俺の目標
連続投稿です。
「♪~~~」
俺の名前が決まってから、サリアさんはずっとご機嫌である。
なんだか喜んでもらえたようで良かった。
今は冒険者ギルドに案内してもらっている。
「ついたぞ!ここがこの街の冒険者ギルドだ!」
「おぉ」
外見は酒場のように見えるが、デカい。
二階建てで、横にもデカい。
さっそく中に入る。
中に入ると、中にいた冒険者と思わしき人たちの視線が集まる。
どうやらデビットさんたちを見ているようだ。
確か門番のクリフさんも街一番の冒険者とか言っていたし、自然と注目をあつめるんだろう。
と思ったが、その視線が俺の方に移り始めた。
なんだあの子は? 可愛いな。 どうせデビットがまた女増やしたんだろ。 強いのかな?
といった声が聞こえてくる。
何だか変に緊張してしまう。
そして、俺たちは受付に行く。
「おかえりなさい、皆さん。依頼の方はどうでしたか?」
受付の人が話しかけてくる。
「ちゃんと達成してきたよ。それで、お願いがあるんだけど、部屋を用意してくれないかな?依頼と、この子の件で」
どうやら、基本的にはデビットが対応する様だ。
一応パーティリーダーみたいだからな。
「・・・・・わかりました。では、ご案内します」
どうやら個室に移るようだ。
この子の件、とは俺の事だろう・・・・・なにかあったっけ?
受付の人に案内されて、俺たちは一つの部屋に来た。
「・・・それじゃ、まず今回の依頼の物だ」
「・・・・・はい、確かに受け取りました。依頼達成です。報酬金はカウンターでお受け取り下さい」
「あぁ、わかった。・・・・それで、この子についてなんだが・・・まず、この子の冒険者証を作ってほしい」
「個室を用意した意味は?」
「まぁすぐにわかる」
「?・・・では、私の質問に答えてください」
受付の人が俺に向かって言ってきた。
「は、はい。わかりました」
「まず、お名前は?」
「フィアーナです」
「戦闘経験は?」
「えぇと・・数えるほどですが・・」
「ご自分の戦闘スタイルは?」
「魔法を使います」
「なるほど・・・・・はい、ありがとうございました。冒険者証の発行には銀貨一枚が必要になります」
「あ・・・えっと、現金が無いので、魔物の素材でいいですか?」
「その場合ですと、こちらが素材を買い取る形になります。冒険者では無い方からの素材の買い取りは、多少割安になってしまいますがよろしいですか?」
「はい、大丈夫です」
そう言って、俺は巾着袋から鱗を一枚だけ取り出す。
他のは登録が終わってから買い取ってもらおう。
「!・・・これは・・・少々お待ちください」
そう言って、受付の人はへえ矢を出ていく。
そしてすぐに戻ってきた。
「まず、こちらが先ほどの素材の買い取り金額から、発行にかかる金額を引いたものになります」
「はい」
「続いて、こちらが冒険者証になります。冒険者についての説明などは?」
「ある程度説明は受けているので大丈夫です」
ここに来るまでに、三人にいろいろ教えてもらっている。
「わかりました。それでは、Gランクからのスタートとなります」
俺は渡されたカードを受け取る。
「それでは、登録はこれにて完了となります。他にはなにかございますか?」
「えっと、素材の買い取りをお願いします」
俺は巾着袋にある素材を買い取ってもらおうと申し出た。
「かしこまりました。テーブルの上にお出しください」
そう言われたので、俺は懐からきんちゃく袋を取り出し、そこから鱗を取り出し始める。
・・・・・一枚一枚出すのめんどくさいなぁ。
「・・・えい」
俺はテーブルの上で、巾着袋をさかさまにした。
そこから出てくる大量のデカい鱗。
「・・・え?」
受付の人が驚いている。
それにしてもこの袋やっぱり便利だなぁ。
出したいと思った物だけがちゃんと出てくる。
直径30cmほどの鱗が数百枚出てくる。
「・・・・・なるほど。個室はこれのためでしたか」
・・・・・あ。
そういえば、デビットさんがこの袋がすごい貴重だとか、あまり人前で出さない方がいいとか言ってたなぁ。
俺が気を付けなきゃいけないことだろうに、また世話になってしまった。
いい加減にしっかりしないと。
個室を用意させてくれたデビットさんに感謝だな。
「少々お待ちください」
そう言って受付の人がまた出ていった。
そして、何かを持って戻ってきた。
その手に持った何かを山積みの鱗にかざして、それを見ながら何かを紙に書いている。
