これが・・・・俺の名前・・・
評価してくださった方、ありがとうございました。
とても嬉しかったです。
ブックマークしてくださった方もありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
「おぉ・・・これが、街」
俺は今、街の外にいる。
蛇を倒してから二日経って、ようやく街についた。
この二日の間に、食料を魔物に奪われたり(俺が)、見張り交代の時間に起きなかったり(俺が)、勉強したりといろいろあったが、無事に街にたどり着いた。
「でっかいなぁ」
街を囲む壁の高さは20m近くあるようだ。
想像以上にデカい・・・・一体どうやって作ったんだろうか・・・。
そして横にもデカい。
中にある街はどうなっているのだろうか、とても楽しみだ。
そして、この二日間で気の強そうな女性の名前がやっとわかった。
ルシアさんと言うらしい。
見た目も名前も美人さんである。
つまりデビットは、美人な女性二人に囲まれて冒険者をやっているという事だ。
なかなか敵が多そうだ。
「ずっと外壁を見てるわね。面白いの?」
「あぁ、ルシアさん。いやぁ、こんなに大きな建造物は見たことが無かったもので、あはは」
この二日間で、この三人組とはなかなか打ち解けたと思う。
「見るなとは言わないけれど、あんまりキョロキョロしていると田舎者だと思われるわよ?別に、田舎者だと思われる程度なら問題ないんだけれど・・・そういうのは悪徳商人のカモなのよ。世間知らずなのをいい事に、そういう事をする奴がいるから気を付けてね?」
「わざわざ忠告ありがとうございます。肝に銘じておきます」
「そうした方がいいわ。まぁ・・・何か不安が残るようなら、私たちの誰かに声をかけなさい。ちょっとくらいなら助けてあげるわ」
ルシアさんは少し照れ臭そうに目をそらして言う。
これが俗にいうツンデレなのかな?
「ええ!?いや、それはさすがに悪いですよ!」
「気にすんなって!」
「そうですよ。短い間だったとはいえ、共に冒険した仲でしょう?」
・・・・・なんていい人たちなんだろうか・・・。
この人たちに出会えて本当に良かった。
心からそう思える。
・・・・・人との出会いを・・・ここまで喜んだことは、今までなかったなぁ・・・。
「み・・・皆さん・・・」
「ははは!そんな顔するなよ!この街に居れば、会おうと思えばいつでも会えるんだぜ?」
「・・・フフ、そうですね・・・そうですよね!」
なんだか・・・・・これからも何とかなる、そんな気がしてきた。
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「おや?おかえり!デビット!」
「おうクリフ!今日もお疲れ!」
街の入り口に立っていた門番とデビットが親しげに話している。
「今回はどうだった?」
「今回もばっちりよ!!」
「まぁそうだよな!さすがこの街一番の冒険者パーティだな!」
この三人そんなにすごい人たちだったのか・・・。
「で~・・・さっきから気になってたんだが・・・・・その子は?」
「ん?あぁ!この子は~・・・・・今回の依頼先で出会ったんだ!」
デビットが俺の名前を呼ぼうとして詰まった。
そりゃそうだ・・・・・まだ名前が決まってない。
これはやらかしたぞ・・・なんでまだ決めてないんだよ俺・・・・。
「私の命の恩人です!」
サリアさんなんでそんなに嬉しそうに言うの・・・。
「え!?マジで!?サリアさんの!?」
「おおマジだ、まぁ後でゆっくり話すよ。とりあえず街に入れてくれ」
「おお、そうだったそうだった。んじゃ、身分証見してくれ」
・・・身分証なんか持ってないぞ・・・。
「この子は街に来たのが初めてだから、仮身分証の発行をお願いできる?」
「そうなのか、わかった。ちょっと待ってろ」
そう言って、クリフと呼ばれた男は何かカードのようなものを取り出した。
「いまからこれについて説明するからよく聞くんだぞ?」
「は、はい」
「よし。まず、これは仮身分証つうもんだ。これがあれば二日の間なら、基本的にこの街で暮らせる。だが二日を過ぎると、これは一切の効力を失う。つまり、これで身分証を作ることもできなくなるし、仕事をすることもできなくなる。これの効力が切れた状態、そして身分証を作っていない状態で見つかると、この街に不法侵入したっつう扱いになって犯罪者になって牢獄に入れられる。要はさっさと身分証を作れってことだ。わかったか?」
「は、はい。わかりました」
「よし。んじゃこれを」
俺は『仮身分証』をゲットした!
