表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/136

王族の矜持、遂にあれを手に入れる。

次回更新はお休みさせていただきます。

「今回の報酬として何か望む物はありますか?。私達としては出来る限りの事はするつもりです。」

 レオノワール様が俺の事を見つめながら言う。


「マーベルさん、…いえ、サクスベルク家の皆さんにも言ったのですが今回この素材を手に入れる事が出来たのはただ幸運だっただけなんです。なので俺としては対価を受け取る事は考えていません。」


「…そうですか。娘達に聞いてクラヒト君の人となりは理解したつもりでしたが、それよりも…。私の無礼を許してください。」

 俺の言葉を聞いたレオノワール様が何かを呟くと頭を下げた。


「え、いや、頭を上げてください!。レオノワール様に頭を下げられるような事は何もなかったですよ!。」

 めっちゃ焦る。王妃様に頭を下げさせるなんて人に見られたら断首になってもおかしくない事だ。


「ありがとうございます。」

 レオノワール様が頭を上げたので一安心。


「クラヒト、お前の考えは素晴らしい事だ。だが…私達は王家なのだ。王家は全ての民の規範とならねばならない。」

 ローゼリア様が俺に語りかけてくる。その口調はまるで何かを教えようとするかのようだった。


「サクスベルク家に恩を感じるお前がその代価を断る事はまかり通る。だが私達はそうはいかないのだ。何故なら私達はクラヒトに恩があってもクラヒトから恩を感じられる事はないからだ。」


「この国は王政です。この国が安定していてそのおかげで俺は平穏に暮らしていけます。」

 ローゼリア様の言う事は理解できる。だが俺の考えは違う。日本にいた時は無能な議員に感謝してしたりなんかはしなかったがここでは違う。王族自らが魔族に襲撃されている危険な街に兵を連れてきたり、ダンジョンに潜ったり、魔道具を開発したりして国の為に尽くしてくれている。様々な種族が融和的に暮らしているのも今の国王の統治のお陰のはず。


「それは私たちの義務なのだ。私達は生まれながらに貧しさや不便などは取り払われる。それは民が納める税のおかげだ。その代価として私達は皆が暮らしやすい国をつくる。その関係が等価なのだ。クラヒトの場合はそれに上乗せなんだ。だから…私達は君は対価を払わねばならない。…分かってくれるな。」

 俺の考えを読んだようなローゼリア様の言葉。そしてそれに頷く他の王女。…素晴らしい考え方だ。是非日本の政治屋達に聞かせたい。


「分かりました。俺の考えが浅かったです。」


「それじゃあ報酬はどうしようかしら。慣例通り金貨が良いかしら?。」


「母上、それでは些か無粋ではないだろうか。クラヒトの功績はただ金を払って終わりという物ではない。」


「やっぱり爵位だよ!。クラヒト、爵位があったら毎年お金が貰えるんだよ!。そ、それに…その…え、偉い人と結婚しやすくなるよ!。」

 クラリス様がここぞとばかりに爵位をゴリ押ししてくる。顔が真っ赤になっているけどどうしたんだろうか。…貴族、貴族かぁ。毎年安定した収入というのは魅力なのだが権力争いとかがあったら面倒臭い。俺としてはそれなりの経済的自由としっかりとした身体的自由があれば良い。だから今の生活で不満はない。


「…クラヒトちゃんは何か欲しいモノはないの?。今なら結構無茶なことでも言えるよ?。あれだったら私の研究室の見学とかでもいいよ?。クラヒトちゃんが考えること面白いから一緒に研究したいなぁ。」


「姉上⁉︎…こほん、……そうだ、クラヒト家はどうだ?。」

 アクティブなクラリス様と奔放なマーガレット様の様子を見ていたローゼリア様。この2人に挟まれているのは大変そうだなとか思っていると思わぬ提案をされる。


「家ですか。…それはかなり魅力的ですね。」

 元々お金が貯まってきていたから家の購入について考え始めていた。その為には信頼の出来る不動産屋さんを探さないといけないし内見とかもしないといけない。若干面倒臭いと思っていた。


「あら?そうなの?。なら屋敷にしましょうか。」

 …ん?今家から屋敷になった?。


「お母さま、屋敷なら使用人も必要だよね。クラヒト、安心してね。私が信用出来る人を探してあげるから!。」


「いや、使用人とかは…!。給金とか払えるとは思えないですし。」


「それなら安心して良い。王家で直接雇用した者を派遣するという形にする。安心しろ、あくまで形だけだ。主人はクラヒトで問題ない。」

 …違う違う違う、そうじゃない。


「屋敷に使える魔導具とかもあるんだよぉ。設置してあげるね。」

 俺の事を置いてけぼりにして盛り上がる三姉妹。


「屋敷となるとすぐに決めるわけにはいけません。一度話は持ち帰らせてもらって後ほど詳しくお伝えします。」

 レオノワール様のその言葉で盛り上がっていた三姉妹が大人しくなった。いや、あれは後で俺が関与できない所でまた盛り上がるだろうな。


「それでは今日は失礼します。クラヒト君これからもこの国と娘達をよろしくお願いします。」

 そんな大きな男じゃないですよ。と突っ込む訳にもいかない俺はマーガレット様が待ってきていた魔導具の容器に譲渡する分のアフロディーテを入れる。交わした約束は口約束だがこの人達が違える事はないだろう。


 こうして俺は屋敷?を手に入れることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