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第86話 部屋を脱出するまで!


「ソウタが心配だしここをなんとか抜け出さないと… とりあえずはみんなを起こさないと」



現在ルナが軟禁されているこの部屋にはティアラ、イヴ、ミーナの3人が一緒に閉じ込められていた。 しかしルナ以外はまだ目が覚めていない。



「ティアラちゃん、イヴちゃん、ミーナさん、起きて!」



ルナは寝ている3人の身体をゆすりなんとか起こそうと試みる。

すると、ティアラ、ミーナの2人が目を覚ます。



「あれ、ここは…」



「ルナ…さん? 私たちは一体…」



まだ寝ぼけ半分な2人であったが、ルナはとりあえず今の状況を説明する。



「…ということは僕たちは魔法も使えず閉じ込められているってことかい? 全くあの男は何を考えてるんだか!」



「そうですか… 私もあのあと気絶させられてここにというわけですか… あの、イヴさんは大丈夫なのでしょうか? アザゼルさんに操られていたみたいですし、まだ目が覚めませんし…」




「ティアラ、あの男のことはもうさん付けじゃなくてもいいよ。 …どうやら、壊れてはいなさそうだけど覚醒にはまだ時間がかかりそうだね」



未だ目が覚めないイヴの様子を見ていたミーナは怒りをあらわにし、イヴを心配するティアラにそう言った。



「それにしても、なんでアザゼルはあのような行動に出たのでしょう… 私たちの味方だと思っていたのですが…」



「あの男は昔からそうだよ。 いつも自分の利する方につく。 おおかた、ニンゲンが魔王軍に勝てないとわかって、『戦争屋』か魔王軍についたんだろ?」



「アザゼルの行動もそうだけど今はここを出るの急がないと! ソウタが心配だよ!!」



アザゼルの行動が気になるのはそうだが、確かに今1番考えなきゃいけないのはソウタの方だ。



「確かにルナのいう通りだね。 僕にいい考えがある」



と言っていきなりスカートを脱ぎ始める。



「ちょ!? ミーナさん!?」



「流石にあの男もポケットは調べたみたいだったけど衣服を剥ぐことはしなかったみたいだね」



ミーナはそう言ってスカートの腰の部分の裏地を見せる。

そこには色々な道具が仕込まれていた。



「別に結界が張られてない部屋を出るなんてなんてことはないさ。 時間はかかるだろうけどイヴが起きたらこんな悪趣味な腕輪も外してもらえるだろうし。 とりあえずここを出ようか」



そう言ってミーナは素人目で見てよくわからない道具を作り、音もなく鍵がかかっていてあげられなかった窓の鍵を開ける。 そしてイヴをおんぶ紐の要領で背中にくくりつけベッドの脚にワイヤーのものをくくりつけ、それを窓から垂らし、するするっと降りていく。 それに見習い、続いてルナ、ティアラもワイヤー伝いに下に降りる。

こうして気絶したままのイヴを含め3人は無事に部屋を脱出することができた。

































「うん、うん、はーい、わかった。 それじゃあ君は休憩してていいよ。 やれやれ、我が弟子ながらあっぱれていうかなんていうか。君のおねーさんを監視していた人からだよ。 どうやら脱走したみたいだよ。 ってことみんなもう気を失ってるか」



そこには横たわるキーナとメル、そしてレイラとセリアの姿があった。



「全く1番手強い相手というか。 さすがはセリア、『戦場の修道女』と呼ばれた女性だよね。 あ、ありがとね君がいなかったらアウトだったよ」



やれやれとアザゼルは頭を掻き、隣にいるアリーに礼をいう。



「それはどうも。 で、あっちの方は本当に止めないのか? 彼、死ぬぞ? せめて彼が元々持っていたあの魔族に対する毒みたいな剣使わせてやっても良かったんじゃないか?」



「まぁ大丈夫でしょ。 あの剣使ったら多分倒せちゃうぞ? あのドラゴン。 あれは初代勇者が使っていた聖剣だからね。 それじゃあ意味がない。 それにほら、ソウタ君意外性と運だけはぼくの計り知れないところがあるから」








































もう限界が近かった。

身体はすでにあちこちボロボロで息を吸うたび胸が痛むところをみると肋骨も何本か折れているらしい。 さらにまずいことに利き腕の右腕は噛み砕かれ指一本動かさずにただぶら下げているだけとなっていた。

頼りの武器も刀身の半ばから折れてしまっている。




ドラゴンに対してなかなかいい勝負ができていると思っていたのだが、それはとんでもなかった。

ドラゴンの方は全く本気を出してなかったのだ。

本気を出したドラゴンに俺は弄ばれるように、ボロボロにされてしまったのだ。

もう魔力はほとんど残っておらず、吸血鬼の力も使えない。

さらに最悪なのが戦っているあいだに『魔力喰い(エナジー・イーター)』に対して耐性が相手のドラゴンにできてしまったのだ。

そこからは防戦どころかなるべくダメージを受けないようにするので手一杯であった。

俺はよろよろと立ち上がる。

ドラゴンは王者の風格なのか、ただ俺をボロボロにして楽しんでるのか追撃してこない。




本格的にまずいな…




辛うじて動く左腕で心許ない折れた剣を杖の代わりに立つ俺にとどめを刺そうとドラゴンがこちらへ向かってきた。




このままだと確実にあの世行きだ!

仕方ない、ここは運頼みだ!















後は野となれ山となれ(デスペレーション)!!』











久しぶりに使った何が出るかわからない魔法いつもなら何かが現れる時に出てくる時魔法陣があらわれるのだが、魔法陣は現れなかった。つまりは失敗だ。



くそ… ここまでか…



ここで完全に魔力が切れ、ばたりとその場に倒れる。

全く身動きの取れない俺が覚悟したその時、俺にとどめを刺そうとしたドラゴンの動きが止まる。



? どうしたんだ…



俺はチカラを振り絞り顔を上げドラゴンの方を見る。

すると俺に攻撃しようとしたドラゴンの右肩には大きな『鎌』が突き刺さっていたのだ。









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