強襲
ここで、ちょっとした報告を。
実は、感想欄にてご指摘をいただきまして、
「・・・」←この点に関することでございます。
これを変換することで使う事が出来る、三点リーダー(三点リーダ、と表記することもあります)を使うといいですよ~、と言う事で以前まで投稿してきたものを修正する事にしました。
とりあえず一話を修正してきたのですが、あまりにもめんどくさかったのでゆっくりやろうと思います。
で、この「…」なんですけども、個人的には「‥」←この二点リーダー(二点リーダと表記することもあります)の方が気に入りまして、「…」と同じ用法と言う事で、この「‥」をこれから使っていく事にしました。
改めまして、ご指摘ありがとうございました。
以上、報告でした。
俺の竜巻があるお陰で、戦場はそこそこ明るくなっている。
だからよく見える。
「あれ‥‥ゴブリンなの‥‥?」
俺の口から、思わずそんな言葉が出る。
ゴブリンとは思えないほどの巨体が、こちらに向かってきている。
「ありゃあ‥‥ジェネラルか?」
おっちゃんが近づいて来るゴブリンを見て、そうつぶやく。
数は四体、ジェネラルで間違いないだろう。
しかし、よく見るとジェネラルのような巨体ではないが、人とほとんど背丈が変わらないゴブリンが何体か来ている。
まだ遠くでよく見えないが、あれはおそらく‥‥。
「ゴブリン‥‥‥メイジ」
ゴブリン・メイジ、名前の通り、魔法を使ってくるゴブリンだ。
このゴブリンは、小規模の集落でも発見されるが個体によっては、ジェネラル並の危険度を誇る者もいる。
生きた時間が長ければ長いほど、ゴブリン・メイジは強い。
魔法の扱いががうまいのだ。
時として、人間を超えるほどに‥‥。
「『サンダー・レイン』!!」
俺は後ろから迫ってきている上位種のゴブリンたちに向けて魔法を放つ。
「くっ‥‥この距離で当てるのは無理かっ」
多少の足止めにはなったが、ダメージを与えることは出来なかった。
「『ファイアー・ストーム』!!!」
俺は上位種の周辺に火災旋風を作り出す。
が、ここで俺は衝撃の光景を目にする。
パァアアン!!!!
「は!?」
ゴブリン・メイジが放ったと思われる魔法で、俺が撃ったファイアー・ストームが打ち消されたのた。
そして、ゴブリンの上位種たちは前進を再開する。
「‥‥やばいな」
ファイアー・ストームを打ち消されると、他のゴブリンたちがどんどん攻めてきてしまう。
俺のファイアーストームはゴブリンを減らすのと共に、障害物の役割も持っている。
つまり、ゴブリンたちの勢いが増してしまうのだ。
ゴブリンたちの勢いが上がり、更に上位種が前線に到着する。
このままではまずい、と思われたが、不思議と戦線は拮抗している。
周りを見てみると、こちら側の人数が増えてきているのだ。
どうやら、街の奥の方で騒ぎに気付けなかった人たちが次々と到着しているようだ。
「補給でーす!!魔力ポーション補給入りましたー!!!」
「おぉ!!やっとか!!ぶっ倒れるところだったぞ!!」
どうやらここにも補給が回ってきたらしい。
魔力回復のポーションを若い男が配っている。
「補給です!どうぞ!」
ゴブリンに撃ち落されないように魔法で牽制していた俺の所にも補給が回ってきた。
「ありがとう、とても助かるよ」
俺はそういって受け取る。
魔力回復のポーションはいくらあっても困らないからな。
まだ魔力無くなったことないから使ったことないけど。
「いえいえ!まだまだ実力不足の自分では、これぐらいでしかお役に立てませんからね。それじゃあ!頑張ってください!」
そういって若い男は次の人の元に向かった。
最初は冒険者かと思ったが、どうやらこの街の兵士のようだ。
着ていた防具が見覚えのある物だったので分かった。
「それにしても‥‥」
ここは壁の上なので、明かりが焚いてあるため、とても明るい。
しかし、前線はどんどん暗くなってきている。
ゴブリン・メイジたちが俺のファイアー・ストームをどんどん消しているのだ。
厄介なことに、ゴブリンたちは夜目がきく。
月の明かりさえあれば問題ないのだ。
しかし人は違う。
街の明かりも届かない壁の外では、明かりが無いと暗闇に等しい。
このままではどんどん不利になってしまう。
「『ファイアー・ストーム』!!」
消されるとわかっているが、少しでも明かりを絶やさないようにしないと戦えなくなってしまう。
魔法使いたちはナイトビジョンを使えるる者もいるが、使えないものも多い。
あの魔法何気に習得するの大変だからな。
「『ファイアー・ストーム』!!『ファイアー・ストーム』!!『ファイアー・ストーム』!!!」
もう俺の役目は分かっている。
ひたすらこの魔法を撃ち続けて、戦場の明かりを絶やさず、そしてゴブリンを殲滅する。
「『ファイアー・ストーム』!!『ファイアー・ストーム』!!ファイアーッ!?しまった!」
おそらく、俺を倒さないと火災旋風はやまないと判断したのだろう。
ゴブリン・メイジの一隊が俺にめがけて魔法を放ち、そして直撃した。
ゴォオオン!!!!
