序章 将来の夢は魔王様?
将来の夢
五年 二組 神裂 真王
我には偉大なる野望が有る。
矮小で凡百なる一般市民どもには到底実現不可能であろう。
しかし、我にはそれが出来る。いや、我にしか出来ないと言った方が正しい。
そんな我が野望とは即ち
「魔王」
になることだ。
我の身体能力は人間を遙かに凌駕し、頭脳はもはや人智を超えた領域まで到達している。
そんな我がなるのに最も相応しい存在。それこそが「魔王」である。
世界を支配し、人類からあらゆる物を搾取する絶対悪「魔王」
交渉の道具として世界の半分を差し出す巨悪「魔王」
勇者を侮り個別で四天王を戦わせる少しお茶目な「魔王」
初めから全力で戦えばいいものを第二、第三形態を出し惜しむ「魔王」
絶対的破壊者であり、悪の権化でありながらも遊び心を持っている。
我はそんな「魔王」という存在に見事に心奪われてしまったのだ!
これまでどんな物にも魅かれる事の無かったこの、我が!
「魔王」という存在を知った時の甘美なる快感。
一目見て直感した。これこそが満たされぬ我が心を満たすものであると。
我が「魔王」となれば、奴隷となった人類は我に頭を垂れ、永遠なる忠誠を誓う事だろう。
我が元には毎日のように人共が訪れ、様々な献上物を捧げる。それは、物だけでなく、人であったり、領地であったり、我を楽しませる余興であるかもしれない。
けれど、一度我の機嫌を損ねれば世界は崩壊を迎える。
そんな恐怖と隣り合わせの日常に、次第に疲弊していく人類。
世界中が救いを求める、その時。
立ち上がる者こそ、そう我が永遠の宿敵。
「勇者」
「勇者」は様々な困苦を乗り越え成長していくだろう。
「魔王」はそれを嘲笑うかのように試練を与えるだろう。
お互いが対であるならば必然、二つの存在はやがて邂逅するだろう。
来たるべき最終決戦。これを制した者こそが真なる支配者となることはもはや想像に難くない。
つまり「勇者」を倒してこそ真の「魔王」だ。
物語の中ではけして「勇者」には敵わない。
ならば、我こそが最初で最後の「勇者」を倒した「魔王」となろう。
そこで我は考えた。
どうすれば「魔王」になれるのかを。
そこで、ここには「勇者」を倒し、真なる「魔王」になるための129のプランを記そう。
まず一つ目――
***
「……え、え〜っと神裂君?」
「何だ」
「……先生は将来の夢を書くように言ったはずですけれど」
「書いて有るではないか」
「……冗談ですよね?」
「無論」
本気だ
TSの作品を初めて読む読者様には初めまして。TSと申します。これからよろしくお願いします。
別の連載も読んで下さっている読者様は、どうも有難う御座います。
よく有る様な話ですがお付き合い頂ければ幸いです。
序章をお読み下さり、ありがとうございました。