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rainy  作者: ぴょんす
2/5

少し変わったが、振り続ける雨

今日もまた、『雨』だ。

だが、以前とは違う、少しずつ変わっている。

色々な人が言う、雨の強さによって変わる『雨の呼び方』、それを降り続けているだけの雨から感じる様になってきた。

今まで変わることのなかった雨が。


変わり始めたのは、あの女の子と話を始めた頃、2週間ほど前だったか。まだ日にちに興味が無いからか、何となくでしか感じられない。

ただ雨と違い、彼女は恐る恐るこちらに話しかけてくる。

あまりいい気分ではない、だが、悪いくもない。


「あの、今日の天気も、いいですね」

「そうかな。相変わらずの天気だけど」

「ふふ、そう言われれば、そうかもしれませんね」


相変わらず、彼女は黄色いレインコートを着て、目には周囲にあるはずのない光源を宿している。

少しの間だけ話すようになり、彼女の事が分かってきた。

この公園の近くにある医療系の大学の学生で、俺に話しかけてきたのも

教室から見える公園で、ベンチに座り、傘をさしている人に興味が出てきたそうだ。

雨の中、傘をさしているのがそんなに珍しいのだろうか、いや、そういえばレインコートが流行だったか。


あの後、ニュースを見たが、テレビに映る人たちもレインコートを着ていた。

本当に、いまの時代、傘をさしているのは珍しいのだろう。


「ところで」

「は、はい!」

「その、レインコート、毎日同じものを着ているみたいだけど、干したりしなくて大丈夫?」

「え、レインコート・・・ですか?あ、で、では、また明日!」

「あ、また明日」


いつも通りの時間だ、もう少し長く話したかったが、この路線のバスの運転手は勤勉なようで

雨の中でも時間通りにくる。これが熟年の技というのだろうか、流石の一言だ。


相変わらず、彼女は走ってバスに向かっていく、雨でぬかるんだ公園の土を勢いよく。

あまりにも真っ直ぐに向かっていくので、滑ってしまわないか心配になるが

泥に足が取られる様子もないので、雨の中上手く走るコツを知っているのだろう。

自分は雨の中走ったら、転け無かったことがないので、今度教えて貰いたい。


そして、最近もう1つ気づくことがある。


急に『肌寒く』なったのだ、雨で空気が湿って冷える事はずっと味わってきたが、長く続いた雨の中でも味わった事がない程に空気が冷たくなった。


その嫌な寒さに耐えきれなくなり、実家から炬燵を送ってもらった。

実家でよく入ったまま眠ってしまったこともあったなと組み立てながら思い出に浸っていた。


そんな中、不思議なことに、炬燵と一緒に入っていたこたつ布団から、柔らかな日の香りがしたのだ。

そういえば、母も「干したてだから気持ちいいよ、子供の頃みたいに寝ないようにね!」

と言ってくれていた。


実家から、今住んでいる所はそこまで遠くはないが、実家の方だけ晴れているということはあるのだろうか。

だが、これでこの寒い雨を耐えれば、家で温まることが出来る。

そう思いながら、ポツポツと水たまりに波紋を見せる位に弱まった、冷たさを感じる風雨の中を


炬燵にの温かさに包まる自分の姿と、明日の事に期待しながら

キュッキュと小さな音を立て、雨音と共に進んで行った。

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