「・・・・・お待たせしました。査定結果が出ましたので、少々お待ちください」
また受付の人が出ていった。
そして今度は、重そうな袋を持って部屋に入ってきた。
今回は少し時間がかかった。
「こちらが、買取金額になります」
おおう、中身はお金だったか。
・・・俺の目がおかしくなっていなければ、袋に入っているのは金貨だ。
それも大量の。
「え?・・・・・怖い・・」
「はっはっは!お金を見て怖いなんて言った人は初めて見たよ!」
デビットさんが笑っている。
「えぇ・・・でも、これは・・・」
「金額が大きくてびっくりしてるんでしょ?」
無一文からこれは・・・・流石にビビる。
でも・・・
「このお金は・・・・やっぱり受け取れません」
「?どうして?」
「この魔物を倒したのは皆さんです」
「あなたも一緒に戦ったじゃない」
「私は・・・あまり役に立ったとは・・・」
「そんなことはないです!フィアーナちゃんは私の命を救ってくれました!!」
「あぁ、君にはそれを受け取る資格があるよ」
「でも・・・」
「別に気にしなくていいのよ?」
「・・・・・じゃあ、せめて山分けでどうでしょう。私も受け取りますが、皆さんも受け取ってください。皆さんが戦ったんですから、皆さんだって受け取る資格があるはずです」
「・・・・・わかった。そうしよう」
デビットが同意してくれた。
流石に、ここまで世話になった挙句に、ほとんど何もしていない俺がこんな大金を受け取ることなんてできない。
「では・・・こちらのお金は、平等に配分させていただきます」
そう言って、お金を分け始めた。
何だかこの人にも悪いなぁ、さっきから動きっぱなしだし。
「・・・それでは、改めまして、こちらが買取金額になります」
俺は分けられたお金を受け取り、袋に入れた。
「他には何かございますか?」
「いや、もうないよ。ありがとう」
「かしこまりました。それでは、受付にお戻りください」
俺たちは部屋を出て、受付のある場所に戻った。
デビットたちは、受付で今回の依頼の報酬を貰ってから、俺の所に戻ってきた。
「なぁフィアーナ。その・・・俺たちのパーティに来ないか?」
・・・・・パーティの勧誘か。
この三人と一緒に活動するのは、とても楽しいだろう。
すごく魅力的だ。
でも・・・・・
「・・・・・とても嬉しいけれど、遠慮しておくよ。これ以上は世話になれないよ」
「そんなこと、気にしなくていいのよ?」
・・・・・本当に、なんていい人たちなんだろう。
でも、だからこそダメだ。
「先ほど、説明してくれたじゃないですか。冒険者は、自分のランクの一つ上のランクの依頼までしか受けることはできない。それはパーティでも例外ではないって」
つまり、パーティを組んでいる場合、そのパーティにいる一番ランクの低い者の一つ上までしか受けられないのだ。
「私たちと一緒に居れば、すぐにランクなんて上がります。だから・・・」
「サリアさん・・・ありがとう。でも、それはやってはいけないことです。それに、これは自分に必要なことだと思っていますから」
「そう・・・ですか・・・」
サリアさんがとても悲しそうな顔をしている。
「大丈夫ですよ!この街に入った時も言っていたじゃないですか!この街にいる限り、会おうと思えばいつでも会えます。お別れってわけじゃないんですから」
「・・・・・わかった。フィアーナ、俺たちは君のことを大切な仲間だと思っている。何か困ったことがあったら、いつでも来いよ」
「そうよ、待ってるからね?」
「うぅ・・・フィアーナちゃん・・・」
「ほぉら、サリア。永遠の別れってわけじゃないんだから、な?」
「うぅ・・・」
「本当に、ありがとうございました。・・・ふふ、待っていてください。次会うときには、きっとビックリするくらい強くなってますから」
「ははは。なら、追い越されないように、俺たちも強くなっておかないとな!」
「楽しみしてるわよ?」
「う、うぅ・・・」
「サリアさん。素敵な名前、ありがとうございました」
「フィアーナ・・・ちゃん・・・わ・・・私も・・・ううん。・・・・頑張って!」
「はい!頑張ります!」
いつか、この人たちに恩返しできるようにならないとな。
さっそく、最初の目標が出来たな!
「・・・・それでは」
「あぁ」
「えぇ」
「うん」
「「「行ってらっしゃい!!」」」
「!!・・・・・行ってきます!!!」
さて、張り切っていきますか!!
次から、第二章が始まります。
章管理のやつとか、やった方がいいのかな?