表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/136

一次試験は筆記試験

『2000035番から2000273の番号札をお持ちの方は受付カウンターにお越しください。10分後に筆記試験を開始します。』

 アナウンスの声が響く。俺はその声を聞き届けると受付カウンターに向かう。…本当に1年も待たされたぜ。海賊王の物語も読み終わったしなんならジャンプで連載していた全作品の単行本読んだんじゃね?ってくらい読んだ。どうやらここでは腹が減らないのは勿論眠たくもならないらしい。ついでと言ってはなんだな転生試験の本も読んだ。けど…あんまり意味はなかったと言ってもいい。性格に問題がないかを調べるテストみたいなもんだったから普通にやれば大丈夫っぽい。まぁ魔王みたいな奴がこのテストで弾かれるんだろう。俺はこのテストで良い点を取ってなんとか人類として転生してやる。


「一次試験はこちらでー行います。簡単な常識力テストですのでー気楽に受けてー下さーい。」

 俺達を案内してくれたのギャルみたいな見た目の女の人だった。だが華美な見た目とは裏腹に疲れが滲み出ている。どうやらここ冥土でも過重労働が横行しているらしい。


「制限時間は1時間ですぅ。それじゃあよーいドン

 …」

 …ん?…今始まった?。…待て待てまだ席にも着いてねーのに。俺は慌てて空いてる席に着く。そこには紙が一枚置かれていてどうやらそれがテスト用紙みたいだ。他の人達も慌てて席に着いて問題を解き始める。


「………ゴンッ!」

 うおっ⁉︎…なんだ?。隣の席の奴が机に頭をぶつけて項垂れている。馬鹿めあんなに時間があったのに対策をしていなかったのか?。俺はスラスラと問題を解いているぞ。これがエリートという奴だ。…って注意しろよ試験官、それもお前の仕事だろ。


「………ぐぅ……………」

 思いっきり寝てるじゃねーか。…まぁ俺には関係ない。既に粗方埋め終わってるし終わったら妄想でもしてよっかなぁ。


「…ぉぃ、……おい……」

 隣のさっき頭を机にぶつけていた奴が呼んでくる。おいおいテスト中に私語は厳禁だぞ。学校で習わなかったのか…っと。おし、終わった終わった。


「…おい、聞こえてるんだろ?。私を助けてくれ。」

 …しつこい。なんだよどんなツラしてやがる。一喝してやろう、そう思い初めて隣に座る奴の顔を見た。…俺は言葉を失った。紅い髪を腰まで伸ばし勝気な目元、涼やかな鼻筋、魅惑の口元、誰が見ても整っていると言うだろう美少女がそこにいた。怒りと言う感情が何処かに飛んでいくのを感じた。


「…お、初めて目を合わせてくれたな。なぁ、頼むよ私はテストである程度点を取らないとかなりまずいと思うんだ。ちょっと見してくれるだけで良いんだ。」

 俺の目を見つめ頭を下げる美少女。その際にふわりと良い香りがした気がした。その香りに誘われるがままに俺は頷いていた。


「おぉ、ありがとう。お前人間なのに良い奴だな。よしよし…」


「…はっ!、俺は…一体…」


「よし、もう良いぞ。ありがとう。」

 そう言うとその美少女は顔を伏せてしまう。…まさか寝たのか?。俺はこの空間では驚く程眠気がこなくて寝ることを諦めたっていのに。


(…もっとちゃんと顔見とけば良かったな。あわよくば名前も知りたかった。…まぁ元ぼっちの俺には厳しいか。)

 あんな美少女の顔をこの距離で拝めただけ僥倖だろ。…それにしてもいつものあの感覚がなかったな。生きてた時なら確実にきてるはずなのにな。


「…ぐぅ………はっ⁉︎。あぁ!!も、もう、終わりでーす!。速やかに筆記具を置いてください!。置かないと失格にして来世はカタツムリとかにしますよ!。」

 いや、まずお前寝てたからな。カンニングもありましたよ。


「せ、選考の結果は明日発表しますのでお待ちください。…あ、もう既にオワターって方は名乗り出てください。採点が省けますので。あ、大丈夫、多分生物にはなれるはずです。」

 いや、そんなこと言ったら誰も言わないだろ。…それにしても点数が悪ければギリギリ生物ぐらいなのか。多分ってのは前世での行いが加味されるからって書いてあったな。部屋からは続々と受験生?でいいのか?が出て行く。残っているのは人混みが嫌いな俺と隣の美少女。


「あ、危なかった。…もし悪かったら…私はどうなっていたんだ?。」

 隣の美少女が顔を青くしながら震えている。…この子まさか前世で何か悪いことをしたのか?。って言ってもこの見た目なら大したことないだろうけど。そんな歳がいってなかったら悪いことする暇もないだろうし。俺はその美少女を一瞥すると部屋を出る。…っとその前に


「…次はグループ面接か。うわー、ちゃんと出来るかな。でもね本棚に対策の本が一杯置いてあったなー。今からでもやれば意味あるだろうなー。」

 赤髪の美少女に聞こえるような声で独り言を言う。…ちょっとわざとらしすぎたかもしれない。でも良いじゃないか。どうせここだけの縁なんだから。


「…!。…『シュタタ…』」

 俺の声を聞いた美少女は慌てて駆け出す。恐らく本棚に向かったのだろう。…寧ろこれで違うかったらそれはもう仕方ない。


「…名前聞いとけばよかったかな。」

 …いや、俺には難しいか。女の子とは…待てよ、最後に話したのはいつだ?。…深く考えない方がいいかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