第5話 クレア救出
街に逃げて俺たちは何かの店に入った。
「ハァ、ハァ…ここは」
「なんだ知らずに入ってきたのか。用がないなら帰った帰った」
「おっさん、頼む。人に追われてるんだ。俺たちを庇ってくれ」
「なんだか知らんが。わかった」
俺たちの表情を見てことの重大さを察したのだろう。すんなり受け入れてくれた。
「とりあえず防具を入れる箱に隠れとけ」
「ありがとう」
「ありがとな」
「あ、ありがとうございます」
俺たちは箱に入った。三人も入ると窮屈だな。
「おい、ここに黒髪と赤髪と緑髪の奴がこなかったか?」
「そんな奴等知らねえよ。だいたいいきなり押しかけてきてなんなんだいったい。商売の邪魔するんだったらさっさと出て行け」
「あ、おい」
どうやら無理矢理追い出したようだな。
「もう大丈夫だ。でてきていいぞ」
「ありがとう。この恩はいつか返しに来るからな」
「ああ、期待して待ってるよ」
「ところでなんで追われてたんだ?うぃかも魔王の仲間に」
「話して大丈夫かな」
「うーん。いい人そうだけど、まあ、何か起こってもその時はその時だ」
「驚いたりしないか?」
「ああ、絶対しない」
「じゃあ、話すぞ」
俺は自分が魔王ってこともなんで追われてるのかも話した。
「ええ⁉︎兄ちゃん魔王だったのか⁉︎」
あれ〜驚かないんじゃなかったのか?
「兄ちゃん本当に魔王なのか?あんまり強そうじゃねえな」
「恐れたりしないのか?」
「魔王っていっても兄ちゃん悪い人じゃなさそうだし。それにもし報告しても庇った罪で捕まるだろうしな」
後方の方が本音そうだな。
「じゃあな、おっさん」
「おお、くれぐれも気をつけろよ兄ちゃんたち」
「ああ」
そして俺たちはドライル島に向かった。
だが、途中で上から大きな檻が落ちてきた。
「うわ、」
我が操る風の神よ、今この封印を解く、神よ、あの者たちに音速の風を送れ!」
「サウンド・スピード・サイクロン!」
俺たちは風の勢いで速く飛ばされて逃れることができた。
だが、クレアが檻に捕まってしまった。
「クレアー!」
「ち、魔王とその仲間の一人を逃してしまった」
「まあ、あいつらは仲間たちに任せて俺たちはこの女を牢屋にぶち込むぞ」
「そうだな」
「い、いや。もうあんなところに入りたくない」
止まれない。クレアとどんどん離れていく。
「ムツキ、捕まれ!」
何か考えがあるのか?俺はリナの手を掴んだ。
「我が操る火の神よ、今この封印を解く、神よ、溜めたエネルギーを一気に解き放て!」
「エクスプロージョン・マジック!」
するとリナはクレアと反対の方向を向くと、手からジェットエンジンのような火噴射した。
そんなことまでできるのかよ。
魔法って本当すごいな。
おかげで止まれることができた。
そして俺たちはクレアがいたところに向かった。
だが、遅かった。もうそこには、クレアはいなかった。
「くそ、遅かったか」
「助けにいかないと」
魔王の手先なのに仲間思いなんだな。
やっぱり本当はいい奴等なのかな。
でもやっぱりおかしいな。そんな人たちがなんで魔王の手先やってるんだろう。
やっぱり何か事情があるんじゃないだろうか。
「あいつら牢屋にぶち込むとか言ってたから多分城の地下に行ったと思う」
「牢屋があるのか」
「ああ、気に入らない奴をその牢屋に入れて、何人かの奴隷が死んだら、解放して奴隷にするというシステムだ」
どこまでもふざけてるな。殺すまではしないが罰が必要だな。
「魔王の城ってどこだっけ」
「今この辺りだから、西に行けば辿り着くと思う」
「行くぞ」
そして俺とリナは城に向かって走った。
「どうやって城に入るんだ?」
「この城の玄関扉には見張りがいる。だけど、裏とか横には見張りはいない。だからそこから登って、ベランダに窓があるはずだから、私の火の魔法でそのガラスを溶かして入るんだ。だからまず梯子が必要だな」
「そんな物ないぞ。お金って持ってるのか?」
「ああ、金貨五枚だけど」
この世界では、金貨と銀貨と銅貨を使うのか。
金貨五枚だけって言ってたけど、それって少ないのか?
「じゃあ、梯子が売ってある店に行くぞ」
そして俺たちは、店に行って梯子を買って城の横に行った。
「もう夜か。梯子を買うまで結構時間がかかってしまったからな」
「まあ、夜の方がバレにくいし、大丈夫だろ」
「確かにそうだな」
梯子置くだけだからちょっと危ないな。
俺たちは梯子を使ってベランダに登った。
「我が操る火の神よ、今この封印を解く、神よ、太陽のごとく、熱く小さき光を出せ」
「ホット・ライト」
「毎回思うんだけど、その呪文って言いまいなのか?」
「生まれつき魔法を使える人は言いまいだけど、無属性の人は言わなくてもいいんだ。でも何も言わないわけじゃない。魔法の名前とかを言わないといけないんだ」
リナは手から小さな火を出して、ガラスを炙りながら話をした。
溶かしたら、俺とリナは、城に侵入した。
どこに行っても地下の入り口がなかった。地下に行くためには玄関を通らないといけなかった。この城の玄関の間取りは玄関から見て真正面に端から端までの幅の広い階段があって、階段の上には偉そうな人が座るような椅子があった。そして扉から階段の上まで絨毯が敷かれていた。端っこにも二階に続く階段があった。
端っこの壁にはドアが二個ずつあった。
地下の入り口は真正面の幅広い階段の上の右の奥にあった。
俺たちは左の階段を登った後の道の奥にあるドアの近くにいた。
階段の上に魔王が椅子に座っていて、その横に人が立っていた。そして階段の下に四人の手先がたっていてその人たちが何やら話をしていた。
俺たちはそこを通って端っこの地下の入り口にいかなきゃならなかった。
「どうやってバレずに地下に行こうか」
「たまには自分で考えたらどうなんだ」
これは思いつかなかったんだな。
「それもそうだな。うーん……」
思いつかない、どうしよう。
「あっちの廊下いってそこであいつらが話を終わって解散したら一瞬で入り口に飛び降りて地下に入ればいいんじゃないか?」
「じゃあ、どうやってあそこまでいくんだ」
「そうだな。そっといけばいいだろ」
「いや、それはさすがに舐めすぎだろ」
だったらお前もちゃんと考えろよ!
