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第74話 恒例のお疲れ様会をするまで!


「さて、久しぶりの再会を祝してかんぱーい!!!!」



毎度恒例になった仕事がひと段落した後の打ち上げである。

皇都はミノタウルスの被害からまだ完全に復旧したわけではないが、復興作業を手伝う冒険者などの人のため、飯屋や居酒屋などが臨時営業していた。

文字通りの青空レストランなのである。 まあ今は夜なので星空レストランといった方が良さそうなのだが… というか建物が使えないので外で営業しているだけなのにそう言うとなんか洒落乙じゃね?




「いやー、にしても我ながらよく生き残ったとおもうよ。 ドラゴンだよ? 木のお化けだよ? 俺、今ならどんな敵も怖くはないわ」



「わ、私たちだって頑張りましたよ!? ね? イヴさん! ね?」



「はい。 ソウタ様やルナ様にも私たちのあのコンビネーションをお見せしたかったです」



「私だって教会を襲っていたミノタウルスの親玉倒したんだからねっ!」



みんな思い思いに自分の戦果を自慢する。

なんというかやはりみんなでこうやってワイワイやってるときが一番楽しい。




「そういえばさー。 ソウタがさっきの模擬戦で使ったのって新しい魔法?」



ルナがそれぞれの武勇伝を話す流れで聞いてきた。



「あ、あれすごかったですよね!」



ティアラは興奮したように相槌をうつが、ルナの目ティアラと違い尊敬というよりむしろ怪しむような感じである。



「えーっと、確かに新しい魔法だけど別に木を操る魔法というわけではないんだけど」



俺は新しく覚えた『魔力喰い』についてとどうやって植物の魔法を使えるようになってたのかをみんなに説明した。 とはいえ誰に教えてもらったとか詳しいことは省いたのだが… (さすがに魔王を倒そうと集まったパーティーで魔王幹部に協力してもらったとはいえないしな)



「なるほどね。 だからあの時商隊の人たちにかけられていた魔法と同じ感覚がしたのかー。 でもその『戦争屋』の植物使いってソウタが倒したんでしょ? ならこれ以上あの魔法で苦しんでる人はいないってことだよね? よかったー」



「まぁルナの話から考えるとそうだろうな。 ところで商隊の人たちって?」



「ええっとね、私たちも皇都にいた時こんなことがあってね…」



と今度はルナたちが皇都にいた時の『戦争屋』のことについて話してくれた。

ルナたちの話す商隊の人たちというのはフーカと最初に会った時に闘ったミノタウルスに襲われていた人たちのことだった。 植物使いのミネアといい、ミノタウルスといい、俺らはすれ違いのように同じ事件を解決していたことになる。 それ、話せばわざわざあんな決闘じみたことしなくてもよかったのかも…

それにしてもあの人たちあそこで助かったと思ったらまた襲われてたのか。 なんというか不運な人たちだなー。 そういえばあの後クロエに会ってないな。 心配しているだろうからレイラ様の護衛に出発する前に一度会っておいたほうがいいかな。

俺はそんなことを考えつつ手元のジョッキのお酒をぐいっと飲み干してお代わりを頼む。 前にも行ったかもしれないがこの世界の成人は15なのだ。 なのでここでいうと俺とルナは法的に何も問題はない。

そして、お酒というのは飲み始めるとその場のノリというか空気に押されてドンドン進むものなのだ。 そして人数が集まればなおさらである。



「あははっ! こんばんはっ! ソウタくん!」



後ろから一際明るい声が聞こえた。

昨日の夜というか時間的には今日の朝になるのだろうが、 その時まで一緒にいたガブリエルの姿があった。 その後ろにはルークの姿となんと我らが女神セリアさんの姿もあった。

というかあの後ガブリエルは無事だったんだな…




「いやー、あの後どうなるかと思ったけどセリアに助けてもらってまさに九死に一生を得るだねー」



ガブリエルはなんら悪気のないようにしれっとそういう。 それにルークのこめかみがピクリと反応し、何か言いたげそうだったのだが、セリアさんの目線を感じるや、大人しく下がる。

ルーク、確か元魔王とか言ったよな…

完全に飼い慣らされてるな。



「ルナさんとソウタさんはお久しぶりです。 お二人ともポルタの街を出た時とは比べものにならないくらいお強くなられましたね。 そしてあなた方がティアラさんとイヴさんですね。 初めましてセリアと申します。 普段は聖職者をやっているのですが、今は世界の平和のため、ルークさんと笛を探す旅をしています」



と俺とルナに挨拶をしてから、ティアラとイヴに挨拶と簡単な自己紹介をする。

まさか、ルークの旅にセリアさんまでついてくるとなー。 ルークのお目付役とはいえ危ないだろうに。

俺がそんなことを思っているとああっと! ティアラが何か思い出したように声を上げる。




「思い出しました。 ポルタの街のセリアさんといえば、前にあった魔王軍の大規模進行で活躍したあの『冷血の聖母』ですよね。 あの戦いで帰ってきた数少ない伝説の冒険者の!」



驚きの経歴だった。

なんだその二つ名!

