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条件と強みを理解したい

「…えー、またここか。…えーと確か俺は…あぁ、神速の切れた後に心臓が痛んで…」

 …あれ?今度こそマジで死んだんじゃね?。俺、心臓とか痛くなったことなかったけど…あの痛みは尋常じゃなかった。本気で心臓麻痺で死んだまである。


(…でも死んだらあそこに行くんだよな。なら…戻れるかな。)

 死に慣れてくると落ち着くもんだ。いや、死に慣れるって何だよ。死んでねーよ。


「…まぁ他にやることはないし…ここなら出てくるだろ。…出ろ!。」

 俺は頭の中で六芒星を思い浮かべる。そしてそれが俺の中に入ってきた時のことを思い出す。入ってきたなら出せるはず。根拠は何もないが確信はあった。そして成功した。目の前に現れた六芒星。その頂点の内三つが光っている。多分だけど俺が使った能力だと思う。


『天癒』『神速』『造匠』。

 天癒は自然治癒力の爆発的な上昇。そしてそれの譲渡も可能。だけど周りのエネルギーを吸収してしまう。

 神速は文字通り疾くなる。だが効果時間が曖昧だし切れたら俺は動けなくなる。それと次使えるまでの時間が分からない。

 造匠は俺が望んだ効果の剣を一振りだけ造れる。これもクールタイムがどれくらいか分からない。


「…特徴はこれで合ってるはず。…あとは…条件か。」

 魔族が来るまでは俺には六芒星は見えてなかった。ということはそれぞれの能力に条件があると考えるべきだろう。……待てよ。


「天癒は治癒のための力だ。…だがあの時俺は怪我をしてない。…俺の知り合いが重傷を負った時か?。…なら俺自身はどうなる?。…複数には可能なのか?。」

 まだまだわからないことが多すぎる。だけど確かめないとダメだ。手札があるのに何も出来ない、…あんな思いはもうしたくない。


「それとあと3つか。…ん?でも能力名は確か…七つの顔を持つ男…。一つ足りない。」

 どう見ても六芒星の頂点は六つだ。伝え間違いか?、まぁ本職じゃないっぽかったしな。仕方ないだろ。


「…んー、まだ見えてない。…なんだ、条件を満たした能力しか見えないのか?。でもそれだと行き当たりばったり感がすごいぞ。」

 それに俺の判明している能力も使い勝手はあまり良くない。能力が尖り過ぎてるんだ。もっとシンプルにパワー10倍!とかが良かったな。


「…ぐ⁉︎…きたな、頭痛。って事は目が覚めるってことか。…良かった死んでなかったんだな。」

 …そう言えば前に目を覚ました時王女様の顔がめっちゃ近かったけど…あれは何だったんだろ。



 ----------------------


 目が覚めるとそこは雪国でした。…なんてことはなくベッドの上だった。


「…暗いな。夜か。」

 目を覚ました俺は灯りを求めて立ち上がろうとした。しかし体が動かない。何かに抑えられている。


「…ん………」


「え!…あ、やばっ…。」

 焦った。俺の太ももの辺りにアリアさんが眠っていたのだ。俺に体を預けるようにして眠っている。…ひょっとして俺のことを心配してくれていたんだろうか。


「…助けられて良かったな。」

 改めて思う。この人を失わなくて良かった。…ただ俺のそんな感傷は長く続かなかった。


「…俺、ひょっとしなくても…尿意がヤバイかもしれない。」

 起きた時から薄々と感じていたが確信に変わった。めっちゃトイレ行きたい。でもその為にはアリアさんを起こさないといけない。


「…そぉーと、そぉーと、……ん、…ちょ、え、待って…」

 アリアさんを起こさないように細心の注意を払って…いや、待って欲しい。…緊急事態です。


「…全く動かない。」

 どれだけの力で俺を抑えてるの⁉︎。腕でガッチリと両膝を固められていて動けないんですけど⁉︎。


「これはもうそぉーととか言ってられない。…そうだ、今こそ目覚めよ俺の力。」

 頭の中で六芒星を思い浮かべる。…ダメだ、使えるはずの3つは薄くなってる。ゲームとかの選択不可の選択肢みたいだ。


「…ぐぐぬ………うりゃぁぁぁぁ………はぁ、はぁ、はぁ…マジでヤバい。…膀胱が出したがっている。」

 え、本当に寝てる?。だとしたらAランク冒険者やば過ぎだろ。このままでは俺は女性の目の前で放尿したゴミ野郎ということになってしまう。精神的にも社会的にも死は免れない。ついでにアリアさんの手によって肉体的な死ももたらされるだろう。


「…頼む、神様俺を助けてください!。」

 俺は今一度神に祈る。あの時は助けてくれなかったんだから今ぐらい助けてくれ。俺の祈りが届いたのか病室のドアが開く。部屋に明かりが刺しそこからラスターさん(神様)が入ってきた。


「あ、クラヒト様、お目覚めですか。貴方の活躍はゴードン殿や冒険者の皆様から聞いております。…あら、アリア様は寝てしまわれたようですね。彼女は貴方の側を離れようとしなかったのですよ。」

 ラスターさんがそう言いながらアリアさんを俺の上から退かしてくれる。え…俺の全力でも動かなかったんですけど…。いや、今はそんなことどうでもいい。俺は最後の力を振り絞りこう言った。


「ここから1番近いトイレはどこですか?。」


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