異世界とお部屋探索!
私の冬休みは・・・まだ始まらない・・・。
勢いよく開けた扉の先には、石レンガの廊下があった。
やはり窓がない。
壁についた謎の光で照らされている。
脇にはいくつか扉がある。
「・・・・・思ったより普通だな」
まずはどうしようか。
「とりあえず・・・・進んでみるか。この階の構造をある程度見てから、それぞれの部屋を探索しよう」
一先ず廊下を進む。
そして、俺はある程度進んだところにあった部屋の前で止まり、よくわからない構造の鍵を開けて中に入った。
・・・・・ん?え?なんで中に入った?
というか今の鍵どうやって開けたんだ?
・・・・・まさか・・・この体の癖か?
今、俺自身は入ろうとしていない。
が、とりあえずここに入っとこう見たいな感じで体が・・・・。
つまりこの部屋は・・・。
「自然とここに体が向かうほど、それこそ癖になるほど頻繁に利用した部屋って事か?・・・てことはこの部屋はかなり重要なんじゃ・・・・」
そして俺は部屋を見渡す。
「研究所・・・か?」
先ほどいた部屋の三倍ほどの広さの部屋。
だが、この部屋にはあふれんばかりの資料や道具などが置いてある。
・・・・ここを探索すれば、
「何か・・・見つかるかも?」
俺はまず、この部屋を探索することにした。
「沢山あるから汚く見えるけど・・・資料はかなり整理されているな」
棚にカテゴリごとに分けられた資料が並んでいる。
「え~と・・・破壊系、死霊系、幻惑系・・・・物騒なのばっかじゃねーか。・・・・ん?」
なんで俺はこれが読めるんだ?
たった一度も見たことが無い字だと断言できる。
なのに俺はスラスラと読めるし、その読み方は間違っていないと確信できる。
「・・・・・・・ダメだ。考えても一切わからん。一先ずここを調べよう。これについてもわかるかも知れないし」
・・・それっぽいのが無いなぁ。
他の棚かな?
「ん~と・・・・ん?召喚系?・・・隣は魂魄系か。それっぽいのが隣同士に・・・・」
どうやら使い勝手がいいように資料の場所も管理していたようだ。
この資料の向かい側には死霊系がある。
「魂魄系の方を先に見てみるか」
なんだか魂魄系は資料が少ない気がする。
あまり研究が進んでいなかったのかな?
もしくは始めたばかりだったか。
「お~、資料ごとにも名前が付いてる。どんだけ几帳面だったんだあの女。・・・・・ん?魂魄結晶・・・ってあれだよな、俺を閉じ込めてた奴・・・・・これも読んどくか。他には・・・・」
資料の数が少ないので簡単に探すことが出来た。
「融合と吸収・・・・これだな。間違いない」
おそらく、俺を吸収して魂の寿命を延ばそうとした研究についてが、ここに書かれているはずだ。
「・・・・・読むか」
融合と吸収の資料を開く。
「・・・・・マジか・・・さっぱどわがんね」
文字は問題なく読めるのだが、意味が分からない単語ばかりで理解できない。
それでも俺は資料を読み続けた。
「・・・これか?・・・これっぽいな」
そこには先ほどあの女がやろうとしていたことについて書かれていた。
「そうか・・・そういう事だったのか。・・・つまりあの女は・・・・・俺の吸収に失敗したのか」
簡単に説明するとこうだ。
融合については理解できなかったのでなしで・・・。
魂の吸収についてだが、どうやらあの女は前にも一度、魂の吸収を行って失敗したようだ。
といっても、今回の失敗の仕方とは異なる。
前回は吸収する魂が消滅してしまったようだ。
どうやら、この魂の吸収はかなり不安定なようで、魂を吸収しようとした際に魂が競い合ってしまうようだ。
つまり、お互いを食べあってしまうのである。
片方の魂が弱いと、強い魂が残り、食べた魂を自分の魂の一部とすることで、魂の寿命が延びる、という仕組みの様だ。
前回は、弱くなった自分の魂を一時的に強化し、吸収する魂を弱体化させてから吸収しようとしたようだ。
しかし、相手の魂を弱体化させたことで、その魂は自身を維持できなくなり、吸収の際に消滅して失敗した、という事だ。
どうやら今回、つまり俺の吸収だが、自身の魂の強化をして、俺の魂の弱体化を行わなかったようだ。
つまり・・・あの女は吸収しようとした魂に、要は俺に、逆に吸収されたという事だ。
「それに・・・あいつは俺に意識があることが予想外だと言っていた」
俺の魂の状態が、魂だけでも意識を維持できるほどよかった。
つまり、強かったという事か・・・。
「あの女は最後の最後でやらかしたんだな。・・・俺の意識があるのが分かった時点で、吸収を止めるべきだったんだ。これだけわかっていたのなら、失敗する可能性が高いって気付けたはずだ。・・・・それだけ、焦っていたのかな・・・」
まあ、あの女が失敗してくれたおかげで俺は生きていたので、ザマァ見やがれ!としか思わないがな。
・・・・字が読めるのはなんでだ?
