もか。確かにヤバいな。その二つの組み合わせは。何もさせずに魔物を倒すことだって難しくないだろう。…うーん、


「俺だったら出会った逃げるだろうな。逃げられるか分からないけど。」

 神速を発動しても高重力下で動けるか分からない。…大虎で範囲外に出る方がいいか?。大概重力系は範囲攻撃と決まっている。知らないけど。


「別に逃げる必要なんてないのよ。…悪いことしてなければ。心当たりがあるのよ?。」


「いや、ない。」


「ならこれからも精進するのよ。あ、アリアちゃんなのよ!。」


「や、やあ。…今日はクラヒトに用があってきたんだ。昨日もクラヒトの力を見ることが出来なかったからな。今日こそは対峙したいと思ってな。だから朝一で来たのだ。今なら能力は使えるか?。」

 ギルドにやって来たアリアさんはどこかぎこちない。多分昨日のことが尾を引いているんだろう。ここで経験豊富なリア充とかなら軽く弄って場とアリアさんの2つを同時に和らげるんだろうけど…俺には無理だ。


「使えますけど…使っちゃったら俺今日依頼を受けられないんですよね。やっぱり何があるか分からないから備えておきたいんです。」

 いざ依頼を受けてなんか知らないけどヤバい魔物が出たら俺は死んじゃう。…あと純粋にアリアさんと戦いたくないです!。


「それなら今日の依頼は良いのよ。アリアちゃんと訓練する方が為になるのよ。私は仕事があるから行けないけど頑張るのよ。」

 俺の希望はシャーリーの一言で砕かれる。おのれ、シャーリー!。俺はそのあと抵抗出来ずにアリアさんの後を追った。









「…さぁ、ここなら存分に力を使えるだろう。誰も入ってくることはないし…見せてみろ。」

 やって来たのは街の外れにある訓練場。中心から遠いからか人はいない。アリアさんが腰に刺している剣を両方抜く。煌びやかな剣と素朴な剣。その二振りを構えるアリアさんからは威圧感をひしひしと感じる。と同時にあの感覚が現れる。頭の中に浮かぶ六芒星。


「…俺が求めるのは…来い!。」

 俺の手には見た目ではなんの変哲もない刀。だけどこれには俺の考えが詰まっている。


「それが造匠か。…遠慮はいらない打ち込んでこい!。」


「それじゃあ遠慮なく!。」

 アリアさんに刀を振りかぶる。当然剣でガードされるがそれも予想のうちだ。ぶつかった瞬間刀に衝撃が走る。


「…な⁉︎…なんだ!。…くっ、厄介だ。」

 アリアさんの余裕は消えていた。俺が今回刀に念じた力は衝撃の付与。斬撃の度に衝撃波を放つというものだ。つまり一振りで2度攻撃が可能になる。それによってアリアさんの剣を上に弾く。


「…まだ終わりじゃない。この力の真髄は…飛ぶ斬撃にある!。」

 剣を弾かれたことによりアリアさんが距離をとる。だがそれは過ちだ。俺は刀を横に薙ぐ。それによって衝撃波を飛ばす。


「…面白い能力だ。だけど…目醒めろ『風救世』‼︎。…本物を見せてやれ。」

 アリアさんの豪華な方の剣がひかる。刀身が翠に輝き地面の砂を巻き上げる。俺の斬撃に対して十字を描くように振るわれると俺の斬撃は打ち消された。


「…疾いっ!。…廻れ…神速!。」

 俺は即座に造匠の敗北を悟った。イメージがまだ足りなかったんだ。もっと突き詰めないと強者には通用しない。俺の手から刀が消える。そして加速する。一気にアリアさんとの距離を詰め懐に入る。そして拳を腹部に突き立てる。


「…疾いな。それが神速か。だが直線的すぎるぞ。その動きでは…天眼から逃れることは出来ない。」

 俺の拳は交差する剣によって止められていた。アリアさんにダメージはなく逆に俺の拳に鈍い痛みが走る。


「…そこは爆心地だが…大丈夫か?。」

 次の瞬間爆風が巻き起こる。即座に離れるが少しダメージを負ってしまった。だがそれ以上に…


「視界が…ない。…まずいな、…一気に離れるしか…」

 さっきの爆発で黒煙が上がっている。俺には何も見えないがアリアさんには天眼がある。この場は離脱した方がいい。そう思って一気に下がる。


「…クラヒト、チェックメイトだ。」

 俺の首元に剣が添えられたのだった。俺は素直に両手を上に上げて降参の意思を示す。全てアリアさんの計算の上だった。これがAランクの冒険者。俺には足りないものばかりだ。

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