プロローグ
血の雨が降っている。
「これで最後…」
フードを被った女は逃げ回る子供を剣で斬った。子供は血を吐きながら倒れ、絶命した。
「任務完了だ。お疲れ。アルファ」
女と同じ格好の男が近づき言った。
「……」
アルファという女は無言だ。剣を鞘に収め、その場をすぐに離れようとする。それを見て男は笑った。
「おいおい。なんで無視するんだよ。せっかく俺が労ってやってるのによ」
「シータ。私はそんなの頼んでいない。それより…」
シータという男はアルファの言葉を遮るように鼻で笑った。
「『私はもう、人を殺したくない』ってか?だが無理だろ?自分が生きるために…いや、お前の場合は姉ちゃんを助けるため…ぐはっ!」
アルファはシータの首を右手で締めた。
「うるさい。黙ってろ」
アルファはシータは投げ飛ばした。シータは受け身を取りながら咳込んだ。
「相変わらず怖いな。アルファは」
シータはまた軽口を言ったがアルファは無視をし、歩き出した。
「チッ…」
シータも舌打ちをしながら立ち上がり、アルファの後を追いかけた。
血の雨が降っている。街の住人は皆殺しにされ、廃墟となっている。
この世界は壊れている。