見るとルナも驚いている。 こいつもどうやら知らなかったらしい。



「嫌ですわ。 それは昔の話であの戦い以降もう冒険者引退してますし」



困ったように照れるセリアさん。

後で聞くと、その魔王軍進行で多くの冒険者が死んでしまったほど大きいものだったらしい。 俺がレベル100以上の冒険者を探すのに苦労したのもそれが原因だ。

というか身内にそんなすごい人がいたのか…

街を出る前にいろいろ教わってからにすればよかった。

後悔先立たずである。




ともあれここで後から加わった3人を含め俺たちはこの後も再開の祝いとこれからの護衛任務の景気付けに騒いでいくのであった。
































































歴史は繰り返す。

この言葉を考えたのは誰だか知らないが、その人はよく人間というものをわかっていたと思う。

おれはこんなこと前にも言ったような気がするが今は頭が痛くてそれを思い出すのもかったるい。

ただ、その頭痛も、アルコールがまだ残っていて頭がボーッとするのも一気に吹き飛んだ。

いや、酔っ払って朝起きて何か起きているというのは前にもあったのだが、寝起きの俺にそれを警戒しろというのは酷な話である。




朝布団をめくるとそこにはすやすやと眠るティアラの姿があった。





状況を整理しよう。

まずは落ち着いて物事を考えることが大切だ。

とは言っても何も覚えていない。

いや、そういえば朧げに昨日、ティアラと何か話したような気がする。

だが、内容が思い出せない!

簡単にあきらめるなハヤカワソウタ! ここまででかかってるんだ! 後もう一息頑張れば…



「おはようございます。 ソウタ様、ティアラ様」



そう言ってイヴが部屋に入ってきた。

自分の顔は見れないが俺はムンクの叫びの3倍はすごい顔をしただろう。



「ちょっと待て! イヴ!! 話を聞いてくれ!!」



入ってきたイヴにそう叫ぶ俺、その声にティアラは目を覚ます。

最悪だ。 状況がドンドン悪い方向に進んでいく!!



「ん… おはようございます。 ソウタさん…」



終わった。

俺はそう確信し、覚悟を決めた。

まさか奇跡的な生き返りをした後こんなことで終わるとは…



「なるほど。 状況は理解できました。 それとソウタ様が焦っている理由も」



焦る俺と寝起きのティアラを交互に見てそして何か納得したように、至って平坦な口調でイヴはそういう。



「ソウタ様安心してください。 恐らくソウタ様が思われているようなことはなかったと推測されます」



イヴはそう断言するようにいった。

すると、ティアラがきょとんとした顔で聞いてきた。



「そういったこととはなんのことですか?」



「あ、いや、その、なんというか、あれだよ…」



俺は言葉を濁すようにあやふやに答えようとしたのだが、



「ソウタ様とティアラ様に昨夜、男女間の関係があったかということです」



「男女の関係?」



「はい。 具体的にはソウタ様とティアラ様が昨晩、せい、 ウグッ!」



俺はとんでもないことを言いそうになったイヴの口を慌てて手で塞ぐ。



「男女の関係… せい… あっ!」



ティアラはイヴが言わんとすることに気づき一気に顔を真っ赤にする。



「あの! 私はソウタさんと、そのようなことは…」



ティアラは反論するも恥ずかしさからかドンドン尻すぼみになってしまう。

これ以上何か話させるのはもはや羞恥プレイだな。



「はい。 ですからそのようなことがなかったと推測されます。 もしそのようなことがあったとするのならソウタ様は酔って動けない状況でしょうから様々な証拠が残るでしょうし、ティアラ様からそのような行為に及ぶとは思えません。 それにソウタ様は酔ってしまうと朝まで起きないのはベルンの街の時に実証済みなので途中で起きたということはないでしょう。 まぁ例外としてティアラ様から行為に及んだ場合は別ですが」



「そ、そんなことしないです!!!!」



まぁ何はともあれ変な疑いをかけられないで助かった。

というかそもそもここどこなんだろう。

頭が冷えたところで今更ながらそんな疑問が頭に浮かんだ。

それとなんでティアラが布団の中に入ってたんだ?

俺は気になったのでそれを聞いて見た。

それにイヴが答えてくれた。



「ここはセリア様とルーク様が滞在されている宿です。 昨夜あの後、ソウタ様とルナ様が泥酔して動けなくなってしまったため、セリア様とティアラ様で介抱してここに泊まることになりました。 ルーク様はあの後どこかへ、私はガブリエル様にお持ち帰りされました。 なのでなぜティアラ様がソウタ様の布団に入られているかはお答えできません」



なるほど、だいたいの流れはわかった。

一方ティアラは依然として恥ずかさで顔を真っ赤にしているがモジモジしながら答えた。



「その、セリアさんのご好意でセリアさんたちが滞在している宿にお邪魔させていただいたんですけど、この部屋の私が使おうとしていたベッドが壊れていて… その、なので… ソウタさんは、その、えっちなところもありますが… 常識ある人なので… 大丈夫かと…」



と最後は蚊のような声で先細っていき終いにはうつむいてしまった。

普段の評価については物申したいとこもあるがまぁここは一応信用されていたということにしておこう。



コホンとティアラは咳払いをして話題を変える。



「昨日は結局帰りませんでしたからレイちゃんを心配させてると思います。 準備出来次第お城の方に行きましょう」
















































「うー、頭いたーい…」



ルナは頭を押さえそう訴える。



「今度からは自制しろよ? これからレイラ様のとこだからそこでは我慢してシャキッとしろよな?」



「ソウタ様も飲みグセについてはあまり言えたことじゃありません」



ルナに俺はしっかりするように言ったのだが、イヴに最もなことを言われてしまう。

グゥの音もでない…




「さぁみなさん行きますよ」



と言ってティアラが先頭を切ってレイラのいる部屋に入る。

よし! これからまた新しいクエストの始まりだ!






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