「うっ‥‥うぅ‥‥」
「おい!?嬢ちゃんしっかりしろ!?」
隣のおっちゃんが心配しているようだ。
はぁ、くっそ‥‥シールド系の魔法も習得しておくんだったなぁ。
まぁ、今の場面では習得していても発動が間に合わなかっただろうが‥‥。
今回は完全に俺の不注意だ。
「大‥‥丈夫です。まだ、やれます」
「おいおい、無理しない方がいいぞ」
「『ヒール』‥‥」
俺が回復の魔法を唱えると、身体の傷が光と共に癒えていく。
ふぅ、大丈夫そうだな。
まったく、いい加減予備のローブが切れそうだ。
そろそろ新しいのを手に入れないと。
「嬢ちゃん、回復も出来たんだな」
「これしか、出来ませんけどね」
でも、これで体は治った。
まだ戦える。
俺は立ち上がり、新たに魔法を発動し、戦場を照らしていく。
しかし、上位種の存在は本当に厄介だ。
なんとかならないものか‥‥。
ん?何かがこちらに‥‥?
!?ゴブリンが前線を飛び越えてきた!?
「上の奴ら気をつけろぉ!!上位種が行ったぞぉ!!!」
壁の下からそんな声が聞こえる。
遂に‥‥壁まで来たのか‥‥。
「ギギギッ!!」
「よりによってこっちに来たのか!?」
まずい、接近戦とか全然出来ない‥‥。
「『ファイアー』!!」
それに、壁の上では範囲攻撃は使えない。
俺が撃った魔法をゴブリンは躱す。
「こいつ‥‥ゴブリン・ソルジャーか!」
通常ゴブリンの完全上位互換である。
「ギィ!!」
「くっ‥」
ゴブリンがボロボロの剣で攻撃してきた。
俺はそれを何とか短剣で受け止める。
ボディ・エンハンスのお陰で、運動能力では勝っているが、このまま剣で打ち合っても勝てるとは思えない。
「ハァ!!」
ゴブリンの後ろから、剣をもった男が斬りかかり、直撃したゴブリンは息絶える。
「大丈夫ですか!?」
「君は‥‥さっきの」
補給に来てくれた若い兵士だ。
おそらく、補給物資をまわし終わったのだろう。
「ありがとう、助かったよ」
「いえいえ!お役に立ててよかったです!」
それじゃあ!と言って兵士君は走り去っていった。
「ふぅ‥‥攻撃を再開しないと」
手を休めている暇はない。
俺はまた魔法を唱える。
戦線を見てみると、上位種はほとんど倒されたようだ。
心なしか、大地を埋め尽くしていたゴブリンが減ってきている気がする。
ガァアアアアアアアア!!!!
「なんだぁ!?」
「今のはなに!?」
戦場の全てに響くような音が聞こえた。
そして、その音が聞こえた瞬間に、ゴブリンたちの勢いが急激に増した。
更には‥‥
「あれって‥‥まさか‥‥」
遠くから、先ほどの上位種よりも、更に大きな何かが複数迫ってきている。
数は、三体。
味方であるはずのゴブリンたちを薙ぎ払いながら、とんでもないスピードで迫ってきている。
このままではまずい。
あの勢いで前線にぶつかったら一気に崩されてしまう。
「少しでも勢いを落とさないと‥‥!『サンダー・レイン』!!!!」
三体中、二体に充てることが出来た。
しかし、まるで効いていない様子で、その勢いが落ちることなく突き進んでくる。
「『ファイアー・ストーム』!!」
俺が魔法を放ち、迫りくるゴブリンの前に火災旋風が発生する。
「ガァアアアア!!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ‥‥‥
「うわっ!?」
「うおっ!?」
三体居る中でも一際デカいゴブリンが叫んだ瞬間、その衝撃で周辺が揺れ、火災旋風が吹き飛ばされた。
「‥‥嘘でしょ?」
俺はあまりの光景に驚愕した。
「あれを止めろぉ!!!!!」
周りの魔法使いたちが何としても止めようと攻撃していく。
そんな攻撃をものともせず、突き進んでくる巨大なゴブリン。
このまま前線に突っ込む、と思われたその時。
「‥‥‥え?」
飛んだ。
真ん中の巨大なゴブリンが地を蹴り、飛び上がった。
前線を‥‥飛び越えた。
そのとんでもない跳躍力で戦場を飛び、そしてそのまま‥‥‥
ドゴオオオオオォォォォォ‥‥‥‥
着地と共に‥‥壁を、破壊された。