目を覚ますとそこは白い空間で満員でした。
12月31日までは毎日午前0時に投稿します。その後は週2回ぐらいになると思います。
誤字脱字の報告も受け付けておりますのでよろしくお願いします。
目がさめるとそこは白い世界だった。…なんてのは書き物だけの世界だと思ってたよ。でも実際にこうして体験してみると、ほぉ〜良くわかってんじゃねーか。と言いたくなる。俺、玉地蔵人は確実に死んだはずだ。良くある小さな子供を庇って…とかじゃなくなんか知らんが足元にあったバナナの皮を踏んで転倒、そして頭を強打し…死んだ。
まぁ元々未練なんて無かったし…いや、机に隠してあったエロ本だけはなんとかしたい。前から思ってたけどラノベとかの主人公ってエロ本を持ってないのか?。気が気じゃないだろ。
「…頭に血とか着いてないのな。…ってか…」
人が多い!。何だここ、人口過密すぎるだろ。ぼっちタイプの俺としては少し…いや、かなり居づらい空間だ。
「ただ今一年待ちとなっております!。こちらの番号札を取ってお待ちください!。あ、はい、特に食べ物は食べなくても大丈夫です。もう死んでるんで。え?、あぁ、はい、詳しくはこちらの冊子をお取りください。」
どうしようかとぼーっと立っていると看板を手に持つ女性が見える。その女性が言うにはなにかを取らないといけないらしい。…仕方ない詳細を聞きに行くか。俺はぼっちだがコミュ症と言うわけではないからな。
「…あ、あの、お、ぼ僕はこれからどうちゅればいいでしゅか!。」
…カスかよ俺。たった20文字の会話もままならないのか。
「はい、えーとえーとまだ番号札をお取りになってならないですよね。」
どうやらその女性は疲れているようで頭があまり回っていないっぽい。俺のカミカミの発言もスルーされている。
「そうですね、って言うかここは何処?。」
「ここは全世界共通冥土となります。死んだ方は一様にここに集められ次の生に振り分けられます。すいません、普段はこんなに混んでないんですけど…第三世界で魔王が人口の半分を死滅させてしまったので大変混雑してしまっているんです。」
待って、えーと言っている事の半分が理解出来なかった。これは俺がカスだからとか関係ないはずだ。魔王が人口の半分を死滅ってそんなパワーワードあってもいいのか?。
「あ、大丈夫ですよ。その魔王は勇者連合によって討伐されましたから。」
成る程…良かった、とはならないよね。だってさ…
「そのやべー魔王もここに来てるって事ですか?。」
「……………」
「何か答えてよ!。」
「…あ、後の事はこの冊子をお読みください。」
あ、逃げた。あの態度…先ず間違い無くそのヤベー魔王もこの空間にいるってことだな。…見渡しても何も分からんわ。
「…転生の手引書。…幼児向けかよ。」
渡された冊子には絵本のようなタッチで転生について詳しく書かれていた。大事な事はこんな感じ。
1、転生先は筆記試験、グループ面接、個人面接によって決まる。
2、人生履歴書を提出する。
3、転生したらここでの記憶及び前世の記憶は無くなる。
4、事前の準備がとても大事。
5、面接はアットホームな雰囲気で行いますので緊張しないでください。
「…3以外企業の採用みたいだな。」
って言っても絶賛大学三回生だった俺はまだ受けたことなかったけど。…事前の準備って何だよ。SPI対策みたいなことをした方がいいのか?。あと5は絶対嘘だろ。信じて緩く行ったら滅茶滅茶詰められるやつだろ。
「事前に準備か、いやその前に番号札を取らないと。」
あの女の人が言ってたことを思い出す。券の発券機は〜あそこか。そこにも人が並んでいる。ん?良く見ると頭にケモ耳が生えてるひともいるな。…勝手に触ったら怒られるかな。と一人で葛藤をしていると俺の順番が来た。
『2000035番』
俺が取った紙にはそう書かれていた。因みに今は10018番から10330番までが選考に入っているらしい。まだまだ過ぎるだろ。もっと最適化させろよ。
「…お、あそこに何か本が一杯あるっぽいな。…転生試験の対策でもするか。」
幸いと言うか何というか一年の待ち時間があるらしいからな。俺は一冊の本を手に取ると床に座り込み読み始める。お腹は空かないって言ってたしな。ちょっくら集中するか。
「…………違う!。これ只の漫画じゃねーか!。」
読んでいくうちにあれ?これ読んだことあるなと思ったら俺が5回は読んだマンガだった。なんでここに俺の世界の漫画があるんだ。そんなに人気なのか尾田栄一郎。紛らわしいことをしやがって。
「まぁ、1年ある。…ゆっくりやってくさ。」
俺は転生試験対策の本…ではなくある海賊王の物語を読み始めた。…いや、気になってたら効率落ちる気がするから。先に読んどくだけだから。あとでちゃんと対策するし。