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格差社会における異世界転生について  作者: ゆきしろ
第一章 ~アーデルハイト~
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~転生後 アーデルハイト2~

「おお!無事に許可が下りたようだな、ハイジ!子離れできていない皇帝の事だからもしや、と思って心配したぞ!」


「団長!流石に不敬ですよ!余りそういう事は大声で言い回らないで下さい!」


 最初に声を掛けて来られたのは、私の専属騎士団、頼もしい仲間たちを束ねて下さっている団長のディートハルト・ブランケンハイムさんです。とても腕が立ち、素晴らしい戦術眼もお持ちなのですが、その性格が災いして軍では冷遇されていました。度々命令無視をしては降格、昇進を繰り返していたのです。結果、軍の将軍とは同年齢で腕も同等以上にも係らず、閑職へと追いやられてしまいます。そこで、お父様や将軍さんにお願いして私の直轄部隊に来て頂きました。強面に大柄な体でちょっと口が悪く、デリカシーの無いところはありますが、仲間・部下思いで優しく、頼りになる方です。

 そのディートハルトさんを諫めて声を掛けられたのはエルンスト・ライゼンガンクさん。お父上も国の要職を務められていた立派な貴族、騎士です。残念ながら、お父上は汚職に手を染められ、しかもそれが明るみになるところでした。そのままでは連帯責任でエルンストさんも処刑されてしまうところでしたが、私がお父上の反逆をどうにか間際で食い止め、エルンストさんに関してはお父様に嘆願してお許し頂きました。エルンストさんご自身は汚職にはかかわっておらず、しかも優秀な方でしたので。その縁で、私の下に来て頂く事が出来ました。華奢な体ながら剣の腕も確か、端正な顔立ちに頭脳明晰と、一言にしてみれば『スーパーイケメン』といったところでしょうか?


「がはははは!済まん、済まん。いつもの癖でな。」


「いえ、お気になさらず。お父様が少々過保護なのは事実ですし。」


 私も常々そう思っておりますので。


「で、出立はいつ?こちらはもう準備できてるんで、いつでも行けるんだけど?」


「お待たせして申し訳なかったですね。直ぐ支度致しますので少々お待ち下さい。事情は……、まあ、ご察し下さい。」


 若干不機嫌な声で、出立を急かされたのはクラウディア・ヴェルトナーさん。若年ながら天才肌の魔術士で、よく先進的な魔術やその応用技術を考案されております。優秀さに見合ったプライドも持ち合わせていたため、周囲とは折が合わず閑職にまわされておりました。そのまま腐っていかれるのは非常に勿体なかったため、引き抜きをさせて頂きました。口は悪いですが魔術の腕は確か、理論だけでなく実践もこなせる優秀な方です。自分で『天才美少女魔術士』と称するのはちょっとだけどうかと思いますが。


「ふうん。まあ、予想はつくけどね。じゃあ、ちゃちゃっとお願いね。

 で、アンタたちも何か言う事は無い訳?」


「いえ。自分は姫様のご都合を優先するだけですので。」


「……何も。特に問題ない。待つのは得意。ヤルのと同じ位。」


 クラウディアさんに話を振られ、固い声で返された方はフリッツさん。孤児院の出身で、私の発案で設立された学校を視察した際、目に留まり引き上げさせて頂きました。腕も頭脳もまだまだで将来に期待、というレベルですが、非常にまじめで律儀な努力家です。面倒見もよかったようで、孤児院やその出身者にとても慕われています。あ、別に好みだったから、という訳ではないですよ?私には心に決めた方がおりますので。その方とは全くと言っていいほど似ておりませんし。

 最後に、抑揚のない平淡な声で返事をされたのはカミラさん。とある暗殺者集団のエースだった方です。その組織は、子供たちを攫ったり、買ってきたりしては教育を施し、人質等をとりながら言う事をきかせ、仕事をこなしておりました。私も命を狙われたのですが、そこを逆手に取り、壊滅させて彼女を自由にして差し上げました。その後、騎士団への参加を希望され、今に至る形です。組織での教育の影響・仕事柄、あまり感情を表に出されないですが、仲間思いの優しい方です。今は、その技術を生かして諜報活動などに従事して頂いております。

 以上5名の方が、私専属騎士団の主要メンバーとなっております。勿論、5名だけではなく、その下に更なる実働メンバーや、裏方として支えて下さっている事務・補佐メンバーの方々もおられます。皆が、私の頼もしい仲間たちです。因みに、この騎士団には『高貴なる影』という俗称が付けられています。厨二病っぽいネーミングで、ちょっと恥ずかしいですね。

 先ほど、私には心に決めた方がいる、と話させて頂きましたが、その方は騎士団のメンバー等という訳ではなく、そう、前世でお知り合いだった方です。一緒にこの世界へ転生されているはずですが、まだこの世界ではお会い出来ておりません。目下のところの私の目標としましては、国力を増強しつつ、その方をお探しし、再会する事にあります。


「お待たせしました。それでは早速参りましょう。」


 こうして、私は仲間たちとともに神都に向かう路へと就きました。

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