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第73話 魔王がついに動き出すまで!

「…私の負けだ。 今までの無礼は謝ろう。 すまなかった」



ナタはスッと手をだし握手を求める。

俺は素直にそれに従う。



「いえ、気にしないでください。 何はともあれ、誤解が解けてよかったです」



「すごかったです! ソウタさん! どうやったんですか!? とにかくすごかったです!」  



ティアラは興奮冷めやらぬ様子で駆け寄ってあれこれ聞いてきた。

それに続いてルナとイヴもこちらへ駆け寄って労いの言葉をかけてくれる。

それにしても、まさかあんなに上手くできるとは思わなかった。

いや、上手くいってくれなきゃこまるんだけどね。



先ほどのナタとの模擬戦で出した木製の短剣と刀は以前プトレサンドリア図書館で戦ったミリアの魔力を利用したものだった。

フーカから教えてもらった『魔力喰い(エナジー・イーター)』は相手の魔力を吸収するという魔法なのだが、吸収した相手の魔力によって不完全ながらもその相手が使っていた魔法が自分も使えるという副作用的な効果もあった。

それに初めに気づいたのはミネアと戦っていた後だ。

あのときは根性論で体力勝負に勝ったと思ったが、よくよく考えてみると俺も少なくないダメージを負っており先に倒れてもおかしくはなかった。 それにミネアも戦闘の素人じゃあるまいし自分の技の弱点を理解した上で、相手の実力を計算した上でこの技で勝利できると確信して仕掛けてきたのだろう。 それが計算外に俺が倒れなかった。 これはミネアが俺本来の実力を見誤ったのではなく、この直前にガブリエルから吸収した魔力で強化された俺を見誤ったのではないかと考えた。 実際に天使はその膨大な魔力で常に自分の身体を強化、さらには身体を魔力の膜のようなもので覆ってるらしくちょっとやそっとじゃ傷つかないらしい。 そんなことをゲートで迷子になっている間にガブリエル本人から聞いた。 そこでミネアとの戦いの後疑問に残っていたことに合点がいき、俺はその『魔力喰い』のもうひとつの効果に気づいた。

というかこの技のオリジナルを使うフーカの『底を知らない食欲アンリミテッド・グラトニー』のことを考えるとすぐにでもわかることだったのだが…



ちなみにどうやら体内にある奪った魔力を使い果たすとその吸収された相手の技は使えなくなってしまうらしく、先ほどの戦いの最中自分の身体を強化しようと思ってもできず、剣を弾かれたとき折れたっぽい指に添え木を作ろうと模擬戦終わりにもう一度ミネアの魔法を使おうとしたが、これも上手くいかなかった。

おそらくはほかにも『魔力喰い』には制約みたいなのがあるのだろうが、ともかくミネアの魔法使い勝つことができたのよしとしよう。




俺は今後放ったらかしにしていたことがとんでもないことになるようなフラグを立てること(どうか何もありませんように!)を考えていたがじょじょにます指の痛みにそんなことはどうでもよくなり、ルナに回復魔法をかけてもらうように頼みに行った。
































ソウタたちのいる皇国から遥か東。

ここにはその昔とても大きな国があった。

そこにはたくさんの人々が住み、それぞれの営みがあった。

しかし、今、その国のあった場所は死の大地と化している。

大気に蔓延する瘴気で草木は枯れはて、動物どころか虫一匹すらいない。 あるのはかつてここに人の営みがあったことを微かに残す崩れかけた廃墟のみとなっていた。 その今は亡き国の首都に当たる場所に大きな宮殿はあった。 宮殿だけは場違いのように荒廃した街並みの中で昔と変わらぬ荘厳さを誇示していた。

その宮殿の外には数え切れぬほどの魔物がひしめき合っていた。

皆、この宮殿に現在住んでいる王に呼ばれ集まってきたのだ。




「魔王様。準備は整いました」



綺麗な銀色の長い髪をした女性が魔王と呼ばれる男にそう伝える。



「よっしゃ!! 久々に大暴れできるぜ! 好きなだけ暴れてもいいんだよな、ルノ! 」



頭からキツネのような長い耳を生やした女性はもう待ちきれないのか自分の持つ短剣をブンブン振り回してルノと呼ばれた銀髪の女性に聞く。



「うわっ! あ、危ないな! 今はしまっとけや!! ベンケイ! まったく… せやけどあれやな準備は出来たゆーても昔のパーティー全員集合とはいかんかったけどな」




「バカっ! それを言うな! エスタ!」



変わった喋り方をする女性に対し怒るポニーテールの女性。




「それはもう良い。 サーニャ。 皆の者聞けっ!! 機は熟した。 これより我が魔王軍はこれより忌々しい人間及び『戦争屋』を駆逐する。 ゆくぞ!!」



こうして魔王軍は東の地から人間の勢力圏の西に向けて進軍を開始するのであった。









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