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格差社会における異世界転生について  作者: ゆきしろ
第二章 ~ジル~
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~転生後 ジル1~

僕の名前はジル。姓も持たない唯の村人で――異世界からの転生者だ。

 あのぬいぐるみもどきが言っていた通り、僕が10歳となって暫くたった頃、突然前世の記憶を取り戻した。当時は急に湧き出てきた訳の分からない記憶に混乱し、不覚にも昏倒して暫し寝込む事となったが、その間に記憶・状況の整理が出来た。また、前世分の記憶が追加されただけで、それまでの記憶も残った状態だった事もあり、今では記憶を取り戻す前と同じ様に生活できている。――できてはいるのだが。

 今世の僕が生まれたのは、帝国と呼ばれる大国において、主要街道から外れたところにあるさびれた村。そこの変哲もない1住人、かつ5人兄弟の下から2番目というポジションだ。しかも、身体が大きくないため、労働力としてもイマイチ。正直、居なくなった方が食い扶持が減るという観点で家族にとってプラスなる。そして、僕には今世でも是非会いたいと考えている人間が居る。

 自分の置かれている環境や、今世でやりたい事を分析・考察した結果、僕はこの村から出ていく事を決めた。幸いな事に、この世界には「冒険者」と呼ばれる何でも屋が存在し、大きな町にはその互助組織、冒険者ギルドがあるという。村を出て冒険者になる。RPGでよくある展開だが、僕もそれを目指す事にしよう。

 そこまで決意したが、何も考えずに村を飛び出すような真似は当然しない。屈強な身体を持っている訳でもなく、何の知識も持たない村人Aがそんなことをしても、街に辿り着く前に野たれ死ぬだけだ。まずは入念な情報収集・準備から。前世でも、RPGは装備を完全に整え、十分にレベルをあげてから次へ進むプレイスタイルだった。そして、今回はゲームではなくリアル。人生は一発勝負なのだから、尚更慎重に行く必要があるだろう。セーフィティネットが整備され、失敗してもやり直しがきく、という状態なら別だが、この世界にそんなものは無さそうだ(教会で蘇る、というような事は恐らく無いだろう)。

 転生の特典、という点で考えてみると、能力・才能面では恐らく平凡か、或はそれ以下だと思う。出自というところからも、その傾向がみられる。まあ、どこぞの王族の落しだねという可能性はゼロではないが、望み薄だろう。

 容姿に関しても、水面に映して見る限りでは平凡。『可もなく不可もなく』だ。美醜の基準が前世と変わらなければ、という前提ではあるが。そういったものは、時代――場所――個人で異なる可能性が高いので、自分の感覚はあまりあてにならないだろう。左右対称、だとかある程度ベーシックな基準が無くも無いけれど。

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