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問題続き。

私の冬休みが・・・・終わった。

 「ふー・・・・すごいな・・・」


 俺は宿屋にいる。

 今は持っている資料や魔法書なんかを読んでいるのだが・・・・。


 「・・・・・理解できる・・・今までいろんな本を広げて一つ一つ理解するのがやっとだったのに・・・」


 魔女・・・・ヘルミーネ・・だったか。

 あの女の知識が、俺の頭の中にある。

 今ならどんな魔法も使えそうだ・・・・・。


 すこし怖いが・・・・・試して・・・みるか・・・。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 俺は一つの依頼を受けて、街を出てきた。


 今回受けた依頼はFランクの『ゴブリン討伐』。

 ゴブリンは一匹の場合はとても弱い。

 が、ゴブリンは知能が高く、おもに集団で行動するため、とても厄介なのだ。


 このゴブリン討伐依頼は、常にギルドに置かれているらしい。

 ゴブリンの討伐証明部位である右耳をギルドに持っていけば、一つ銅貨3枚で買い取ってもらえる。

 これがゴブリン討伐の報酬になるようだ。

 要は、倒せば倒すほどいいよってことだ。


 まぁ、ぶっちゃけ割に合わない。

 一食にかかる金額は、俺の場合は大体銅貨50枚(大銅貨5枚)前後になる。

 最低でも、ゴブリンを15体以上は倒さないと一食分も稼げないのだ。


 まぁ、今回も戦闘訓練のような感じにしようと思っているので、お金はメインじゃない。

 そろそろ本格的にランク上げを意識していこうかな?

 自分である程度稼げるようにならないと、お金が減っていく一方だ。

 これは俺の精神衛生上、非常によろしくない。


 「稼ぐためには強くならないといけないんだけど・・・・・ゴブリンいないなぁ・・・」


 最近では、この森でよく見かけられているとギルドで教えてもらったのだが・・・。


 「・・・・・あっ・・・・忘れてた・・・」


 そう言えば、あの魔女の記憶が手に入ったおかげで、いろんな魔法が使えるようになったんだった・・・。

 思いっきり忘れていた。

 やっぱり、自分の記憶じゃないから、意識しないと出てこない。


 「え~っと・・・・これがいいかな?・・・『サーチ』・・・うおっ!?」


 これは・・・すごいな・・・。

 半径200mくらいの範囲が見えるようになった。

 頭の中に情報が入ってくる訳ではなく、360度が見えるようになった感じ。

 すごく不思議な感じだ。


 「!?・・・マジかよ・・・目を瞑ってても見えるのか・・・」


 これはいろいろと使えそうだ。


 ・・・・ん?

 なんか居るぞ?

 それも複数か・・・なんだろう、もっとよく見てみるか。


 「お?これはゴブリンか?・・・何か運んでる・・・うわっ」


 人だ・・・人を運んでる・・・それも女性だ。

 まだ生きてるな・・・・ん?運んでる?それはおかしいぞ?