「それしか方法が思いつかない。その方法を試すしかないだろ」
俺たちは話を終えるとそっと階段を下りるとそっと玄関を通った。
そして、右の階段を登って奥に進んでドアの付近に行った。
そこで俺たちは魔王たちがどこかにいくまで待った。
なんの話をしてるんだろう。
俺はそう思うと、耳を傾けた。
「この世界に新しい東の魔王が召喚されたそうだ。そいつの倒し方を考えよう、と思っていたんだが、この俺たちの国にその魔王がきたという情報が入った。」
「なんですって!」
「多分、魔宝石を手に入れるために来たんだろうな」
「その仲間の一人を捕まえて牢屋に入れてるんだが、もしかしたらこの城に侵入しようとしてるかもしれない。いや、もしかしたらもう侵入してるのかもしれない。だから一階から隅々まで探すぞ!」
「「「「はい!」」」」
話を終えるろ探し始めた。
チャンスだ。みんなそれぞれの部屋に入って探し出したから今ここには誰もいない。
行くのは今しかない。
俺とリナは下に飛び降りて地下に行く階段を下りた。
そこには廊下があり、横には牢屋が並んでいた。
廊下は奥の壁が見えないほど広かった。
といっても暗くてほとんど見えないけど。ていうか、この長さ、普通に城の範囲外だよね。
一つの部屋に一人入っていた。
奴隷は後ろに組んで手錠がかけられてその手錠は鎖で繋がれていてあまり動けないようになっていた。
何百人いるんだよ。いや
百ってレベルじゃないかもしれない。
こんなに奴隷にしようとするなんて本当クズな奴だな。
といっても俺は殺したりしない。
「クレアを探さないと」
そうだった。いったいどこにいるんだ?
たくさん牢屋があるから探すの大変だな。
六百メートル程進むとようやくクレアを見つけた。
「ム、ムツキ様!」
「シッ、静かに!」
「す、すいません」
クレアは落ち込んだような感じでそういった。
「いや、別に怒ってるわけじゃなくてだな。それより、ここから出る方法を考えないと。」
「火でも風でもどうにもならなそうだし。うーん…」
そうこう考えごとをしていると来た道から足音が聞こえた。
「誰だ!」
俺はそう言うと、戦闘の構えに入った。といっても俺は戦えないんだけど。
足音がだんだん近づくにつれ、姿が少しずつ見えてきた。
完全に見えると俺は唖然とした。
その足音の正体は、この北の国の魔王、その人だった。
その魔王は不気味な笑みを浮かべていた。
近くで見ると以外とイケメンだな。
ってそんなこと考えてる場合じゃないだろ。
「お前は!さすがにバレてしまったか」
「よう、上手く地下に入ったようで何よりだ」
「どういうことだよ」
「俺がお前たちをここに行かせるチャンスをやったってことだよ」
なに!てことはこいつは最初から知ってたってことだよな。それなのになんで地下に導かせたんだ?
「なんでチャンスをやった」
「お前たちを早く強くさせるために決まってんだろ」
「なんで俺たちを強くさせようとするんだよ」
「強くなったところで俺と戦って殺すってことだよ」
俺が負ける前提かよ。完全に舐めてるな。
「まあ、そう警戒すんなよ。今はまだ、戦うつもりはない」
俺はそれを聞くと構えをやめた。
「全く、あいつらが捕らえるから、俺が楽しむまでの時間が増えたじゃないか」
こいつは戦いとか殺し合いとかをゲームと思ってるのか?
「檻を開けてやるよ」
「何を企んでる」
「何も企んじゃいねぇよ」
俺は魔王を睨みつけた。絶対何かすると思った。
だけど魔王は檻に近づいて本当に檻の鍵を開けた。
特に、怪しいところも見られなかった。
魔王はわりとあっさりクレアを返してくれた。
「聞きたいんだが、お前は俺たちの味方なのか?それとも敵なのか?」
「さあな、今は、味方かもな」
魔王はニヤニヤしながらそう言った。
その後は特に誰にも見つからず、俺たちは城を後にした。
今は、か。俺が力を得ると敵になるということか。
俺にとっては最初から敵だけどな。あいつは俺と戦って楽しもうとしてる。戦いをゲームだとゲームだと思ってる奴だ。
だからやっぱり懲らしめたほうがいい。そのためには魔法を習得して、そしてあいつと戦う。考えてみれば、やろうとしてることはあいつとほとんど変わらないな。
魔法を習得したらあそこの牢屋にいた人たちも助けよう。
そして俺たちはドライル島に向かった。