アリアさんのお部屋訪問、乙女の秘密を見てしまった。
外出自粛が始まって2週間が過ぎました。皆さんはどうお過ごしでしょうか?。
私は学校がWeb授業になったのですがあまりやった気になりません。ですが自由にできる時間が増えるのは良いことですね。このままWeb授業とテレワークが普及すると良いんですけど。
自由に使える時間が増え、しかし外出はできない。なので作品の執筆に当てることにしました。私が投稿している他の作品と同様週二回、月曜日の午前0時、木曜日午前0時の2回投稿することにします。いつまで頑張れるか分かりませんが応援宜しくお願いします。
次の投稿は明日の午前0時になります!。
「アリア様お話が終わりましたらお部屋にご案内されては如何ですか?。」
俺の能力とこれからの進路に関して一通り話が終わってお茶を飲んでいるとアリアさんの後ろに控えていたメイドさん…(確かシスリーさんだったはず)がアリアさんの耳元で、でも俺たちにも聞こえるようにそんなことを言う。その時にチラッとこっちを見たから多分わざとだと思う。
「な、な、何を言ってるんだシスリー。何故私の私室に案内する必要がある⁉︎。」
シスリーさんに呟かれたアリアさんはワタワタと手を振り慌てふためきながら否定の言葉を口にする。
「…ですがその為にお片付けをなされていたのではないですか?。私たちメイドも入室を禁じられているアリア様の部屋。クラヒト様とシャーリー様をご案内されないのでしたら何故息を乱して帰って来て早々に片付けをされたのでしょうか?。」
シスリーさんは攻撃の手を緩めない。俺たちと別れてからのアリアさんの行動がどんどん明かされてくる。まぁ、予想通りだったけど。
「そうなのよ?なら案内して欲しいのよ。私もアリアちゃんの部屋には入ったことないのよ。」
シャーリーもシスリーさん側のようだ。俺も心境としては大勢側だ。是非アリアさんの部屋に入ってみたい。女の子の部屋に入る機会を逃すほど俺も甘くはないぜ!。…でも口に出して言うと気持ち悪いって言われるかも知れないから言わないけど。
「…待ってシャーリー。アリアさんに迷惑になったら駄目だし無理やりはやめておこう。」
寧ろ積極的にアリアさん側に着く。心の中では入りたいけどそれを押し殺してアリアさんの味方をするんだ。
「…そう言う割には目が死んでるのよ。本当はアリアちゃんの部屋に入りたいんじゃないのよ?。」
「…そうなのか、クラヒト?。」
「…はい、そうです。すいません。」
シャーリーに追求されてあっさり白状する。だって自分には嘘をつけない。この燃え上がる感情は抑えきれない。
「…仕方ないな。…ついて来い、部屋に案内する。わ、笑うなよ?。」
俺も体制側に加わったことによりアリアさんが折れる。部屋に入れてくれることになった。
「無理言ってすいません。」
「そう言いつつ目が輝いているのよ。」
煩いシャーリー。
「…ここが私の部屋だ。…いいか、開けるぞ?。」
アリアさんの部屋に前に到着した。しかしそのドアは硬く閉ざされている。いや、比喩とかじゃなくて実際に凄い鍵がかかってる。多分メイドさんが勝手に入るのを阻止する為だろう。アリアさんの指先に光が灯って鍵が開錠される。ガチ過ぎるだろ。思春期の高校生より凄い。
「…あの魔導具は金貨30枚ぐらいするのよ。なんで買ったのか不思議だったけど今分かったのよ。」
金貨30枚…、…300万円也。
「…良し、入ってくれ。」
300万円の鍵で閉ざされたドアが開かれる。
「………………」
「………………」
俺とシャーリーは言葉を失ってしまった。まず目に入るのは天蓋付きのベッド。あぁ、お嬢様なんだなと実感する。そして机、化粧台がある。そしてここからが1番のポイント。部屋中にぬいぐるみが置かれているのだ。大小様々、種類も様々のぬいぐるみ達。この世界では元の世界程ぬいぐるみは普及していない。機械がそこまで進んでいないからだと思うけど今まで見たことなかった。だから多分高いんだと思う。
