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第83話 船を外に出すまで!



いつの間にかメガネをかけたアザゼルが教師よろしく作戦内容を話す。



「確かにイヴくんの言う通りいくら私が元天使だと言ってもこんなでっかい船をゲートで運ぶなんて無理だ。 そこでみんなの力を借りる。 まずミーナにはこの船丸々入るくらいでかい転移用魔法陣を作ってもらう」



「ちょっと待って、師匠。 さすがにそれ僕が魔力切れで死ぬ!」



すかさず、ミーナが無理だと拒否するがそんなことアザゼルは承知済みである。



「安心しろ。 サポートとしてキーナをつけるからただ転送云々はやらなくていい作るだけでいいそれならギリギリ持つだろ? そしてその転移用魔法陣の上に私がゲートを開く。 サポートはメルだ。 ゲートを安定させるのを手伝ってもらう。 そしてソウタくんは『魔力喰い(エナジーイーター)』でみんなから魔力を回収、そして回収した魔力を私に注ぐ。 これでいけるはずだ」



「作戦ガバガバじゃね?」



俺は素直に感想を口にする。



「まぁ実際力技に頼るしかないんだ。 参謀である私としてはあまり使いたくない言葉だが気合でどうにかしてくれ」



あのー根性論で戦争やってこの船がバリバリ活躍していた時代に痛い目見てるんですが…

























「みんなー! 準備できたかー!! それじゃあ行くぞ!!! ミーナ! キーナ!」



「「はいよ!」」



アザゼルの指揮の元、ミーナとキーナがタイミングを合わせて呪文を唱え船の頭上に転移用魔法陣を作り出す。



「よし! メル、私たちもやるぞ!」



「私に指図しないで!!」



アザゼルとまだ男に当たりが強いままのメルが艦首と船尾にわかれ、に立ち詠唱を始めゲートが現れる。

そしてあらかじめみんなの魔力をかき集めていた俺がアザゼルにありったけの魔力を注ぐ。

するとゲートはみるみる広がり、ギリギリ船が通れるほど広くなった。



そしてゲートの方からゆっくりと下に下がっていき船を丸々飲み込んでいく。



























気がつくと眩しい太陽が上から煌々と降り注いでいた。 外からは潮の匂いとさざ波の音。 そして海鳥の鳴く声。



「諸君ご苦労様! 無事に外に出ることができたぞ!!」


アザゼルは満足そうにみんなにそう伝える。

だが、船内の反応は薄く疲れ切った空気に支配されていた。



「みんなだらしないなー。 まぁこれでいいだろう。 諸国の王たちもこれで同盟に納得してくれるだろう。 あとはうちの王様とエディ、そして高い金で雇った『色欲』が頑張ってくれるかね」























時間はソウタたちが船を地上に持ってくる一日前まで遡る。

アルシノエ王立図書館の大会議場では連日人間諸国の大同盟の話し合いが行われている。 だが、参加しようと手を挙げた国とそうではない国の間には決定的な溝があり話は平行線のまま進んでいた。

そして今日の会議でもまとまらず、結局明日の最終日に持ち越しとなった。

そして翌日会議の前にエディはアルシノエ国王モーデルは部屋を訪れていた。

一方のモーデルは部屋をうろつき回り落ち着きがない。



「ええい! アザゼルはまだなのか!?」



「落ち着いてください、国王陛下。 すでに準備が終わったとのこと。 もうしばしお待ちを」



それをエディがなだめるがあまり効果はなかったようだ。

ついには1人にしてくれと部屋を追い出されてしまった。

部屋を出たエディはふぅとため息をつく。



「若の相手も大変だね」



こちらへ向かってきて歩いてきたアリーに声をかけられる。

職場を離れているというのに相変わらず派手な服装は変わらずエディは顔をしかめる。

そのまま2人は廊下を歩き始める。


「今は王子ではなく国王陛下です。 それにまたそんな格好をしてるんですか?」



「まぁ職業柄ね。 普段から身だしなみは整えておくものなんだ。 それよりもうすぐ完成するんだって?」



「ええ、今日の昼前にはこちらに来れると先ほど連絡が入りました」



「それはそれは」



ははは、とその報告を聞いたアリーはこぎみよく笑う。



「で? あなたは私に何の用ですか?」



「お、さすがアザゼルの右腕、鋭いね。 僕の方からも報告がある」



と、エディをからかいつつアリーは話に入る。



「まぁ僕からは2つほどだな。 まずは今魔王軍がどこまで進軍しているかという話なんだけど…」



「それは聞いています。 アラビア王国の国境付近ですよね。 我々が先駆けて派遣した援軍から報告を受けています。 アラビア王国は国境付近で迎え撃つ準備をしていると。 それくらいは把握しています。 この国の情報網を舐めないでください」



「それは失礼した。 それではもう1つ獣人の国の件はもうしっているかな?」



「獣人の国? シビルのことですか? 北のあの国でどうしたんですか?」



「あそこの国も魔王軍の進軍があったらしいんだが、魔王軍が撃退されたらしい。 しかも、魔王軍幹部の1人がその戦いで落ちたとか」




「それはほんとですか!? わたしも詳しくは知らないのですが確か獣人の国の兵士は北国一の兵と呼ばれるほど強い兵士達だと聞いています。 なるほど… 彼らとの同盟も考えた方がいいのでしょうか」



エディは驚き声を上げるが今自分たちが廊下を歩いていて他の人の耳にも入りかねないのに気づき慌てて声を抑える。



「いや、それは無理だと思うよ。 そもそも魔王軍を追い返したのは彼らじゃないしね」



「? というと?」



「彼らの同盟国だ」



「同盟国? それはどこでしょうか?」



「戦争屋だ」



「!? そんな!!」



「戦争屋の連中、獣人達を傘下に入れたみたいだよ。 彼らも何を企んでるやら」



さらっとアリーはいったがどれも重要な内容であった。



「重要案件じゃないですか! 今すぐ館長に連絡を…」



「それなら、ほら。 どうやら船改修し終わってきたみたいだよ」



アリーは窓の外を指す。

そこには海の上に鉄でできた大きな船が浮かんでいるのが見えた。

















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