1話:シャノンとシスル
登録したてで、使い方がイマイチ怪しいです。
一生懸命書きますので少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
「ようこそ。『ラガン冒険者組合』へ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
黒いショートカットの受付嬢が微笑みながら話しかける。
「いや・・・・・・あの・・・・・・その・・・・・・・・・すいません。何でもないです!!」
そう言うと冒険者組合の受付に来た若い冒険者は顔を真っ赤にしながら走り去ってしまった。
「あれっ・・・・・・またのお越しをお待ちしております」
受付の少女は戸惑いつつも丁寧に頭を下げお辞儀をする。その頭を上げようとした瞬間、頭に衝撃が走る
『パンっ!』
「痛っ」
涙目になりながら少女は後ろを振り返る。後ろには赤く長い髪の女性が書類を丸めて持ち、反対側の手にポンポンと軽く叩きながら微笑んでいる。
「も~、ひどいじゃないですかシスルさん! 何で叩くんですか~」
「ひどいじゃないわよ! シャノン。あんたこれで何人目よ? 今の子だって何にもしないまま帰しちゃって。いい、冒険者組合の受付は冒険者の人たちに沢山依頼を受けて貰って、その手数料収入を『しっかりと沢山』稼がなくちゃいけないの。それなのにあんたは、何にも依頼を紹介もしないまま冒険者帰しちゃって。ほんとにやる気あるの?」
「うぅ。やる気はあるんですが、でも何でか、ご紹介しようとする前に皆さん走って逃げていっちゃうんですよ」
シャノンと呼ばれる黒髪の少女は大きく真っ黒な瞳を潤ませながらモジモジと机の上で指を動かす。
「はぁ。全くあんたはそうやってすぐイジイジしないの! 折角、良い素質してんだから」
シスルはため息をついた後、左手でそっとシャノンの頬を撫でながらシャノンの全身を見渡す。
黒髪のショートカットは櫛を通す必要がないほど滑らかで、日の光を浴びたことがないような透き通った白い肌はまるで赤ん坊の肌だと言われても疑いようがない。
ラガン冒険者組合の受付嬢の白を基調とした制服がこれほど似合う受付嬢は、この世界広しといえどもこの子以外にはいないだろう。
「・・・・・・ただ、胸がねぇ」
そういって、シスルは頬を撫でていた手でシャノンの真っ平らな胸を触る。
「ちょっ、シスルさん。急に何するんですか! やめて下さいよ~」
シャノンは顔を真っ赤にしながらシスルの手を払い、シスルを睨みつける。
「ははは。ごめんごめん。ついついあんたがあまりにも可愛かったから」
シスルはまるで悪戯をした子供のように無邪気な笑みを浮かべ、シャノンに抱きつく。
「ちょっ、シスルさん。近いですよ~。うぅ~。ボクなんかより、シスルさんの方がよっぽど美人で魅力的じゃないですか」
シャノンは抱きつかれて、顔を真っ赤にしながら両腕でシスルの肩を押し必死に離れようとする。
受付で抱きつきながらじゃれあっている二人を普段は粗暴で怒り出すと手のつけられないような男性冒険者達やそんな男性冒険者を時には押さえつける男性冒険者組合職員は注意するどころか顔を赤らめながら見とれており、女性冒険者達や女性冒険者組合職員は苦虫を潰したような顔で睨みつけている。
誰もシスルを注意できないのは、シスルがラガン冒険者組合で一番の人気受付嬢だからだ。誰もが振り向く美貌を持ち、スレンダーな体には似つかわしくないほど豊満な胸をしており、いつも制服の第二ボタンまで開け放している。
以前は事務局長に注意されていたが、ボタンが締まらない制服を導入している冒険者組合が悪いと逆ギレをして事務局長を黙らせた程、男勝りな性格をしており、その性格を含め男性陣から絶大な人気を受けている。
そんな彼女に向かって面と向かって文句を言えば、ラガン冒険者組合の男性陣達を敵に回し、今後のパーティー活動に著しい悪影響を及ぼすことが容易に想像できるからだ。
更に言えば、最近入職した新人受付嬢もその見た目から瞬く間に人気を集め、もう密かにファンクラブができている程であり、そんな二人に注意出来る女性冒険者・女性職員は一人もいなかった。
「もう! シスルさん! いつまで抱きついてくるんですか、いい加減に離れてくださいよ。ボクそろろそ本気で怒りますよ」
必死に離れようとするシャノンの耳元でシスルは他の誰にも聞こえないようにボソりと呟く。
「私が抱きついて嫌がる男性なんてシャノンあなたくらいよ」