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第78話 忘れるものを見つけるまで!

「皆さんお忙しいところ、そして先日おきました悲惨な事件の後こうしてこの場にお集まりいただきありがとうございます」



現アルシノエ王国モーデル国王を議長として、会議が始まった。 しかし、広い会議場の半分近くの席は空席だ。



「早速議題、というより先にお伝えしていた本来の内容を変更して我が国から提案があります」



モーデル国王はいきなりそう切り出した。



「我々人間側の勢力で同盟を結びたい」

































「まさか、東側ではそんなことになってるなんて…」



ティアラが難しそうな顔をでそういう。

先日の事件の犯人の処刑。 これが今回の会議というかいろいろな国の重鎮を集めていわゆる仲直り会であると聞いていた。 俺もルナたちと合流する前にアザゼルからそう聞いていたので、てっきりそうなるかと思った。 だが、アルシノエ国王モーデルが俺たちに向けて話したのはこうだ。




現在魔王軍が先日の事件で起こった人間の国々の混乱に乗じる形で攻め込んできたそうだ。 すでに何カ国か連絡が取ることができずにいて、恐らく魔王軍に殲滅されてしまったのだろうということだ。 それでもいくつかの国は粘っているらしいのだが、長くは持ちそうもなくアルシノエ王国のとなり、アラビア王国からはアルシノエ王国に対して救援要請が出されていた。



アルシノエ王国としても自国の隣が魔王軍に落とされては次は我が身で切羽詰まってるのであろう。 そこで今現存している西側の諸国を集めて1つになって魔王軍を迎え撃とうというのである。 ただアルシノエ王国は先日の事件以来各国からの信頼は大きく下がった。 なので話し合いはその場では決まらず結局は今すぐ決断は出せないと保留になってしまった。




「レイラちゃんはどう思う?」



ルナがレイラに聞く。

俺らとしては、魔王に対しての同盟は大歓迎なのだが、これに関しては俺らではなく、一国家元首であるレイラに決める権利がある。



「私としては賛成ですが、皇国に戻って議会を納得させられるかはわかりません」



とレイラも難しそうな顔をする。



「こればかりはどーしようもないよなー。 時期が悪すぎる」



「なんなら、ソウタがみんなをまとめたら? 勇者を旗印にー、みたいな」



「そんなのどこの馬の骨かも知らない奴が自ら勇者だとか名乗ったら頭のおかしいやつみたいに思われるだろ? 誰がそんなの信じるんだよ」



「いや、信じさせるんだ。 各国の代表にね」



部屋の扉が開かれなんとそこに現れたのはアザゼルであった。 そして彼はレイラの方へ向かう。



「皇帝陛下、この度は遠路はるばるありがとうございます。 私はこのアルシノエ王立図書館館長、エドワードと申します。 会議中は当図書館が身の回りのお世話と身辺警護を担当します。 何かありましたら図書館のものにお申し付けくださいませ」



アザゼルは完全に仕事モードというような風にレイラに挨拶する。

何気にしれっと偽名使ったな。

まぁ天界を本当にあると知る人は少ないがもしもということなんだろう。




そんなレイラと話すアザゼルの様子を見ていると、ルナがくいくいと袖を引っ張り、聞いてくる。



「ねぇねぇ、ソウタはあの人と知り合いだったみたいだけど誰なのあの人? なんかめっちゃ偉そうな地位の人に見えるんだけど」



「あの人はこの会議場のある図書館の館長だよ。 前に話したと思うけどドラゴンとか諸々と戦った後いろいろガブリエルと一緒に世話になったんだよ」



「え、じゃあガブリエル様とかさっきソウタが勇者かもって信じるみたいなこと言ってたの知ってるってことはあの人…」



「御察しの通り、天界の関係者だ」



俺は小さな声で聞いてくるルナにそう答える。

気づけばティアラもイヴも聞き耳を立て聞いており、はたから見れば4人が怪しい相談をしているようにしか見えない。

というかさすがにみんな天使が、天界がとか言ってももう驚かなくなっているな。



俺はアザゼルがレイラと話し終えるのを待ち、さっき言ってたことについて聞いてみた。



「あざ… じゃなかった、エドワード、信じさせるって言ったってどうやってみんなを納得させるんだ? どう考えても頭のおかしいやつみたいになりかねないだろ」



「まぁその件なんだけどね。 実はこの国にはいざという時の隠し玉があるんだよ。 かれこれ2、300年前だったかな、 当時の勇者が残していった遺産が」



この剣の他にも勇者の所有物がまだ残ってるのか?

