どうしてこうなった!?
ブックマーク、評価してくれた方、ありがとうございました。
ふぅ、一先ずこのオオカミとの戦闘は終わったようだが・・
「・・・・・これがウィンドウルフ?」
ギルドで聞いてきた外見の特徴とは一致するが・・・
「風の刃を飛ばして来なかった・・・」
「こいつらがそれを使う前にあなたが倒してしまってたからでしょう?それにしても、あなためちゃくちゃ強いじゃない。私たち要らなかったわね」
こいつらの頭には緑色の角が生えているのだが、そこから風の刃を飛ばして攻撃してくることがあるらしい。
今回は見られなかったが。
「いや・・・私じゃあ、全然だよ」
俺はオオカミの数を数える。
ん~八匹か。
あと二十二匹。
みんなでオオカミの耳を剥いで、次のオオカミをさ探す。
俺たちは森を進んでいった。
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思ったよりも時間がかかってしまった。
とりあえず、目的の魔法の試し撃ちは出来たので良しとしよう。
無事に依頼を達成して街に戻ってきた。
俺たちはそのままギルドに報告をして、無事、報酬をもらうことが出来た。
また、魔法の勉強を再開したいので、俺は宿に戻ろうとする。
すると・・・。
「おい!お前!」
後ろから怒鳴り声が聞こえたので、振り返ってみると、そこには俺をにらみつけてくる男がいた。
どうやら俺に向かって怒鳴っているようだ。
「あの・・・何か?」
「お前、デビットさんの誘いを断ったらしいな」
デビットさん?どうして彼の名前がここで出てくるのだろうか。
ていうか、ギルドの中でそんなに大声で話すから、他の人たちが注目してしまってるじゃないか。
いやだなぁ、こういうの・・・。
「パーティの誘いの事なら、確かに断りましたが?」
「くそっ、やっぱホントの事だったのかよ・・・てめぇ、俺と勝負しやがれ!!!」
「・・・・は?」
どういう事だ?
まったく話が見えてこない。
何がどうしてこうなったんだ?
「は、じゃねーよ!!俺と勝負しやがれっつってんだよ!!!」
はぁ・・・ほんとにどうしてこうなった・・・。
「勝負って言っても、何を、どこでやるんです?」
何か適当な言い訳を考えて、諦めてもらおう。
「戦うんだよ、このギルドの訓練場を使ってな!来い!!」
「えぇ・・・」
なんかもう・・・どうして俺が受けた流れになっているんだ・・・。
宿に戻りたい・・・・でも、これを無視したら絶対に後で余計めんどくさい事になりそうだ。
行くしかないのかなぁ・・・。
ああいうやつって、すごくたちが悪いからなぁ。
はぁ・・・。
俺はしぶしぶ、訓練場に向かう事にした。
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「おせぇよ、くそが。もたもたしやがって・・・・ぶちのめしてやる・・・」
なんか怖い事を言ってる。
ていうか野次馬多すぎだろ・・・・50人くらいいるじゃん・・・誰か止めて・・・。
周りからいろいろと声が聞こえる。
あれって確か、何日か前に冒険者になった嬢ちゃんだよな? なんであいつと戦う事になってんだ? つかあの嬢ちゃんやばいんじゃね~か?相手の奴Cランクだったろ? いや、あの嬢ちゃん、冒険者になった日にデビットにスカウトされてたんだ。 マジで!?もしかして結構強い? かもな。
とかいろいろ聞こえる。
ていうか、その事広まるの早くないか?
噂って怖いな・・・。
「もう行くぞ・・・おら、死ねぇ!!!」
うわっ、本当に来やがった。
しかも、本物の武器使って来やがった!
マジで殺す気かよ!?これは洒落になってないぞ!!
俺はボディ・エンハンスを瞬時に発動して、大きく後ろに飛びのく。
「くそっ、避けやがって・・・まだまだぁあ!!!」
くっ!?本気で切りかかってきてる・・・まずいぞ・・。
「『サンダー』!!」
「うぐっ!?」
よし、当たった!!
相手は怯んでいる。
「『ファイアー・ボム』!!」
新しく使えるようになった魔法の一つだ。
見た目はファイアーの魔法と変わらないが、着弾した瞬間に、そこそこの規模の爆発が起きる。
ドゴォォン!!
