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ギルドカードを作る 目指せDランク

「…って違う違う、俺がここに来た本当の目的はこれじゃない。」

 ギルドカードを手に入れてすこし感動して忘れていた。


「な、なんなのよ。いきなり大きな声を出すなんて…死ねばいいのよ。」

 突然俺が目の前で立ち上がったからかシャーリーがびっくりしている。小動物みたいで可愛い。けどそこまで言う必要はあるのだろうか。いや、ない。


「今日は金貨を両替してもらいたいのよ。シャーリーお願い出来る?。」


「それならそうと早く言うのよ。…はい、早く出すのよ。」

 シャーリーがアリアさんに手を出す。…確かに見た感じで金貨を持っているのはアリアさんっぽい。だが残念だったな、持っているのは俺だ!。


「はい、1枚は銀貨に両替であとはこのカードに預けとく。」


「あ、あんたなの?。…人は見かけによらないの。こんな男がこんなに金貨を持ってるなんて。」

 俺が袋から金貨をジャラジャラと出すシャーリーが驚いたように罵倒してくる。決めました、次に何か言ったらその耳をモフモフします。


「クラヒトは魔族を退けたのよ?、当然その報酬も貰ってるわ。」


「そ、そうだったのよ。それじゃあ待ってるがいいのよ、少し時間がかかるのよ。」

 シャーリーは金貨を大事そうに抱えて奥の通路に入っていく。ふむふむ、尻尾も生えてるのか、クルッとした尻尾が大変可愛らしい。


「ふっ、シャーリーが気になるのか?。まぁ確かにシャーリーの種族は獣人の中でも珍しいからな。それにスキルも持っている。」

 俺の視線に気づいたアリアさんがシャーリーの説明をしてくれる。ただ残念なのは俺は種族が珍しいとかじゃなくてケモ耳に驚いているってことだ。それにしても普通に獣人がいるのか。ならエルフとかもいるのかな。その辺も早く本で学習しないといけない。


「スキルってさっきの汚物を消したやつ?。」


「あぁ、そうだ。詳しくは知らないが時空間系のスキルらしい。」

 時空間系!、まさに主人公みたいなスキルだな。明確に強いのがわかるし使いやすそう。…まてよ、なら…


「…なんで冒険者をしてないんだ?。存在を消すって凄いことだろ。」


「…1分前の状態に戻すことしか出来ないのよ。だから戦闘には向かないのよ。だけどここなら使いどころは沢山あるのよ。…ありがとうなのよ。」

 シャーリーがトレーの上に銀貨を積んで持ってきた思ったより量が多い。見かねた俺はカウンターの上から手を伸ばしそのトレーを受け取る。受け取った俺にシャーリーはお礼を言った。毒舌なだけじゃなくてちゃんと礼も言えるようだ。ますます可愛らしい。


「成る程…使い方が難しい系か。」

 1分前に戻すだけなら戦闘では使い所が限られているな。でも書類なら書き損じも無かったことに出来る。


「金貨1枚を両替で銀貨100枚なのよ。確認すると良いなのよ。あとあの袋には金貨が残り99枚入っていたのよ。それはギルドカードに登録しておいたからいつでも引き出せるのよ。」

 銀貨100枚か…。大きさは百円玉くらいだけど100枚持つのは重いなぁ。みんなよく持ってるよ。あとは銀貨の価値がどれくらいかを知らないといけない。


「クラヒト、早くDランクになった方がいいぞ。Dランクからはこのカードに支払い機能がつく。つまりお金を支払う必要がなくなるんだ。といっても露店では無理だから多少は持っておく必要があるがな。」

 そんな驚きの機能がこのカードに⁉︎。まさにクレジットカード。俄然やる気が出てきた。


「今からDランクになるのはしんどいだろうけど精々頑張るのよ。」

 シャーリーもエール?を贈ってくれる。今の言葉をエールと受け取れる俺は既に毒されているのだろう。


「よし、ギルドでの用事も終わったしご飯に行くぞ、クラヒト。シャーリーも一緒にどうだ?。」


「残念だけどまだ仕事があるのよ。そこに転がってる奴らが依頼をサボってるから大変なのよ。」


「そうか、なら一発ずつ殴って行ってやろうか?。」


「…そんなことをしたら全員病院送りになるのよ。」


「冗談だ、それじゃあまた来る。」


「バイバイなのよ。」


「シャーリーちゃんバイバイなのよ。」


「人の口癖を真似する不調方者は死ぬといいのよ!。次に来た時は覚えているといいのよ!。」

 勢いに任せてコミニケーションを取ろうと思ったが失敗したようだ。机をバンバン叩いて怒ってしまった。


「クラヒト、冒険者ランクを上げるなら絶対にギルドに来ないとダメなんだぞ。」

 アリアさんの呆れた視線が突き刺さる。


「…なんかからかいたくなってしまって。…」

 もし怒ってたとしてもあのサイズなら勝てる気がする。自分より弱いものには強気に出る、それが俺です。


「シャーリーは獣人だから人間より遥かに膂力があるから気を付けろよ。はっきり言ってそれだけで冒険者になれるくらいだからな。」

 …え、嘘。


「でもさっきはスキルは戦いに向いてないって。」


「そもそもスキルを持っている奴の方が少ないだろう。それに獣人は生来魔法が使えない代わりに身体能力が優れているんだ。そうだな、シャーリーなら大体Bランクぐらいには戦えると思うぞ。」


「…今から土下座しに行った方がいいかな。」


「今が1番怒っていると思うがな。」


「…今度にします。」

 …冒険者ギルドに行きたくなくなっちゃった。


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