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使用人と屋敷

次回更新はお休みします。

「初めまして。本日よりこちらの屋敷でお世話になります、アルフと申します。」


「テレサです。」


「メルです。」

 屋敷に着くと門の前に3人の男女がいた。その3人は俺と目が合うと一様に頭を下げて、名乗った。この人達がこれから一緒に生活する使用人さん達だ。アルフさんは四十代ぐらいだろう。ピシッとした姿勢で出来る男感が漂っている。テレサさんは…俺と同じくらいか?。微笑を浮かべてこちらを見て…いや、シャーリーを見ているな。メルさん…いや確実に俺より歳下だから…メルはソワソワしながら待機している。


「初めまして。一応この屋敷を授かったクラヒトといいます。まだまだ若造なんですが宜しくお願いしま…お願いする。」

 最後まで敬語で言いそうになったがアリアさんの言葉を思い出し言い直す。その後にアリアさんとシャーリーも名乗り一応の対面を終える。


「ここではなんだから続きは中で。…って俺が入らないと入れないのか。」

 この中で門の鍵に登録してあるのは俺しかいない。門に触れて開ける。


「申し訳ありません。本来ならば先んじて出迎えるべきでしたのに。」

 アルフさんが頭を下げる。


「いや、今回は仕方ないよ。俺しか開けれないんだし。後でみんなを登録しておこう。」

 全員で屋敷のリビングに向かう。内装はこの前来た時と殆ど変わっていない。所々に見たことのない物があるが…あれはなんだろうか?。魔導具か?…なら無闇には触れない方がいいな。


「白雪、おいで。君も挨拶をしておきなさい。」

 リビングに着いて大きなソファに腰をおろす。コの字型になっているソファだ。そこで白雪の顔見せもしておく事にした。この屋敷にいる以上白雪とは顔を合わせる事になるし。…寧ろ食べ物をねだる為に積極的に触れ合うかもしれない。


「…おぉ、こちらが…。初めまして白雪様。アルフと申します。」


『…クゥ?………キュキュ!。』

 アルフさん達の言葉を大人しく聞いていた白雪は鷹揚に前足を上げて返事を返す。…態度がデカすぎない?。


「…この子龍…偉そうなのよ。…ってかそのサイズでクラヒトの頭の上に乗るのは無理があるのよ!。さっさと降りるのよ。」


『……プイッ。』

 相変わらずシャーリーと白雪は仲が悪いようだ。そのうち、屋敷の中でバトったりしないよね?。


「どうぞ、紅茶になります。」

 テレサさんが紅茶を淹れてくれた。


「ありがとう。…え?…屋敷の中、案内しましたっけ?。」


「我々はこの屋敷の図を頭に入れておりますので僭越ながらお茶をと思い、淹れさせていただきました。」

 …気遣いが凄い。この人…出来る人だな。


「基本的に我々3人で屋敷の事を担当させて頂きます。それぞれ得意分野があり、私は庭師と執事をテレサが給仕と清掃を、メルは料理と…その他は見習いで御座います。」


「料理と…見習い?。」

 メルの説明で不思議な部分があった。この3人はクラリス様が選んだ人のはず。それなのに見習いと言われ引っかかったのだ。


「は、はい。あの、私は料理は得意なんですけど…それ以外は…」

 メルがしどろもどろになりながら説明をしようとしてくれるが要領を得ない。


「私が代わりに説明いたします。メルは代々王宮で料理番を務める家の五女になります。多分に漏れずその料理の腕前は確かなのですが…優秀過ぎました。本人が望まずとも周りが上の兄弟よりも高く評価します。なので徐々に元気を無くしてしまって。それを見かねたクラリス様がクラヒト様の所で強くなれと命じられたのです。」

 テレサが代わりに説明してくれたけど…つまり跡取り問題って事だよね。代々王宮の料理番をしているんだったら一番大事なのは料理の腕だろうし。それが1番下の妹が優秀だったと。…んー、


「強くなれってのが良く意味が分からないな。俺のところに来ても…何にもならないよ?。」


「そうなのよ。クラヒトが役に立つとは思えないのよ。」


「クラリス様はクラヒト様の勇気を大変評価していました!。クラヒト様の人柄に触れるように命じられてきます!。私は…料理しか出来ませんがいっぱい努力して働きます!。だから…私をここにおいてください!。」


「うん、まぁ、別に断る理由はないんだけどね。あんまり頑張り過ぎないようにだけ気をつけて。無理と無茶は違うから。」

 そう言うとメルはしっかりと頷いてくれた。頑張る方向を間違えてはいけない。


「さて、後は各自の部屋だね。荷物は運び込んである筈だから荷解きをしよう。アルフ達の部屋は…」


「クラヒト、その前に門扉の鍵を登録しないか?。この間に客人が来た時面倒な事になるぞ。」


「あ、そうだった。えーと、これに触れて登録をしておかないと。」

 俺はポケットから鍵の魔導具を取り出す。それに順番に触れていくみんな。最後に白雪が触れて全員の登録が完了した。


「…その子龍まで触れる必要あったのよ?。いつもクラヒトと一緒なのよ。」


「白雪だって偶に1匹になりたい時があるかもしれないし、外ではぐれるかもしれないから。」


「そんじゃあ、各自の部屋の荷解きをして。…メル、今日からご飯は作れるの?。」


「あ、はい!。大丈夫です。既に調味料や当座の食材は搬入していただいています。」


「それは良かった。なら晩御飯の時間までにしよう。それまでやる事をやってしまおう。」

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