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ギルドに入る、ケモ耳と出会った

 何故か顔と目を赤くしたアリアさんに何も突っ込まず街に散策ニ出ることになった。…これが俺の異世界散策デビューか。本当なら1ヶ月くらい前に済ましている筈なのに。…気にしても仕方ない、俺の新しい人生はここからだ!。


「クラヒト、先にご飯にしよう。この街の名物を食べに行くぞ。」

 金の成る木を出て早速アリアさんが提案してくれる。…なんか良いなこういうの。リア充感ある。


「あ、ちょっと待ってください。俺ローゼリア様に貰ったからお金は有るんだけど…金貨だった。今から行く店金貨って使えるんですか?。」

 王女様から報酬として貰った袋。中身には金貨ぎ詰まっていた。この世界の貨幣価値は分からないが多分金貨はやばい。


「金貨か、勿論流通している硬貨だから拒否されることはないが…嫌がられるだろうな、銀貨でお釣りを用意するのが面倒だろうし。今日は私が奢るつもりだから良いが…。…先に両替に向かうか。」

 どうやら今日はアリアさんが奢ってくれるらしい。男としてそれはどうなんだと思うけどアリアさんの方が強いので今更である。大人しく奢られることにする。


「そうだ、クラヒト、お前ギルドには入っているか?。」

 アリアさんが尋ねてくる。ギルド…確か昔ヨーロッパであった商業組合って意味だったよな。この世界でも同じなんだろうか。


「いや、入ってないですね。そもそも俺が捕まってた理由知ってるでしょ。」

 俺が捕まった罪状は覗きと市民証がなかったから。市民証は騎士の位を貰った時に一緒に発行してもらった。…多分王女様は俺がおかしいって気付いてるよな。市民証は普通ならみんなが持ってる物らしいし。


「そうだったな。なら…冒険者ギルドに行こう。お前は冒険者になりたいようだし、一石二鳥だ。両替もしてくれるしカードを発行すれば金を蓄えることも出来る。」


「分かりました。金貨を持ち歩くの緊張してたんですよね。」

 アリアさんがいるから襲われることはないだろうがそれでも緊張はする。考えてみて欲しい、100万円を持って歩いていたら全員が敵に見えるだろう。今の俺はまさにそんな感じだ。




「ここが冒険者ギルドだ。さっさと用事を済ませよう。」

 アリアさんに連れてこられたのは一見すると普通の平家だった。デカイけど。促されるまま中に入ると途端に鼻をつく臭いが。


「…うへー、…酒臭い…。」

 中にはニ十数人の人がいて思い思いに過ごしている。カウンターで話す者、丸テーブルでカードを用いて遊ぶ者、黒板みたい板ニ貼りついた紙を眺める者、そして1番多いのが床に転がっている者だ。そいつらは揃って顔が赤いから完全に酔って寝てることがわかる。


「普段はもう少しマシなのだが…まだ魔族の襲撃から生き延びたことに浮かれているようだ。」

 アリアさんがやれやれと顔を振る。…そうか、こいつらはあの魔物達と戦った同士なのか。そう思うと愛しくて思えてくるな。


「…うぐっ…オロオロオロオロ…」

 そんなことなかったわ。ゲボを吐く男をみて俺はそう確信する。てか直で床に吐くなよ、まじで。


「…はぁ、またですかよ。マスターに言いつけてやるですのよ。」

 吐き散らかされたブツを踏まないように歩を進めようとするとカウンターの奥から女の子が出てくる。…え、ちっちゃい。多分140くらいだろう。それに…頭にケモ耳がついてる。その女の子が腕を一振りすると床の汚れは何事もなかったかのように消え去る。


「凄…、なんだ今の…」


「…ん?誰なのよお前、そんな変態みたいな視線で見ないで欲しいの。穢された気分になるのよ、マスターに言いつけてやろうかしら。」

 その女の子を見ていたらめっちゃ毒吐かれた。今日は吐く人に縁があるのかもしれない。


「…って、アリアちゃんじゃないのよ。今日はなんの用なのよ?。」


「あぁ、シャーリー、今日はこのクラヒトの冒険者登録をしようと思ったんだ。」

 シャーリーって名前なのかこの毒舌少女。


「えー、この男なのよ?。ふーーーん、…全然強そうに見えないのよ。すぐに死ぬんじゃないかしら。」

 酷い言い草だ。ほぼ事実だからなんも言えないけど。


「そんなことはないぞシャーリー。クラヒトはあの魔族を撤退に追い込んだ張本人だ。」

 アリアさんが俺の弁護をしてくれる。そうだ、もっと言ってやってくれ。俺はそれなりに頑張ったぞ。


「…本当なの?おかしいのよ…全然そんな風に見えないのに。」


「それがクラヒトの凄いところだ。何故かコロコロ雰囲気が変わるんだ。戦場では一人前の男の顔になるぞ。」


「…まぁ良いのよ。あんた、こっちに来るのよ。登録してあげるのよ。」

 アリアさんの説得が功を奏したのかケモ耳少女シャーリーに席に着くように促される。


「…ここに名前を書くのよ。…それとこれまでの狩りとかの経験もあれば書くのよ。…そんなに足ばかり見るなんて死ねばいいのよ。」

 俺が席に座るとカウンターの反対側の椅子に飛び乗る。でも足はプラプラだ、地面についてない。それに気づかれたせいで説明の最後に罵倒された。


「経験って言われても…今回のやつだけなんだけど。」


「それならそう書けばいいのよ。ゼロか有るかだけでも結構違うのよ。」

 そう言われて俺は経験ありと書く。そして紙を出すとシャーリーは紙を奥に持っていってしまう。


「これがあんたのカードなのよ。なくすと再発行が面倒だから無くさないようにするのよ。」

 戻ってきたシャーリーから俺は黒のカードを受け取る。なんかブラックカードみたいでかっこいい。


「それは最低ランクのカードなのよ。Fランクなのよ。」

 俺のちょっとした感動を返して欲しい。経験ありって書いたのはどうなったのだろうか?。


「依頼をこなしていけばランクが上がってカードも変わっていくのよ。精々頑張るといいのよ。」

 何はともあれ俺はこの世界での免許証みたいなものを手に入れた。


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