「…なんで黙るんだ!。何か言ってくれ。」
「可愛い部屋だね。…えーとうん、凄い。」
なんて言うべきか分からなかったから無難な返事を返しておく。だってそうだろ、なんて言えばいいんだ。
「…そうか?変じゃないか?…良かった。」
でも俺の返事で良かったようだ。アリアさんがホッとしたような表情を浮かべる。
「…可愛いのよ。…アリアちゃん、あの子達を抱っこしても良いのよ?。」
シャーリーがフラフラと部屋の中に入っていく。そして視線をぬいぐるみ達に固定したままアリアさんに尋ねる。
「…ん?あぁ、構わないぞ。その子達も私以外に抱き抱えられたいだろうしな。」
…ぬいぐるみに子達って言ったな。と言うことは普段アリアさんはこのぬいぐるみ達に話しかけたりしてるんだろう。…その光景を想像するだけで魔物が成仏するまである。
「…ふわっ、…柔らかいのよ。この子も、あの子もちゃんと毛繕いされてるのよ。」
「当然だ。この子達の毛並みは私が保証する。」
ぬいぐるみに触れて虜になったシャーリー。その感想に嬉しそうにアリアさんが返す。…大変微笑ましい光景だが何かが引っかかる。
(…結局アリアさんが急いで帰った理由はこれなのか?。…でもこれだけならそこまで急ぐ必要は…。待てよ、さっきの部屋で俺たちが来てないと思っている時に汚い部屋を見せたくないって言ってたな。……俺たちが来るまでの猶予は1時間もなかった。…ということは…あ!)
見つけてしまいました。アリアさんの部屋の中。クローゼットらしき扉があるのだがその一つに布が挟まってる。それになんか内側から押されているように見える。間違いない、あの奥に散らばっていた物を押し込んだんだ。
「…く、クラヒト?…な、何を見ている?。さぁ、座ってくれ。ここにだ。」
チラチラとそちらに視線を向けているとアリアさんが勘付いたようだ。強制的に座らされる。勿論怪しい扉に視線が行かないように背中を向けてだ。更に前の席にアリアさんが座った。気分は取り調べ室だ。
「…アリアさんの部屋こんなに片付いているのになんで焦って帰ったの?。」
俺は探りを入れてみる。だがこれはアリアさんに意地悪がしたいんじゃない。疑問を解決したいだけだ。
「…えーと、その…この子達にブラッシングをしないといけなかったからだ!。もし部屋に招く時に乱れていたら可哀想だろう。」
「…ふーん、そっか。」
アリアさんは素直に認めない。当然だろう。隠す為に必死になっていたのだから。なら…俺は…
「…あ!くまさんが動いてる!。」
アリアさんの後ろ、俺の視線の先を指差す。それに釣られてアリアさんが後ろを確認する。今だ、俺は後ろを向き扉に手をかけようとする。さぁ、中を見せてもらおう。
『…ドンっ‼︎。』
「…クラヒト、あまり女性の部屋で暴れるものじゃないぞ?。」
俺の目標である扉に剣が突き刺さる。恐る恐る後ろを覗くと俺に背を向けたままのアリアさん。しかし腕だけは剣を放り投げた体勢だった。
「…は、はい。すいません、はしゃぎすぎました。」
大人しく元いた場所に正座する俺。正面に座り直すアリアさんの目は薄っすらと紅く光っている。天眼を使っている証拠だった。つまり今この場はアリアさんの監視下だということである。不要意な行動は命に直結する。大人しく女の子を部屋の空気を堪能しようとした。その時、
「…ここにはどんな子がいるのよ?。」
シャーリーが扉を開け放つ。アリアさんは俺に注意を割きすぎていたようだ。部屋中のぬいぐるみを吟味するシャーリーの存在を侮っていた。そうして開かれた扉。そこからは
「…いやぁぁぁぁぁぁ‼︎。」
アリアさんの悲鳴と共に下着や脱ぎっぱなしの服。本やゴミなどが雪崩出てくる。
「…汚いのよ。この子達の親失格なのよ。」
そんなシャーリーの言葉とともにアリアさんの首がガクッと落ちた。いたたまれない気持ちになった俺はその場を静かにあとにした。