シャルフォルン、アースハイドへ。
話の内容的に短くなってしまいました。今回は会話文のみで形成されてます。
「…シャルフォルン・アガトラム、私たちはお前に称賛を贈らねばならない。まさか本当に5度の死を乗り越えるとは。その精神の強さには驚きしかない。」
「ふん、私を誰だと思っている?。一度は魔王と呼ばれた最強の生物だぞ。目的の為ならこのぐらいなんでもない。」
「そうは言うが…転生して記憶がなくなった状態で…どうやって自ら死を選ぶのだ。死は全ての生命体に於いて禁忌すべき物。それを5度も…。」
「例え前世の記憶が消えようと魂に刻み込んだ思いは消さないのだ。それで?これで私が負うべき罪は全て浄化されたと考えても良いのだな?。」
「あぁ、管理課課長の私が責任を持って断言する。お前が魔王時代に犯した罪は浄化された。次の生は記憶を保持したまま転生することが出来る。と言っても転移なのでお前も赤子からになるが。」
「それで構わない。私が逢いたい者も転生している。それならば年齢を合わせる為にもその方が都合が良いぐらいだ。」
「その者はお前に対しての記憶は無くしているのだぞ?。それでも尚ここまでする?一時は世界を治めた者の行動してしては理解しかねる。」
「誰かに理解して貰おうとは思わん。これまで兵器として、恐怖の対象としてしか存在が許されなかった私に無償の優しさを向けてくれた人間。私が興味を持つには十分だ。その者と同じ世界に行く為ならばこれまでの事など苦にもならん。」
「そこまで言わせるとは。…その人物の名前を聞いてもいいかな?。」
「クラウド、いや、玉地蔵人と言う男だ。」
「…あ!。」
「ん?どうした小娘。…なんだ今のあっ!、は。」
「どうしたのですか?その名前に何か覚えでも?。と言っても私たち管理課の記憶にあったとしても対して影響はないと思いますが…」
「…あの、ストライキが起こった時の事覚えてます?。あの時出港課が人手不足で私が出張ったんですけど…」
「…早く続きを言え。私は温厚だが気は長くないぞ?。」
「…て、手違いで転生ではなく転移にしてしまいました!。それに…記憶もそのままになってしまって…」
「…何故それを報告しなかったのですか。大事件ですよ、突然世界に人が1人増えるわけですから!。それに転生によって少しづつ得るはずの知識をその彼は得ずに世界に落とされるのです。…思い出しました、あのBランクに転生の予定だった彼ですね。…能力はどんなものが与えられたのですか。」
「す、すいません。…な、七つの顔を持つ男です。」
「…これまた厄介な能力を。」
「どんな能力なのだ?。クラウドの役に立つ能力なのか?答えろ!。」
「その名前の通り七つの力を得る。その力はその人物に依存する為こちらでも詳細は知ることは出来ない。…それに転移ということは身体能力や技能もそのままということです。アースハイドには魔物もいます。もしかすると…」
「すぐに調べろ。その結果が出るまでは待ってやる。だが…クラウドが再び死の苦痛を味わっていたのなら…分かっているな?。私は自分を抑える自信もないしその気もない。」
「…ひっ⁉︎…し、調べてきます!。」
「今回の件は完全にこちらのミスだ。だがどうか私の首一つで収めて欲しい。」
「クラウドの命次第だ。運良く助かっていたのなら…手は出さん。クラウドも望まんだろうしな。」
「…はぁ、はぁ、はぁ、お待たせ…しました。」
「どうだったのですか?。」
「…んぐっ、はい。玉地蔵人の魂は戻ってきていません。アースハイドに定着しているようです。」
「そうですか。君には後で話がありますが取り敢えずは良かったです。下がっていなさい。」
「無事だったかクラウド。運良く人里などに転移したのだろう。…少し私の転生の条件を変更してもらいたい。勿論、拒否などしないよな。」
「今回はこちらに落ち度があります。余程のことでない限りは希望に沿うつもりです。」
「では私を転生から転移にしろ。赤子で産まれてもクラウドがあのままなら意味はない。」
「…分かりました。それぐらいなら問題はありません。他にないですか。」
「他は別に良い。元々次の世界を指定するのも配慮を感じている。」
「それでは転移の手続きに入ります。少々お待ちください。」
「分かった。……クラウド、今会いに行く。お前は突然の転移で苦労しただろうが私は少し嬉しかったのだ。転移なら私のことも忘れていないということなのだから。…早く会いたい。」