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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

I love you forever

作者: もりもり
掲載日:2018/06/28

主人公はサイコパスかもしれません

  私が貞子様にであったのは、とても暑い夏の頃でした。

 私が男の身でありながら彼女の側仕えを命じられたのは、私の第二の性に関係します。私は西洋で言うところのオメガと呼ばれる存在でした。日本では昔からさかりと呼ばれていて、その名の通り盛って畜生のメスのように性交を求める時期が三ヶ月に一度あるのです。

 貞子様の父君は私がいやらしいオメガだが男としてのものは役立たずであるため娘の貞操は守れると私を彼女にあてがわれました。

 私は貞子様に出会うまでオメガであることを親に疎ましがられ、追い出されはしないものの使用人のような扱いを受けていました。なので貞子様のお世話をする事はあまり苦になる事は無かったのですが、年頃の少年であった私は、貞子様の着替えを手伝うことができませんでした。側仕えとして着物を着るのを手伝うべきなのに貞子様は器用に一人で着替え、私に「別に気にしなくていいのよ」と笑って言ってくださいました。

 ここまで聞いたらお分かりの通り、貞子様には私しか側仕えがいませんでした。彼女は父君と愛人との子供で、十の頃にこの家に引き取られたそうです。この家には当然正妻の方がおり、その方の目が怖く貞子様に仕えたがる使用人がいないのです。私が来るまで彼女は一人孤独であったそうです。

 


  彼女は私を見下す事なく友人として扱ってくださいました。庭で花火をしたり、私が厨房から持ってきた西瓜を食べたものです。彼女は私に「あなたといると楽しいわ」と笑ってくださいました。

 そういえば言っていませんでしたが彼女の第二の性はアルファでした。人間の中で最も優れた者を表すアルファです。昔は名が無かったのですが、西洋の情報が入ってきてからそう呼ばれる様になりました。貞子様はさすがアルファと言えるほど天才でした。しかしそれは彼女の努力も含まれるもので、自分の力に奢ることは決してありませんでした。



  そして私が貞子様に仕えて何年か経ち、お互い女性男性と呼ばれる歳になった頃、貞子様に婚約の話が来ました。

 相手の方は貞子様と同じアルファの男性です。私の中肉中背の身体とは全く違う男としての色気を感じるほどたくましい身体の方でした。

 貞子様は彼にひとめぼれをしたようでした。その様子を見た時、私の心がひどく痛んだのを覚えています。そこでやっと私は彼女に心を寄せていることに気づきました。



 貞子様は彼に会うたびに心を寄せていくようでした。そして同時に泣く事が多くなりました。

 私は一度彼女に何があったの聞いたことがあります。その時貞子様は「彼には思い人がいるの。私は邪魔者なのよ。どうしてあの女なの。私の方が、私の方が…」彼女があの様に感情的になる所を見たのはこの時が初めてでした。

 物を大事にするはずの彼女が、幼い頃から大事にしていた人形を壊したことには驚きました。なぜこんなことをするのか私は尋ねました。彼女は「あの女にそっくりなそんな人形はいらない。燃やしなさい。」そう言いました。しかし、そう言った彼女の狂気に満ちた顔はとても美しかったものです。憎しみに満ちた顔も彼女は美しかったのです。



 彼女の行動は次第に激しくなっていきました。

 婚約者殿の愛する方の家に犬の死骸を置いたのはまだいい方でした。そのうち人力車の車輪を緩くしたり、食事に毒を仕込ませたりする様になりました。

 私はただ彼女の行動を見ていました。その行動を止めるべき自分が何故貞子様を止めなかったのか今でもわかりません。しかし婚約者殿の愛する方さえいなくなれば、貞子様は幸せになる筈だと心のどこかで思っていた様に思います。私はすでに狂っていました。貞子様が幸せになれば、また私を見てくれると、そう思い込んでおりました。



 しかし貞子様は幸せにはなりませんでした。

 どんどんとやさぐれていきました。目には昔の様な優しい光が燈らなくなっていました。

 また彼女はよくお酒をお飲みになり、その度朦朧としたご様子になると私に目を移すことがありました。私はそれが嬉しかったのを覚えています。彼女はよく私に目を移すと「嗚呼、あなたはそこにいたの、気づかなかったわ、御免なさい俊彦様」と言いました。俊彦様というのは婚約者殿の名前です。酔われた貞子様は私を俊彦様に見ている様でした。ですが私はそれでも良かったのです。私と彼女の目があっているということが、とにかく嬉しかったのです。