 ゴブリンはオスしか生まれない。

 そのため、他の種族の異性を捕まえて子供を産ませる。

 普通なら、異性を捕まえたゴブリンは、その場でやることをやるので、他の場所に運ぶなんてことはしない。


 しかし、例外がある。


 「・・・・ゴブリンたちの・・・・・集落がある場合・・・」


 ゴブリンが集落を作ることはめったにない。

 すぐに数が増えるとは言え、ゴブリン自体が弱いため、直ぐに強い魔物や冒険者などに狩られてしまうからだ。

 だが稀に、ゴブリンたちが安全に暮らせる場所を見つけたりすると、その場所に拠点を作り、どんどん数を増やしてしまうのだ。

 やがて、その拠点が広がっていき、集落になる。


 更に厄介なのが、最初に言ったように、ゴブリンの知能が高い事だ。

 長く生きたゴブリンほど強くなってしまう。

 それこそ、魔法を使いこなしたり、人の言葉を学び、使い始めたり・・・と。


 そう本に書いてあった。


 なんでも昔、たかがゴブリンと侮って狩りを怠った国が、ゴブリンによって滅ぼされるという記録が残っているらしい。


 「その本が正しければ、ゴブリンたちの集落が、この近くに存在していることになる・・・」


 さて・・・どうするか・・・。

 見つけてしまった以上は、あの人は最低でも助けたい。

 問題はゴブリンの集落の方。

 規模によってはかなりまずい。

 まぁ集落がある時点で結構まずいが。


 このままゴブリンたちを追跡していれば、集落の場所が判明するだろう。

 しかし、そうしてしまうと、あの女性を助けるのは不可能になってしまう。

 未だに、魔法を使い慣れていない俺では、ゴブリンの集落を相手にするのは危険すぎる。


 ・・・・・とりあえず、あの人を助けるか・・・。

 どちらにしろ、集落を相手に戦うことは出来ないし。


 という訳で、まず、使えるようになった魔法の中に透明になる魔法があったので、それを使い姿を消す。

 さらに、風の魔法でゴブリン側から自分の方へ風を吹かせ、俺の匂いがゴブリン側に行かないようにする。

 ゴブリンは鼻がいいらしいからな。

 実際にどれくらい鼻がいいのかは知らん。


 俺はスススっとゴブリンたちの近くに行く。


 「助けて!!誰か助けて!!」


 女性が助けを求めて声を上げている。

 出来るだけ遠くに聞こえるように大きな声を出している。


 「ギギッ!」


 「あうっ!」


 そして、声を上げるたびに運んでいる内の一匹のゴブリンが女性を殴り、黙らせいる。


 さて、どうやって助けるか・・・。

 相手が複数いる以上、こちらから近づくのは避けたい。

 なんとか魔法で仕留めたいが・・・女性を巻き込まないように、ゴブリンだけを狙う必要がある。


 ・・・・・・いや・・・出来るな・・。

 丁度良さそうな魔法がある。


 「・・・『アイススピア』」


 俺が魔法を唱えると、座面のしたから氷の槍が出てきて、真上にいたゴブリンを串刺しにする。


 「ギギッ!?」

 「グギッ!?」

 「ギギギッ!!」


 ゴブリンたちが騒ぎ始める。

 もっとうまく魔法を使えれば、今の魔法を同時に複数使えたりするのだが、俺はあの魔女の記憶と経験を情報としてしか持っていないめ、上手くできなかった。

 こればっかりは練習あるのみだ。

 もっとパパっと使えればいいのだが・・・。


 俺の位置はまだゴブリンにはバレていないため、ゴブリンは騒ぎながら周りを警戒する事しか出来ない。

 ちゃんと真下から串刺しにしたから位置バレの心配もない。


 「『アイススピア』」


 またも地面から現れた氷の槍に、ゴブリンの一匹が串刺しになる。

 俺は全く同じやり方で全てのゴブリンを始末・・・しようと思ったが。


 「ギギギッ!!」


 最後の一匹になったゴブリンが、女性をその場に放置して逃げ出した。

 逃がしてもしょうがないので、そのゴブリンを始末する。

 走っている標的を地面から串刺しには出来ないので。


 「『サンダー』!」


 「ギ・・」


 逃げ出したゴブリンの背中に、雷をくらわせて始末した。


 「ふぅ・・・もっと真正面から戦いたかったんだけど、流石に誰かを守りながらはまだきついなぁ・・・」


 しかしゴブリンの集落かぁ・・・。

 ギルドに報告しなきゃダメだよなぁ・・・・。

 いやだなぁ・・・めんどくせぇ~・・・。


 ・・・・ぼ~っとしてる場合じゃなかったわ。

 あの女性縛られてたからな。

 助けてあげないと。


 俺は女性に近づく。


 「誰か・・・助けてくれたの?・・・・・どこにいるのかしら・・・・」


 そう言えば透明化したままだったな。

 俺は透明化を解く。


 「ヒッ・・・・・女の子?」


 どうやらいきなり現れたせいで脅かしてしまったようだ。


 「大丈夫ですか?怪我などは?」


 「えっと、大丈夫・・・です。あの・・・ありがとうございます」


 よく見るとこの女性、結構綺麗な服を着ている。

 服だけじゃなく、顔や髪、肌なんかもしっかり手入れをしている感じだ。

 どこかの金持ちかな?


 「いえいえ、どういたしまして」


 「あの・・・・貴女は、商家か貴族の出身の方ですか?」


 「・・・・・なぜ、そのようなことを?」


 「いえ、その・・・ただ、丁寧な言葉遣いが無理なものではなく、自然なものだったので、しっかりとした教育を受けているのでは・・・と」


 なるほどなぁ・・・あれ?でも、街では結構言葉遣いが丁寧な人そこそこいたぞ?・・・俺があった人がたまたまそうだったってだけか?・・・・たぶんそうだな。


 「いいえ。私は商家の出身でも、貴族の出身でもありませんよ」


 「そう・・・でしたか」


 「私は、バスクルの街を拠点にしている冒険者です。バスクルでよければお送り致しますが、いかがでしょう?」


 「本当ですか!?あっ・・・すみません、いきなり大きな声を出してしまって・・・・ぜひお願いいたします」


 「大丈夫ですよ。・・・それでは行きましょう」


 俺はこの女性を街まで送ることにした。

 それに、ゴブリンの事をギルドに報告しなければならないから、一度帰るつもりだったし。


 暫く歩いていると、後ろをついてきていたお嬢さんが口を開いた。


 「あの・・・」


 「?・・・どうかしましたか?」


 「その・・・お名前をお伺いしたいと思いまして・・・」


 「そうですか・・・・・改めまして、冒険者として活動しております、フィアーナと申します。短い間ではありますが、よろしくお願いいたしますね?」


 「ふふっ、本当に礼儀正しい方なのね?わたくし、エリザと申します。こちらこそ、よろしくお願いいたします」


 遅くなった自己紹介が少しおかしくて、お互いに軽く笑っていた。

 そんな時だった。


 俺のサーチの範囲、つまり200m内に何かがいきなり入ってきた。

 それも・・・かなりのスピードで。


 「!?・・・・これは・・・」


 今の俺が勝てる相手なのか?

 俺にはその姿がはっきりと魔法で見えてしまっている。

 大きさもなかなかのものだ。


 「?・・・どうかしたのですか?」


 「いいですか、今すぐに後ろの茂みに隠れてください」


 まぁ、茂みに隠れても気休め程度にしかならないと思うがね。


 「え?急に何を・・・」


 「魔物が来ます!早く!!」


 俺は大声を出してお嬢さんに隠れるように言う。


 バサッ!バサッ!バサッ!


 あぁ、もう来てしまった。

 早すぎだろ。


 怪鳥・・・とでも言おうか?

 なんか色合いが汚い鳥だな・・・。


 「ギョエエエエエエエ!!!!!!」


 「鳴き声も汚い・・・」


 なんだろう・・・・厄日かな?

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