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マーガレット様と会談、何やら気に入られたようだ

「…ふぇー、その子が魔翠玉から産まれた龍ですかぁ。んー、原因はなんなんでしょうねぇ、大きさ、持ち主、環境、どれが要因なんでしょうかね。あ、私も持ってるんですよこれです。サイズとかどうです?。これよりも大きかったんですか。」


「はい、私は魔導具の開発が大好きなんです。遥か昔の人達の考えに触れるって素敵な事だと思いませんか?。」


「私肩が凝りやすくて…胸のサイズが…」


「マーガレット様!。」


「魔法ですか?私は妹達みたいに上手に使えないです。簡単な収納ぐらいなんです。」

 結論から言おう。マーガレット様めっちゃ喋る。こっちが聞いてもいない事を自分から話し出すので短時間で色々と情報が集まる。一度流れるように自分の胸のサイズを言いそうになってアリアさんに止められていた。やはり相当な変わり者で間違いないようだ。そして俺が知り得たマーガレット様の情報は

 ・普段は王城にて魔導具の開発をしている。(週に一度は爆発させている。)

 ・魔力量自体は多いが魔法を使うのは得意ではない。(ダンジョンで使った魔導具に魔力を注ぐなどしているので基本的に魔力を余らせる事はないらしい。)

 ・甘い物が大好き

 ・最近肩凝りに悩んでいる。

 …後半二つは別にいらない情報だったな。


「マーガレット様が魔力を充填してくれた魔導具には助けられました。」

 マーガレット様にお礼を言っておく。


「いえいえ、私自身は余り運動も得意ではないので自分で魔物を倒したり出来ませんから。自分が出来ることをやっているだけです。だからお礼なんていいですよぉ。もっと改良しないといけないみたいですしね。」

 マーガレット様もあの魔導具の欠点に気がついているみたいだ。


「…そうですね、失礼を承知で意見をさせて頂くと…」

 俺は感じた欠点を正直に述べることにする。技術畑の人にとって現場の意見はとても大事だ。中にはその意見よりも自分のプライドを優先する技術者もいるだろうがマーガレット様を違うだろう。


「あの魔導具の探知の範囲外から強力な攻撃を加えられたらどうしようもないんです。」

 その一撃で全員が死ぬかもしれない。実際魔族との戦いでは直前に白雪が気がついたおかげで危機を回避出来た。魔導具が反応してから回避していたら恐らく間に合ってなかった。


「…そうですね、あれは元々魔物との戦闘を想定した物なのです。魔物で遠距離かつ正確に狙いを定める能力を持つものが確認されていなかったので今まで不問とされてきた問題点ですが確かに改善の余地はありますね。未だ発見されていないだけでそのような魔物がいるかもしれない。魔族と相対する時が来るかもしれませんもの。」

 マーガレット様は俺の言葉に気を悪くしたような素振りも見せず考え込む。…うん、俺も少し考えてみよう。


「例えばなんですけどあの設置する形状を変える事は出来るんですか?。」


「えぇ、可能です。設置する時に完全な円形を作る方が難しいと思いますから。」


「棒一本一本はどのくらい離れても大丈夫なんでしょうか。」


「…そうですね、大体手を横に広げた人2人分くらいでしょうか。それ以外となると出力が安定しなくなる可能性があるんです。」


「となると設置する形を歪にして索敵範囲を広げるのは難しいですよね。かと言って数を増やすと今度は運搬の問題が出てきますし。」


「そうなのです。どれだけ有能な魔導具を作っても使われなければ意味がないのです。制約の一つは質量になります。」


「となると魔導具本体の改良ですか。…難しいですよね。」


「はい、日々研究は進めていますが未だ解明されていない部分も多くて。下手に弄って壊してしまっては元も子もないないので。」

 うーん、中々厳しいようだ。まぁ、普段から研究している人達に俺みたいな素人の意見はな。


「……そう言えばあの棒と棒は魔力で繋がっているんですよね。」


「はい、そうです。その線上を何かが通過すると警報が鳴る仕組みになっています。」


「その魔力のラインを中継する魔導具は作れないですか?。」

 ネックになっているのは棒同士の間隔を広げられない事。広げようとすれば多くの棒が必要になる。恐らくそんなに多くの数はないのだろう。ならば魔力のラインの方に視線をむける。棒が出している魔力と同じ性質の魔力を出すことが出来る魔導具があれば棒の数はそのままに外周を増やすことが出来るんじゃないか?。日本で言うWi-Fiルーターの役目だ。棒を基地局としてそれの範囲を広げる訳だ。


「…魔力を…中継?。」


「はい、棒の数は増やさずに小型の物を間に挟んで魔力を中継する事が出来ればそこまで重量増にならずにすみませんか?。」


「…そうですね、あの魔導具の肝は魔力を蓄えて魔導具同士で繋がる事にあります。…いや、もっと言えば本質は魔力を発して、それが繋がっているだけ。ならその中間に別の魔導具を設置することも可能…なのかしら?。」

 マーガレット様はふんわりとだが俺の言いたいことが理解できたようだ。俺の下手くそな説明でそこまでいけたのは流石である。


「うふふ、楽しいです。…不遜な言い方になりますけど…私に意見を言う人は少ないですから。」

 マーガレット様が楽しそうに笑う。マーガレット様は魔導具開発の天才であり第一王女だ。対等に話しかけるには少しばかり肩書きがデカイ。でも、それを本人が望んでいるかは別だ。


「クラヒトちゃんのアイデアは私にはなかった物なんです。…現状で言えば…かなり難しいです。…でも…出来ないことないはずです。理論は既に私の頭の中に、溢れていますから。」

 難しいと言っているがマーガレット様の目には力がこもっていた。確実にやり切るな、そう確信させる目だ。


「…2人が気に入った理由が分かりました。クラヒトちゃんは…私を見てくれる。敬意の中にも私達への本心がある。」

 ローゼリア様が立ち上がり優雅に俺に礼をした。なんで俺に?。他の人には頭を下げるだけだったのに。


「私はこれで失礼します。やる事がたくさん出来たので。…ローゼリアちゃんとクラリスちゃんと喧嘩になるかもしれませんねぇ。」

 最後の最後に不穏な言葉を残してマーガレット様は部屋から出て行った。…なんでいきなり姉妹喧嘩の話になったんだろうか。


「…まさか…クラリス様の言葉通りになるとは。」


「ねぇ、アリア。貴女何をしてるの?。クラヒトくんみたいに良い子を逃しちゃだめよ?。」


「…やっぱり胸なのよ?。」

 それとこの室内の空気どうにかなりませんかね。

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