「つうわけで、硬い話は終わりだ。・・・ようこそ!辺境の街、『バスクル』へ!」
こうして、俺は異世界に来て、初めての街に足を踏み入れた。
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「そういえば、身分証はどうするのですか?」
サリアさんから身分証について聞かれた。
「どうする、とは?」
「えっとですね、身分証には三つの種類があります。まずは住民身分証、これは主にこの街に住んでいる人たちが持っている身分証です。次に商人身分証、これは主に商人や近くの村に住んでいて、街にたまにしか来なかったりする人が作っています。街で者を売ったりする場合はこれを持っていなければいけません。あとは、様々な街を歩きまわっている人などがこの身分証を持っていたりします。最後に、私たちが持っている冒険者証です。これは文字通り、冒険者として活動している人が持っている身分証です。住民身分証と違い、冒険者証と商人身分証は、基本的にどの街にいっても使えるので、私はこの二つのどちらかをお勧めします」
「・・・・・住民身分証というのはどういう時に使うんです?」
「街で家を買うとき・・・ですね。不動産を街で所有する際には、住民身分証を作る必要があります。ただ、住民身分証は他の身分証と違って、発行するのにそこそこのお金が必要になってしまうんですよね」
「なるほど・・・・」
今のところ、選べるのは商人身分証か冒険者証の二択だな。
・・・・いや、実際になれるのは冒険者一択になってしまうな。
商人になっても、商売に使える物が無い。
作っても意味がないのだ。
「・・・・・冒険者証を作ることにします」
「ホントですか!」
サリアさんはなんだか喜んでいるようだ。
「はい。なので、これからもよろしくお願いしますね、センパイ」
「ハゥ!?・・・」
・・・なんだ今の声は・・。
サリアさんが、先輩・・・フフフ、とか言ってるし・・・なんか怖いよ。
「え、えっと・・・それで冒険者証を作るには何が必要になりますか?」
「フフフ・・・・・あ!はい!えっとですね。まず仮身分証、これは持っているので大丈夫です。続いて、お金。これはあなたが持っているエンシェントグラウンドスネークの鱗を一枚売れば足ります。そして最後に・・・名前です」
「な・・・まえ・・・」
まぁ当然ですよねぇ。
遂に名前が必要な時が来た。
しかしどうしたものか・・・・名前とか、考えるの苦手なんだよなぁ。
いちいち決めるのに時間がかかるし、そのくせに大した物じゃないしで・・・・そうだ!
「えっと・・・その・・・ですね」
「?どうかしましたか?」
「その・・・・これから、私が使っていく名前なんですが・・・・・サリアさんに名前を決めてもらいたいんです」
「・・・・・え?」
「あっ、いや、迷惑なら全然・・・」
「いえ!決めます!私に決めさせてください!」
・・・・・すごいやる気だ。
俺が決めるよりもいい名前が貰えそうだ。
自分自身の名前を決めるのって何故か抵抗があるんだよなぁ。
「・・・・・フィアーナ、フィアーナというのはどうでしょう」
「フィアーナ・・・」
「はい。私の故郷にしか咲かない花で、私が一番大好きな花です。白くて、とても美しい花なんですよ?」
フィアーナ・・・・か。
「その・・・・どうでしょうか?」
「・・・・・フィアーナ・・・私は・・・・私の名前は、フィアーナです!これからも、よろしくお願いしますね、サリアさん!」
「!!・・・・・はい!・・はい!!よろしくお願いします!フィアーナさん!」
とても・・・・とても、いい名前を貰った。
これから俺は、フィアーナとして生きていく。
「お~い!二人ともお待たせ~。あれ?なんかあった?」
「なんだか嬉しそうね?」
デビットとルシアさんが戻ってきた。
「ふふっ、実はですね!」
サリアさんが、まるで自分の事のように嬉しそうに俺の名前が決まったとこを話している。
これから俺は、この世界で、この街で、フィアーナとして、生きていく。
これからも、様々なことがあるだろう。
いい事も、わるい事も。
考え出したら、不安でいっぱいだ。
訳も分からず、自分の身体を失い、性別まで変わってしまった。
しかもこの体は、俺を殺した奴の物。
そんな現実から目をそらし、考えないようにするあまり、この短い間に失敗ばかりしてしまった。
でも・・・・・たとえ、失敗ばかりでも、そのうえでこの結果が訪れたのなら・・・・・俺は、後悔なんてしない。
一先ず、第一章完!といったところです。
まだまだ続きます。