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出会った美女は訳ありっぽい

 テストの結果が発表された。各人の番号の隣にそのまま点数が表記されている。いやプライバシーとかないのか?。中には一桁とかの目も当てられない点数を取っている奴がいるがそう言う奴は文字通り目も当てられない存在に転生することになるんだろう。…やばい少しニヤける。


「…いかんな。生きてる時の、リア充が中間テストの存在知らなくて欠席して全員爆死したのを思い出した。」

 あの時は爽快な気分だったな。因みに必修。最終回前にレジュメを集めてオールすれば余裕っしょ!とか言ってたけど心の中で『もうお前が単位を取ることはないけどな。』と高笑いしてた。多分俺の同胞達も同じ思いだったはず。


「…じぃぃぃぃ。…ほっ。」

 あの美少女を見つけた。自分の番号を探して点数を見た瞬間ほっとしてたからなんとかなったんだろ。て言うか殆ど俺のを写してたしな。その美少女を観察しているとこちらに振り向き目があった。やばっ、見てるのバレたか?。


「お前は確かあの時の男だな!。礼を言わせてくれ助かったぞ!。」

 バレて怒られるかと思ったがそんなことはなく俺の手を握り笑顔を向けてくれる。あ、手めっちゃすべすべ。それに柔らかいです。


「あ、あぁ、うん。それは良かったです。」

 美少女の思いがけない行動に動揺した俺は吃り、うまく喋れない。おい、しっかりしろ。今がチャンスだろ。『ぐへへ、ならその礼は体で払って貰うとするか』とかそう言う展開に持ち込めよ。


「…お前は…いいヤツだな。何も求めてこない。久し振りに無垢な善意を受けた気がする。」

 俺が頭の中で美少女に下衆なことをしている間その沈黙を何故か好意的に勘違いした美少女がはにかむ。なにその美少女表情、美少女が過ぎる。国を獲れるね。傾国ってやつですね!。


「名前を聞いても良いだろうか?。」

 上目遣い、きたーっ‼︎。ちょっ、マジで童て…彼女がいたことがない俺には効き過ぎる。今ならなんでもサインしちゃいそう。


「あ、その…玉地蔵人です。」


「蔵人…!。それじゃあクラウドだな!。私の名前はシャルフォルン・アガトラムだ。シャルと呼んでくれ!。」

 速攻であだ名をつけられた。でも悪くない。美少女にあだ名で呼ばれるって…良いね!。それにしてもこの名前…地球人じゃないっぽい?。いやまぁ外国ならあり得るのか?。


「…シャルフォルンさん。…」


「…むっ!シャル!。」


「シャルフォルンさ…」


「シャル!。」


「…シャルさん。」

 頑な過ぎる!。


「んーまぁそれでいいだろう。なんか良いな。こう…何というか対等なのは。前は余りそんな奴が周りにいなかったから。」

 おーっと、シャルさんも前世はぼっちだったのか?。あー、あれか。整いすぎて近寄りがたいって奴だな、分かります。それに女の僻みは怖いって聞くからなぁ。俺とはタイプが違うな。俺はステルスタイプのぼっちだったし。高校の時は帰宅部のエースだった。俺より早く学校の敷地を出るのは早退する奴だけだったし。


「…なぁなぁクラウドは自分の価値についてどう思う?。」

 高校の時のどうでもいい過去に思いを馳せている突然シャルさんが難しいことを聞いてきた。自分の価値?そんなの考えたこともないな。…日本ではそんなの気にする必要もなかったしな。…ん?あれは…ヤバい‼︎。


「…私はな、必要とはされていたと思う。でもそれは私でなくても良かったんだ。それを成し得る力を持つ者ならな。必要なのは私の力。力に価値はあっても私自身には価値はなかった。必要とはされるが私自身は必要じゃない。…寂しいことだ。」


「だから!私は次の私がこんな思いをするのは嫌なんだ。記憶はなくなるだろうがそれでも次は…誰かに私自身が必要とされる、そんな日々を送りたい。」

 寂しそうな顔でボソボソと呟くシャル。なんか重い話なんだけど俺はそれどころじゃなかった。俺の目線はシャルの足元。初めは気づかなかったが誰かの落し物だろう鏡が落ちていた。因みにシャルはスカートです。そうです、わかりましたね。パンチラチャンスなんです!。


「…シャルさんならきっと出来ますよ。俺も応援してるんで。」

 頑張れ俺何とか時間を稼ぐんだ!。クソ、暗くてよく見えない。今一瞬で良い!俺の目に暗視能力と超視力をくれ!。


「そ、そうか?。お前は本当にいい奴だな。なんか恥ずかしいぞ。」

 シャルが照れている。それに伴い足をもじもじさせる。キタコレ!…見え、見え…見え…見え…。


「それじゃあ私はもう行くぞ。次の面接に備えなくちゃならんからな!。バイバイだ!。」

 そう言いシャルさんが振り返る。その時奇跡が起こった。あのスカートが回転してふわっとなるやつが発生する。


「…目標をセンターに入れてロックオン。目標をセンターに入れてロックオン。脳内フィルターを起動。衝撃に備えろ。」

 この間約1秒。俺は万全の態勢でラストパンチラチャンスに備える。


「……ぶっ⁉︎……俺にはまだ早い……『バタンッ』。」

 鏡に写った物は何も無かった。そうスカートの中には何もなかったんだ。俺は鼻から流れ出る熱いものを感じなから意識を手放した。

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