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第71話 情報交換するまで!


「…」



ルナからの視線が痛い。

どうやら俺は重要な情報を得る代わりにとんでもないものを手放してしまったようだ。



「る、ルナさん? ソウタさんは悪くありませんよ。 私は大丈夫ですから」



「はぁ。 もう、ティアラは純粋で可愛いなー。 それに引き換えそこの変態どもは」



とこちらを睨んでくるルナ。

本当に代価がでかかったな。

とはいえ情報としては本当に結構大事なものだった。



ルークは現在『週末の笛』というのをセリアさんと探しているらしい。 なんでもその笛はそれ一つで世界を滅ぼすことができるんだとか。

それを『戦争屋』と魔王軍両方が狙っており、それでルークはそれが両方の手に渡る前に手に入れ壊してしまおうというのだ。

つまりは笛がなくなることによって、一瞬で人類が滅ぼされるという危険がなくなるというのだ。

ルークとて自分の趣味の対象であり、また食料である人類が滅ぼされるのは困るということだ。

よくもまぁそんな物騒なものが存在したもんだ。



「つまりはだ。 これがあればこの皇国に戦争など仕掛ける国やその他諸々の勢力に対して、 『え? おたくら宣戦布告とかしちゃうの? こっち笛あるけど使っちゃうよ?』 的な感じで脅せば問題なかろう。 よかったな」



「そんな物騒な解決手段使えるわけないだろ! 余計に事態は悪化するわ!!」



ルークの何も考えていないであろう発言に全力で突っ込む。

ただ、ルークの言うことは実現はできないであろうが一理ある。 つまりは抑止力として手中に収めておくというのはあながち間違った考えではないだろう。 だが、実際やったら間違いなく奪い合いの戦争になること請け合いだ。

ただ、『戦争屋』とかいうなんの目的で争いの種をあちこちにまいてるかわからない連中の目的ははっきりしたといえばしたと思う。

つまりは奴らも魔王軍と同じで人類を滅ぼそうとしているのだ。

ただ、そしたらその二つの組織で結託して、敵の敵は味方じゃないけどそんな感じで共闘して人間と戦えばもっと楽に行きそうなもんだけどそうはいかんのかな。




「なるほどねー。 みんなそんな物騒なもののために大変だねー」



「他人事ではないぞ。 そもそもあの笛は貴様の管轄であろ、ガブリエル。 さぁ早く笛のある場所を教えろ」



「え? それガブリエルが知ってんのか?」



「なんだ、知らなかったのか?」



「ソウタ様、私が説明しましょう」



俺は驚きルークに聞いたのだが、ルークのにイヴが答えてくれた。



「本来『終末の笛』というのは聖典の中に出てくるものでガブリエル様の持ち物とされています。 またそれを吹くことができるのはガブリエル様のみだとか」



「なるほどなー。 で? そんな危ない今までどこに置いておいたんだよ」



しかし、ガブリエルは挙動不審というかなんか様子がおかしい。



「うーんとね。 あはは。 笛なんだけどね。 その、どこやっか忘れちゃったみたいな。 あはは」



ルークはその言葉に固まる。

つーか、そんな危ないものガブリエルに任せるのもどうかと思うのだが…




「ガブリエル、何か他に言うことはあるか?」



明らかに苛立ちからの殺気を放つルークがガブリエルに問う。



「えーっと、あの、…許してにゃん♡」



彼女の中の最近のトレンドなんだろうか。 あざとくルークに向かって言った。



「… よかろう。 表に出ろ」



「え? え!? まって! 私も悪気があったわけではないの! ねぇ! そ、そうだ! 髪の毛あげるから! なんなら私の血も! ねぇ、いたっ! ぼ、暴力は良くないんじゃいかな、ねぇ!」



と最後まで抵抗していたガブリエルだがズルズルとルークに襟首持たれ引きずられていってしまう。



「ソウタさん。 彼女、本当に天使様なんですか?」



「ああ、そうだよ、ティアラ。 呆れるかもしれないがあんなんでも天使だ」



「私の中の天使様の像が音を立てて崩壊していきます」



ティアラはどうやら心のダメージを負ったようだ。 ただ、呆然と引きずられていくガブリエルを見ていた。













なんだかんだやってるうちに外は明るくなっていた。

問題は多々あるがとりあえずパーティのメンバーが久しぶりに顔をあわせることができた。































「皇帝陛下、失礼します!」



レイラの部屋にナタが入ってくる。



「どうしましたか? あの事件のことは昨夜の会議で…」



「はい。 そのことですが、アルシノエ王国の国王から手紙が届きました」



「アルシノエ王国から?」




混乱の渦中にあるアルシノエ王国からの手紙。

レイラはナタからそれを受け取り、それを読む。

しばらく沈黙が続き、読み終わったレイラは顔を上げる。



「失礼ですが、なんという内容だったのですか?」



ナタはレイラにきく。



「…アルシノエ王国で今回の事件の首謀者を捕らえたようです。 その者は即刻極刑が決定したそうで、その首謀者の刑執行に各国の代表を招待するというものでした。 それと謝罪の場と事件の最終的な報告のため再び世界会議を開きたいと」



「首謀者を逮捕ですか? それはあの大臣の一味ということですか?」



「それはわかりません。 ですが、おそらくアルシノエ王国としては各国からの疑いの目をどうにかしたいということでしょう。 恐らくその犯人が本物であろうが、偽物であろうが」



アルシノエ王国は今回起きた各国の要人大量殺害事件の結果、各国の信頼が揺らいだ。 というよりも世界中の国々がどこかの国の陰謀ではないかという疑心暗鬼に陥っている。 中でもアルシノエ王国は事件の起きた場所であり、一番疑われているのだ。 今回の首謀者逮捕は本当かどうかわからないが、自分たちは潔白だと証明したいのだろう。



「ナタ、私はアルシノエ王国に行きます。 出かける準備を」



「しかし!」



ナタの言いたいことはわかる。

まだ危険で父や兄の二の舞になりかねないと言いたいのだろう。



「言いたいことはわかります。 ですから、ティアラたちをここに呼んでください」



私はこの国のトップなのだ。 私が恐れていてはなにも始まらない。 何かしないと、なにも始まらない。

だったらこの提案に乗るべきだ。 私の因縁の地アルシノエ王国へ





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