直撃した・・・・あっ!?大丈夫か!?生きてるかな?
「くそがあああ!!!!」
うお!?ボロボロになってるのにまだ戦うのか・・・。
「殺す・・・」
男はそうつぶやいて、何かを地面にたたきつけた。
シュゥゥゥーッ・・・
煙幕だぁーー!!!
そんな声が周りから聞こえる。
目くらましか!?
面倒な・・・
俺はバリアを瞬時に展開する。
シュンッ!!
!?
何かが俺に向かって飛んできた。
俺はそれを避ける。
だがこれでどこにいるのかある程度分かった・・・そう思った瞬間。
ビュンッ!!!
「うっ!?」
俺が飛んできた何かを躱して、体制を立て直そうとした瞬間に、一気に近づかれ、そのまま脇腹を切られた。
完全にこの男をなめていた・・・・。
あの遠距離攻撃はかわされる事が前提で、相手はすでに動いていたのだ。
俺が反射神経に任せて避けたせいで、無理な体制になり、次の攻撃に対応できなかった。
これが・・・Cランク・・・ッ
「とどめだぁあ!!!」
キンッ!!
「なに!?」
俺は瞬時に腰から短剣を抜き、何とか男の一撃を防いで距離をとる。
「うぅ・・・こんなことなら、回復魔法の一つぐらい、頑張って覚えるんだった・・・」
でも、しょうがないじゃん。
回復魔法って理論が複雑で難しいんだよ。
回復魔法の習得にはまだ時間がかかりそうだ・・・。
しかしなんでだ?
あのデカい蛇の一撃をくらっても痛いだけで、怪我はしなかったのに・・・。
今の攻撃は、あの蛇よりも明らかに弱かった。
これもちゃんと調べないとなぁ・・・。
「って、考え事してる場合じゃないわ」
しかし本当にまずいぞ。
Cランクってこんなに強いのかよ・・・。
「『ファイヤー・ボム』!!」
「おせぇ!!」
ダメだ、躱された。
やっぱり、怯んでいるところを狙わないと簡単に避けられてしまう。
くっそ・・・脇腹が痛い・・・。
奴の間合いに入らないように何とか距離をとる。
もうほとんど煙幕は晴れている。
ふぅ・・・結構不利だぞ・・・・。
このままじゃ殺される・・・・。
まだ試したことがないから、よくわからない魔法がある。
何となくイメージは出来るが、使ったことが無いので、規模が不明だ。
「『サンダー』!!」
「くっ・・おらぁ!!」
サンダーもダメか・・・見切られてるな。
やるしかないか。
「頼むよ・・・上手くいってくれ・・・『グランド・インパクト』!!!」
ドゴォォオオオ!!!
うぉぉおお!? 揺れるううう!!!
少し野次馬を巻き込んだ。
「ぐぁぁああ!!」
俺が魔法を使うと、地面が衝撃を放ち、崩れる。
範囲は俺を中心に半径10mくらいか?
森で使わなくてよかった。
足場が不安定になり、男は体制を崩している。
「『ファイアー・ボム』!!『ファイアー・ボム』!!」
二発連続で魔法を撃つ。
「クソォォオオオオオ!!!!!」
俺が放った魔法は男に直撃し、その叫びを最後に、男は動かなくなった。
「はぁ、はぁ、はぁ、生きてるか?」
呼吸はしている。
どうやら気絶しただけの様だ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・ふぅ・・・・まったく、どうしてこんなことになったんだ・・・」
あの男が怒り狂っていた理由が結局わからなかったな・・・。
「うっ・・・・やばい、傷が・・」
俺は体に力が入らずに、膝をついてしまう。
動き回ったせいで、傷口が広がっている気がする。
血も止まっていない。
「早く・・・止めないと・・・・」
・・・・どうやって?
・・・・・応急処置用の道具でも買っておくんだったなぁ。
ま、もう後悔しても遅いかな。
「フィアーナ!!」
気のせいだろうか・・・知っている声が聞こえた。
俺はその声の方を見る、すると・・・
「あれ?・・・・・デビットさん?・・・どう・・して・・・」
「フィアーナ!!しっかりしろ!!」
デビットさんが俺に駆け寄って、身体を支える。
「ごめん・・・・なさい・・・」
俺には・・・謝ることしか・・出来なかった。
その言葉を最後に、俺の意識は途切れた。