 そんな毎日を過ごす中、私が人生で一番忘れられない夜が訪れました。

 その夜も貞子様は酒で朦朧としておいででした。そして私を俊彦様だと思い、楽しそうに話されていました。その時、まだ来ないと思っていた発情が私の体を襲いました。

 私の体から発するいやらしい香りにアルファである貞子様も反応なされました。貞子様のいつもは存在しないものも反応なさっていました。私はそれに近づいて舌を這わせます。貞子様は美しい声で鳴かれました。しばらく経つと口では収まりきらない大きさになりました。発情で私も朦朧としていました。私のいつもは排泄に使う場所もメスの様になっていました。

 私は頭のどこかでやめなければならないと思っていました。しかし理性より本能の方が大きかったのです。私は貞子様のものを体に埋め込みました。貞子様は気持ちよさそうに鳴かれておりました。それはそれは可愛らしかったです。ですが、それもすぐに終わりました。


 私はすぐに貞子様に屈しました。体をえぐられる様に扱われ、苦しい中とても幸せでした。「俊彦様、俊彦様」と彼女は叫び続けていました。

 この状況でも私は私として認識されていなかったのです。それでも私は一つになれたことが幸せでした。彼女と目があって幸せでした。

 意識が飛ぶ前に首筋を噛まれ何かを言われました。確か「とし」だった様な気がします。意識が飛ぶ前にまで婚約者殿の名前で呼ばれるとは、今考えると虚しいです。ですが私と貞子様は番になりました。オメガとアルファしか出来ない、お互いが死ぬまで切れぬ愛の約束。どちらかが死ねば、もう一人もすぐに死ぬという呪い。そう考えると、きっと貞子様はもうすぐ死んでしまうでしょう。

 何故なら私は今死刑になろうとしているのですから。



 何故こんなことになったのかというと、貞子様と俊彦様の婚約パーティーの時、貞子様は俊彦様に婚約破棄されました。

 彼の隣には彼の愛する人。彼は貞子様の彼女に対する罪状を証拠と一緒に全て宣言されました。きっとあのままでは貞子様が死刑に処されるところだったでしょう。

 私は彼女の前に出ました。その頃体調が優れなかったため、顔が青ざめていたのでしょう。俊彦様は何か勘違いしたのか「その者を助ける為に体を張らなくていいのだ。お前が間者を手引きしたと聞いているが、それもこの女に命令されたからだろう。」と言いました。

 私は、彼の愛する方を脅したのも命を狙ったのも全て私の独断であると言い、そして盛大に彼の愛する方罵りました。最後に、彼の愛する方に向かって「お前が死ねば全て良かったのだ。」と言いました。

 婚約者殿もついに怒り、わたしを兵に捉える様命令しました。そして牢に入れられ、つい先日「死刑」を言い渡されました。

 刑を執行されるまでに長い時間がかかりました。それは私が子供を身ごもっていたからです。貞子様との子です。この国では罪のない命は殺してはいけないという法律がありますので、子供を産んでから刑を執行されることになっていました。

 子供は貞子様に似て美しい玉の様な女の子でした。一度、抱かせてもらった時はとても幸せでした。



 やり残したことはありません。

 あの子も養子としていい家で育ててもらえる様でした。子供を引き取ってくれた家族とは牢屋から会いました。罪人の子供だというのに本当の子供の様に優しく抱いてくださっていました。

「あなたの子供は私たちが大切に育てます。」

そう言ってくれましたので安心です。

 嗚呼そろそろ刑の時間です。どうやら西洋の様に公開処刑をするのが最近の主流らしく、私は民衆の前で殺されるそうです。

 もしかしたら謹慎のとれた貞子様に会えるかもしれません。いやそんなことはないでしょう。彼女にとって私などどうでも良い存在のはずです。

 でも、もし彼女に会えたら小声で言いましょう。


  「私はあなたを永遠に愛してます。」

お読みくださりありがとうございました

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