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正当な報酬

「クラヒト様、お客様がいらっしゃっています。」

 依頼を終えた俺がサクスベルク邸に帰るとメイドさんからそう告げられた。サクスベルク邸のメイドさんは前から俺なんかにも恭しく接してくれるんだけど、アフロディーテを採取してから一段と敬われるようになった。なんでもマーベルさんはこの屋敷のメイドさんにもアフロディーテを配ったそうだ。俺がお世話になっているサクスベルク家には無料で提供したかららしい。それからは俺の評価爆上げである。それまではお嬢様に寄生する馬の骨と思われていたかもしれないが少しはマシになっているはず。


「はい、着替えてから向かいます!。」

 流石にこの前客人に会うのはまずいだろう。一度着替えに部屋に向かう。


(…客人…誰だろう。セレナちゃんとかかな?。…他には…んー、すぐには思いつかない。)

 取り敢えず会ってみないことには始まらない。俺はすぐに着替え終えて扉の前で待っていたメイドさんに案内される。案内されたのは応接室だった。


(…偉い人だったかぁ。…大丈夫だよな、俺。)

 セレナちゃんとかなら屋敷のリビングの方に通されるはず。この部屋を使うということは.そういうことだ。


「失礼いたします。クラヒト様をお連れしました。」

 扉を開けると中にはきっちりとしたスーツのような服を着た男性と…ローゼリア様がいた。


「ろ、ローゼリア様!。すいません、お待たせしてしまって!。」

 まさか王族とは。それならもっと急いだのに。なんでメイドさんは言ってくれなかったのだろうか。


「気にするな。今回は前触れ無き訪問だ。クラヒトに非はない。そのメイドにも私が来ていることを知らせるなと命じておいたしな。」

 …なんでそんな事をするのだろうか。


「お前の驚く顔が見てみたかったのだ。いつもはこちらが驚いてばかりだからな!。」

 …これはメイドさんを責める事は出来ない。何せ王族命令なのだから。


「ローゼリア様、勘弁してくださいよ。…それで今日は俺に何か?。」


「ふふふ、お前の顔を見に来たのだ。」


「…え⁉︎…」

 頭の中が真っ白になる。それと同時にローゼリア様の隣に座る男の人が立ち上がりかける。


「…なんてな。この前のアフロディーテの報酬の件だ。」

 童貞の純情を返して欲しい。アフロディーテの報酬…って確か…


「クラヒトに渡す屋敷の手配が出来た。デルト男爵詳細を説明してくれ。」


「はい、今回王妃さま及び王女様方からの要請により騎士クラヒト殿に贈呈する屋敷の選定をさせていただいたデルトと申します。どうぞよろしくお願いします。」

 ローゼリア様の言葉の後デルトと名乗った男性が頭を下げる。….男爵?。


「…待ってください。男爵?…いやいや、俺の方が下じゃないですか!。すいません、俺なんかの為に。」

 俺は騎士爵。一方のデルトさんは男爵。公侯伯子男の1番下だがそれでも騎士爵よりは上の歴とした貴族だ。


「頭を上げてください、クラヒト殿。クラヒト殿の噂は姫さまより聞いております。貴族の本来の存在理由である外敵から国を守る事を体現されながらも陞爵を断っておられるとか。文官で法衣貴族に過ぎない私よりも国に尽くしておられるのでしょう。」

 …俺の噂、尾ひれが付くどころじゃないよね。羽が生えて空を舞い龍になる勢いだよね。そんで隣のローゼリア様は何故か得意げな顔をしている。…確実に噂を流している犯人の1人だ。


「今回クラヒト殿に提供する屋敷は貴族街にあります。」


「…貴族街ですか。…なんだか緊張してしまいますね。」

 すれ違い人が全部貴族な訳だろ。ちょっとした事で揉め事を起こしそうなんだよな、…シャーリーが。


「ふふふ、安心せよクラヒト。お前ならそう言うと思って貴族街の中でも外輪に近い冒険者達も家を建てている区画にある物件を選んでおいた。」

 ローゼリア様の言葉にホッとする。…いや、ホッとしてもいいのか?。仮にも貴族街に家を建てれる冒険者だぞ?。絶対に強いだろ。そこに俺みたいな奴がいてもいいのか?。色々と疑問が頭に浮かび上がる。


「使用人の手配も既に済んでいる。其方はそれ程使用人を必要としないだろうから取り敢えずは3人だけだ。」

 …3人か。…そもそも使用人のいる生活が異常なんだよね。でも屋敷となると維持にも手間がかかるから必要なんだろうな。


「さて、話していてもこれ以上情報は出まい。後は実物を見ながら進めるべきだな。」

 …今から見に行くの?。…俺1人で?。…シャーリー!早く帰ってきてくれ!。

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