アリアさんが帰ってきた、報酬は凄いぞ。
書きだめがなくなってしまいました。また貯まるまで通常の更新頻度に戻ります。毎週日曜日午前0時です。よろしくお願いします。
アリアさんが帰って来た。Aランクの依頼で1ヶ月もコーラルを離れていた。1ヶ月拘束の依頼って普通にやばい。…いや、でも日本でも短期の出向とかあるしな。だからウィークリーマンションとかあるわけだし。んー、…ご苦労様です。
「アリアさん、お久しぶりです!。依頼お疲れ様です。Aランクの依頼ってどんな依頼だったんですか?。」
正直Aランクがいて1ヶ月もかかる依頼ってのがどれくらいの規模なのかわからない。折角の機会だし聞いてみることにする。
「あぁ、クラヒト、1ヶ月ぶりか。お前、少しは強くなったようだな。見ても分かる。纏っている気が強くなっている。えーと、…Aランクの依頼だったな、今回の依頼は魔物の穴の封鎖だ。かなり規模の大きな物だったからな、グローデッドとの合同討伐だったのだ。その指揮を任されていた。」
…グローデッド…どこで知ったか。…!本で読んだんだ!大国だった筈。獣王国グローデットだ!。…魔物の穴?…なんだ?。
「魔物の穴っていうのは、何?。」
「そうか、魔物の穴を知らんのか。まぁ、私も存在を知らされたのはBランクを超えてからだからな。この世界に無数に存在する魔物は魔族が潜む領域と繋がっている穴から発生しているんだ。ある程度の大きさの穴ならそこまで急を要することはないのだが大きくなると大変なことになるのだ。丁度この前の魔族の襲撃があっただろ。あの魔族が使っていたのがその穴だ。」
新事実!、確かに魔物ってなんだよとか思ってたけどそんな秘密があったのか。この世界には結構穴が開いてるってことになるよな。
「全部の魔物がそうなの?。」
「いや、全てではない筈だ。竜種とかは元々居たらしい。それ以外にもいるらしいが、雑魚は殆どその穴から漏れ出したものだ。」
ややこしいな。取り敢えず害なす魔物は悪って認識でいいかな。…魔族の住む領域か。それも本には書いてなかった。冥土で言ってた五大国と本には載ってる四大国の違いはその魔族の領域のことなのかも知れない。
「…ふーん、なら全部の穴が塞がれば結構平和な世界になるってことか。」
「ははっ、確かにそうだな。だが厳しいぞ。次々に新しい穴が出てくるし穴自体も小さなものは見つけにくい。」
「…仕方ないことなのか。世の中の仕組みってことで割り切るしかないんだな。」
FとかEの魔物がいるから生活出来ている冒険者も多い。社会の仕組みに組み込まれているから難しいだろうな。
「そんなことを真剣に考えるなんてやはり変わっているなクラヒト。…っと私はそろそろギルドに向かわねばならない。クラヒトも一緒に来るか?。」
アリアさんはギルドに用事があるようだ。あれかな、依頼の報酬の受け取り。それなら是非ご一緒したい。
「うん、俺は今日休みだから一緒に行くよ。」
アリアさんの提案を了承し2人でギルドに向かって歩いていく。こうやって2人で歩くのも久しぶりだ。前はFランの雑魚だったけど今は少しは釣り合いがとれただろうか。…なんちゃって童貞の悲しい幻想だ。
「休み?そうか、休みを取れるだけ稼げるようになったのか。そうか、そうか。ランクは上がったか?。」
「Dランクに上がったよ。でもまだまだだけどね。」
「なんと!もうDランクか。中々の速さだな。普通に依頼をこなしているだけでは難しいはず。魔族撃退の功績があったとはいえ…」
どうやらアリアさんはあの事を知らないようだ。教えようと思ったがギルドに到着したので後にする。今はAランクが1ヶ月拘束される依頼の報酬がどれくらいかみるのが優先だ。
「…アリアちゃん、待ってたのよ!。今回の依頼も大変だって聞いてたのよ!。お疲れなのよ。」
アリアさんを見たシャーリーが笑顔を向け駆け寄ってくる。俺だけの時はカウンターから出てくることはない。…まだ届かないようだ。
「ありがとうシャーリー、久しぶりだ。中々面倒な依頼だったがなんとか終えてきたよ。今日は報酬の精算をしにきた。もう連絡は届いているか?。」
駆け寄ったシャーリーはアリアさんが抱きしめる。あぁ、いいなぁ。その間に挟まりたい。
「勿論なのよ。そこの椅子に座ってなのよ。あ、クラヒトもいたのよ?あんたにも用があるから待ってるといいのよ。」
アリアさんの隣にいたはずなのに今気付かれたようだ。俺の存在感がショボいからだろうか。少し傷付く。シャーリー、あんなに仲良くなったと思ったのに。俺の心を弄んだ罪は重いぞ!。
「アリアちゃん振り込みでいいのよ?。」
「あぁ、勿論だ。」
「なら今回の報酬はこの額なのよ。問題なければ振り込んどくのよ。」
シャーリーが一度奥へ引っ込んで紙を持って帰ってくる。どうやらその紙に額面が書いてあるらしい。口で言わないのは額がでかいからだと思う。
「…問題ない。むしろ想定していたより少し多いぐらいだ。シャーリーが交渉したくれたのか?。」
「別に大したことはしてないのよ。ただ国からの依頼だからもっと出せると思っただけなのよ。」
俺はアリアさんが持っていた紙を覗き込む。そこに書かれていたのは金貨120枚の文字。…いや待て待て、日本円で1200万だぞ。それを1ヶ月で。日給にすれば40万。
「うむ、…向こうで素材は別に査定してもらったからトータルで金貨150枚ぐらいの稼ぎか。悪くなかった。殆ど天眼を使い切ってしまったが。また溜めないと。」
それとは別に更に300万も儲けたのか。
「これだけ稼げば暫くはゆっくり出来る。そうだ、クラヒト。お前に剣術を教える約束をしていたよな。その約束を果たそう。」
覚えてくれていたのか。剣術、今の俺に最も大切なことだ。造匠でいくら剣を作っても意味ないからな。それに新しい剣も作ったし。
「是非お願いするよ。この前も剣が使えなかったから苦戦したんだ。あんな無理やりな戦いは勘弁して欲しい。それにシャーリーがいなかったら詰んでたし。」
「…ん?どういう意味だ?。シャーリーが…なんだと?。」
「この前シャーリーと一緒にアグナドラゴンを討伐したんだ。その時剣が使えてればもっと他に方法があっただろうって…」
俺は痛い思いをしなくて済んだかも知れないし、シャーリーには怖い思いをさせなくて済んだかもしれない。2度目はないように強くならなければ。
「…アグナドラゴンを倒したのか?。…凄いじゃないか!。低位とはいえ竜種だぞ!。私でも単独は中々に骨が折れる獲物だ!。」
「そうか、クラヒトは竜種にも勝ったのか。…うん、私と一度戦ってみよう。稽古をつけてやる。」
おっと、予想外のことが起こりましたよ。俺ははっきり言ってスキルを使わないとその辺の一山いくらの冒険者と変わらないんだけど。どうすればいいんだろうか。