・・・・わかんねぇな。
たぶん、あの女の魂を俺が吸収した時に、あの女の知識も入ってきた・・・とか?
ありそうだけど・・・・なんか入ってきた知識が中途半端な気がするんだよなぁ。
それに、あの女の記憶は一切入ってきていない。
じゃあ知識と記憶の違いってなんだよ?
・・・・・やっぱわかんねぇな。
まぁいいや。
魂の吸収について知ることが出来たし、今はこれでいいだろう。
じゃあ次は・・・・。
「魂魄結晶についてだな」
俺は融合と吸収の資料を元に位置に戻して、魂魄結晶の賞を読むことにした。
「・・・こっちも分かんねぇな。・・・・・お?魂魄結晶を使う手順、か・・・・これは読んどくか」
魂魄結晶は、専用の魔法陣の上に生きている生物を乗せて・・・・魂縛?の魔法をかけてから殺すと、結晶の中に魂を閉じ込めることが出来る。
魂縛結晶は、生き物が乗っている魔法陣の上に一緒に置いておく必要がある。
結晶を一つの魔法陣の上に複数置くと失敗する・・・ね。
「まぁ・・・・俺の元の身体が、もう無くなっていることは確定したわけだ」
・・・・・もし・・・あの女が言っていたことが嘘で、まだ体が残っているのなら、魂を元に戻すことも可能なんじゃないかと思ったんだけどなぁ・・・。
ノゾミガタタレタ~。
・・・・・
次に行こう。
まだまだ調べたいことが沢山あるし。
俺はただひたすら資料を読みあさった。
体を失った現実から、目をそらす様に・・・。
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「・・・・お腹、すいたな・・・」
いろいろ分かったことがある。
この部屋を調べていた際、隣の部屋に直接つながっている扉を見つけ、開いてみると、そこは図書室の様だった。
沢山の本があり、これもカテゴリごとに分けられていた。
おかげで、必要そうな情報に絞って調べることが出来た。
まぁ、何となくそんな気がしていたが、どうやらここは、俺が元いた世界ではないらしい。
歴史書なんかも読んでみたが、聞いたこともない地名や国ばかりだった。
歴史や文化などの知識もある程度入っていたようで、本はすんなりと読み進めることが出来た。
それに・・・
「これも・・・見つかったしな」
綺麗な装飾が施された巾着袋。
ファンタジー小説などでよくあるアイテムボックスやインベントリのようなものだ。
「まぁ、袋の口の大きさまでの物しか入らないけどな・・・」
俺は資料や本、道具など、ここにあるものは全部入れた。
・・・・俺はここにとどまる気にはなれなかった。
だから・・・持てる物はすべて持って、ここを出ていく事にした。
研究室、図書室にはもう何もない。
あるのは棚くらいだ。
どんなに入れても袋が膨らまないので、小さくできるため持ち運びが楽だ。
それに・・・
「ここを出ていくにしても、ここの資料や本は、置いていくのは危ない気がするしな・・」
この世界について、わからないことは多い。
魔法についても、この世界の人たちがどれほどの力を持つのかさえ不明だ。
でも、ここの資料や判を読んでいる時、素人目で見ても、明らかに危険なモノや、おぞましいものもあった。
もし・・・俺がいなくなってから誰かが見たら・・・・取り返しのつかない事になりそうなのは目に見えている。
だから持ち出すことにしたのだ。
・・・・被害が自分に来たら怖いし・・・。
「・・・・さて、ここの探索を再開しようか」
何となく振り返ってから、俺はこの部屋を出た。
食料を目指して・・・いざ!!
主人公があんまし動かないで終わっちゃったなぁ。
もうちょい進めたかったけど、また次回。
評価、感想、大変参考になりますので、気軽にしてくれると嬉しいです。