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魔物を狩るよ、まずはスライムを狙う

硬貨の価値

金貨1枚=銀貨100枚=銅貨1000枚

銀貨1枚=銅貨10枚

銅貨1枚の価値が100円と考えください。

なので銀貨1枚が1000円、金貨1枚が100000円となります。

金の成る木は一泊5000円ということになります。


「それで、一体なんのようなのよ!。まさか私に殴られに来たのよ?。」

 シャーリーが俺の側を離れていきながら言う。そんなわけはない。そもそも俺の記憶に残っていなかったのだから。俺は未だ痛む鳩尾を摩りながら立ち上がり席に向かう。俺が着いた席の前にはシャーリーが待ち構えていた。なんだかんだ言いながらちゃんとやってくれるみたいだ。このツンデレさんめ。


「今日は依頼を見にきたんだ。俺でも出来る依頼があれば受けたいと思っている。何か良い感じの依頼はないか?。」


「あんたに出来る依頼?。…私はあんたが何を出来るのか知らないのよ。それが分からないとお勧めなんて出来るわけないのよ!。」

 ごもっともです。あまりの正論に俺は慄く。このケモ耳ちゃんと仕事が出来たのか。


「そうだな、…クラヒトは魔物の大群を一太刀で葬ったと聞いている。ゴードン殿からの情報だ。更に私が重傷を負った時には治癒の力も用いたと聞く。そして魔族を翻弄するだけの高速機動もこの目でみた。」

 アリアさんが俺のことを説明してくれる。ありがたいんだが今語っている内容は使えるかどうかも分からない能力なんです。それを当てにしたら俺はたぶん死ぬ。


「…めちゃめちゃ万能なのよ…。本当にこの男がそんなに使えるのよ?。」


「待って欲しい、あの時は咄嗟だったからなんか爆発したけどいつでも使えるかは分からないんだ。だから買いかぶりは禁止させてくれ。」


「ってことはスキルを持っているってことなのよ?。自分のスキルを理解してない冒険者の致死率は高いのよ。精々頑張って生き残ると良いのよ。」

 俺が暗にスキルを持っていることを告げると励ましなのか罵倒なのか分からない言葉が返ってきた。


「…それで?結局何が出来るのよ。自分ではっきり言うのよ!。」


「…えーと、戦ったのはこの前のが初めてだ。特に格闘技とかの経験もない。今朝調べたら魔法もあんまり向いてないらしい。この条件でなんとかならないか?。」


「なるわけないのよ。冒険者適正がカス過ぎるのよ。頼みの綱が正体不明のスキルだけならやめておいた方が良いのよ。命を粗末にしたらダメなのよ。」

 現状の俺の状態を伝えるとボロクソに言われた。事実だけどはっきりと言われるとグサリとくるな。…その耳揉みしだいてやろうか。


「その点だがシャーリー、クラヒトには私が冒険者の基礎は教えようと思っている。だからなんとかならないだろうか。」


「…アリアちゃんが補佐に就くなら討伐系の依頼を受けるといいのよ。この依頼ならノルマとか無くて狩った分だけ報酬になるのよ。でもアリアちゃんはそれでいいのよ?、Fランクが討伐出来る魔物なんていくら狩ってもあなたの査定には影響しないのよ?。こんな冴えない男についていてもメリットがないのよ。」


「クラヒトには命を助けられた。その恩を返さなければ一生の恥になる。だから気にしないさ。」


「…はぁ…、ギルド的にはあなたには高位の魔物を狩って欲しいのだけど意思は固そうなのよ。…あんたは自分の幸運を噛み締めると良いのよ。」

 アリアさんとシャーリーの話し合いは終了したみたいだ。まぁ確かにアリアさんはAランク。Aランクしか倒せないような魔物の討伐を依頼したいのがギルドの受付嬢としての本音だろう。それでも認めてくれたのは俺に対してデレてきているからかもしれない。その耳と尻尾をワシワシする日も近い。


「…そ、そんな目で私の耳と尻尾を見るんじゃないのよ!。マスターに言いつけてやろうかしら。」

 そんなことはなかったみたいだ。


「この近隣の魔物の出現マップを見せて欲しい。」


「はい、なのよ。この男が素人だとすると…うーん、この辺りが妥当だと思うのよ。スライムとゴブリン。武器は斬撃系がお勧めなのよ。」

 アリアさんの要請に応えてシャーリーが紙を取り出す。そこにはコーラルの大体の地図と出てくる魔物の一覧が書かれていた。


「スライムってあのスライム?。マジでゴブリンとかいるんだ。」

 定番の名前の登場にテンションの上昇を抑えられない。そもそもいきなりハードモード過ぎたから少し安心する。それと同時にようやく俺の新しい人生の1ページが描かれそうだ。


「あのっていうのがどのかは分からないけど普通の人でも武器さえ持っていたら倒せるのよ。ゴブリンは群れると厄介だけどそれでも雑魚なのよ。」


「報酬は…スライムが銅貨1枚、ゴブリンが銅貨5枚なのよ。精々頑張っていっぱい倒してくるのよ。」

 宿に一泊するのに銅貨換算で50枚必要だ。そう考えると数を狩らないと駄目らしい。やはり普通のFランクでは中々苦しい生活をしなければならないようだ。


「オッケー、任せろ!。…ん?…でもどうやって何体倒したか分かるんだ?。」

 カードに記録される系だろうか?。


「魔石を拾ってくるのよ。魔物には全て魔石と呼ばれる核があるのよ。それを討伐の証とするのよ。」

 拾う系だった。結構めんどくさいことになったな。


「一気に何体も倒す魔法とか使えてもいちいち集めないといけないのは結構めんどくさいな。効率下がりそう。」

 それに拾う時に狙われたりしたら危ない気がする。強い人なら尚更常に気を張らないといけないんじゃないのか?。


「今のあんたはそんな心配しなくてもいいのよ。それにお金があれば収集袋を買えばいいのよ。倒した魔物の魔石を勝手に集めてくれる袋があるのよ。1番小さいのでも金貨10枚はするのよ。」

 金貨10枚、…宿の値段的に銀貨1枚が千円くらいだと思うから…銀貨1000枚分で…百万円くらいか!。スライムで元を取ろうと思ったら何匹狩らないといけないんだ。確かに俺には関係ない話だった。


「Cランクぐらいになれば収集袋を買っても充分に意味があるんだ。実際には私も持っている。拾うリスクと手間をなくしてくれるからな。」


「アリアちゃんのは特別性なのよ。金貨40枚もする大容量の袋なのよ。この国でも数少ないのよ。」


「…まぁ俺はぼちぼちやっていくよ。目標は…えーと…」


「Eランク昇格の目安は大体1日に銀貨15枚ぐらい稼げることなのよ。あくまで目安だけどそれくらい安定して最低位の魔物を狩れたら昇格なのよ。」

 ふんふん、成る程。銀貨15枚。銅貨150枚。スライムなら150匹。先は長そうだ。当然もっと金になる魔物もあるだろうけど。


「なら今日は十匹ぐらいにしとこかな。安全性第一!。」


「もっと気合入れて狩りに行くのよ!。」

 俺の冒険者としての初日の目標が定まった。

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