とはいえそうなってくると何が残されているんだろうか。

というかなんかモンクエっぽくなってきた!




「ふむ、それじゃあソウタくんを案内しようか、その場所に」



「あ、でも今は」



俺はちらっとレイラの方を見る。

そもそも俺はここに護衛できているのだ。

だからここを離れるのは問題がある。



「それなら私がレイラ様の護衛でここに残ります」



俺の話したい意図を読んでかセリアさんがそういう。




「私はこれでもレベル100を超える冒険者ですし、大丈夫ですよ。 ソウタさんたちはその天使のように聡明な(・・・・・・・・・)館長さんといってください」



…恐らくセリアさん、アザゼルのこと知ってるな。 アザゼルはなんか気まずそうな顔してるし。



「あ、ありがとうございます。 こちらからもお付きのものをつかせるので」



アザゼルはそうセリアさんに答えると俺たちを連れて部屋から出る。



俺、ルナ、ティアラ、イヴの4人でアザゼルの後へ着いて行く。

どこへ案内されるかと思いきや、以前訪れたアザゼルの部屋だった。



「いやー、びっくりした。 なんでセリアがこんなところにいるのさ。 聞いてないよ」



今まで無言だったアザゼルが部屋に着いた途端溜息を漏らすようにいう。



「なんだ。 セリアさん知ってるのか?」



「知ってるも何も冒険者では結構有名な人だよ。 引退したって聞いてたけどまさかソウタくんたちとくるとは思わなかった」



勝手に話し始めた俺たちだったのだが、ルナが部屋をキョロキョロと見渡しアザゼル、もといエドワードに尋ねる。



「あのー、エドワードさん。 その勇者の遺物ってどこにあるんですか?」



「ああ、ごめんごめん。 それはこの部屋にはないんだ。 ここに来てもらったのはゲート開くのに他のみんなに見られたくなかったからね」



そういい、よっこいせとゲートを出現させるアザゼル。



「さぁ、行こうか」



そういってアザゼルはゲートの中に入る。

俺らはとりあえずアザゼルの後に続くことにした。





























「これが勇者の遺物だよ。 どうすごいだろ?」



アザゼルは自慢げにいう。、



「うわぁ…」



「す、すごいですね…」



「私のデータにこれほどすごいものはありません」



俺以外のそれぞれ感想を漏らしていたが、皆初めて見たという驚きだ。 だが、俺だけは違った。




「嘘… だろ… なんでこんなものが!?」




俺らがゲートでたどり着いたのはどこかの広い地下空間その地下空間にそびえるは大きなそして縦に長い鉄の塊。 俺らから見ると下の方がシャープになっており上に曲線を描きながら太くなっていくという形。

言うなれば陸揚げされた船(・・・・・・・)を見上げる感じだ。



「ここにあったのか、ひぃじーちゃんがこの世界に来た時に乗っていた船… 駆逐艦 睡蓮」



「やっぱり、ソウタくんは知っていたのか。 これは君の世界のなんだろ?」




そう、これは間違いなく俺の世界にあった船だ。 そもそもこちらの世界は木造の帆船を魔力の補助で動かしている。 もちろんこんな鉄の塊はない。

それに俺は、この船がこの世界のどこかにまだあることを知っていた。 それはランダスの街を訪れた時、発見した手記、これに記されていた。 それに『朝日の洞窟』の資料の中にもこれに関する記載があった。 ただそれがどこにあるのかもわからず200年も300年も前のものなど等になくなっていると思っていた。 しかし船の見た目はまったく劣化しておらず堂々たる姿で鎮座している。



「最初この船には劣化防止の魔法がかけられていたんだよ。 何百年も魔法を持たせるなんてよほどすごい魔法使いが魔法をかけたんだろうね」



とアザゼルは独り言のようにつぶやく。



「で、これを俺にどうしろと?」



衝撃から少し頭が覚め、俺はアザゼルに聞く。

まさかこれを動かせとかいうんじゃないんだろうな。



「君にはこれに乗ってもらうよ。 そして勇者の復活と人間側の団結そして魔王への反撃の狼煙をあげるんだ」



「だけど、俺にはそれを動かすことなんて…」



「ああ、その辺は大丈夫うちには優秀なメカニックがいるから」



アザゼルは自信たっぷりにそういった。



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