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第69話 再びその名を聞くまで!

「ん、 あれ… ここは…」



「目を覚ましましたか。 ルナ様、身体の方何か異常はありませんか?」



目を開けると見知らぬ天井が目に入った。

そして、起きた私をイヴちゃんが覗き込んでくる。



「うん、ちょっと身体は重い気がするけど大丈夫だよ… あ! 教会は!?」



まだ寝起き特有のふわふわした感じで思い出すのに時間がかかったが、大事なことを思い出す。

私は街で他の冒険者と一緒にミノタウルスの相手をしている時に逢った男の子に頼まれて教会から逃げ遅れた人を助けに行ったのであった。

しかし、そこにいたのは街で暴れていたミノタウルスよりもひと回り大きく強さも段違いなミノタウルス出会った。

そして、追い込まれた私はメアリーからもらったとっておきの薬を使ったのだが、そこから記憶がない。

するとイヴちゃんが私が気を失って今日までのことを話してくれる。
















「そっかー。 私、1週間も寝てたのかー。何しにしてもよかった、 教会のシスターさんや子供たちも無事で。でもごめんね、手伝いいけなくて」



「いえ、ルナ様は大活躍だったので復興のお手伝いは大丈夫ですし、ギルドの皆様もルナ様に大変感謝しており、ルナ様の分まで働くと意気込んでました。 今はゆっくりと身体を休めるのがいいでしょう。 それでは私は担当医を呼んでくるので。 今日はもう遅いので明日ティアラ様ともう一度訪ねますので。 それでは、また」



「うん、いろいろありがとね」



ぺこりと頭を下げ、イヴちゃんは部屋を出て行く。

そしてしばらくしてイヴちゃんが言っていたお医者さんらしき人が来て、あれこれ質問される。 私はそれに答え全てが終わる頃にはどっと疲れが押し寄せて、眠気に襲われる。 我ながら1週間も寝てたのにまだ眠くなるかと呆れる。

私はベッドに喋るために起こしていた身体から横になり、あれこれ思考を巡らせる。

イヴちゃんは私が気を失っていた間のことを話してくれた。

結果として事件はその場しのぎの解決はしたものの、またどでかい問題が発生してしまったようだ。

さらに悪いことは続くものでソウタが行方不明らしい。

心配なのは確かなのだが、不思議とそのうちひょっこり帰ってくるという気がした。

今までだってそうだったんだ。 今回だってそうに違いない。



考えを巡らせていたら余計に眠くなり、私は睡魔に身を委ねそのまま眠りについた。






















ガヤガヤとした酒場とは全く逆な、静かな路地裏にこじんまりとあるお店そこに吸血鬼の中の吸血鬼、自称最強の吸血鬼ルークとポルタの街のシスター、セリアの姿があった。

いわゆるバーのようなカウンターのあるお店なのだがそこまで洒落たもんではなくどちらかというとスナックのようなそんな酒場で2人はいた。




「また物騒な世の中になったものだ。 いつの世も戦争が大好きなのだな、人間という種族は」



「あなたは違うんですか? ルークさん」



「我は人間などすでに超越した存在であるからな。 あー、でもよかったー。 魔王とか止めといて。 今頃侵略の事で大忙しだぞ?」




「本当に元魔王とは思えませんね」



クスクスと笑うセリア。




「ルークさんは昔からこうなんですか? メアリーさん」



セリアはバーのマスターもとい、スナックのママに話を振る。

メアリーと呼ばれた女性はフフっと笑い答える。




「彼は昔からまぁそうだった言えばそうね。 女にしか興味ないってのはね。 だって彼、確か人間界に進行してきたか理由だってたくさんの女性を自分のそばに置くためだったんだからね」



「ふん。 何を昔からずっと見てきたかのように偉そうにいっている。 貴様が我を知っているのは精々ここ200年ほどの話だろう」



面白くなさそうにそう言ってグラスに口をつけようとするが中は空になっていた。

それを見たメアリーはルークのグラスに真っ赤な飲み物を注ぐ。



「200年でもあなたを知るには十分だわ。 それどう? なかなか貴重なのよ『森精の血』」



「女のエルフのみならいいが、これミックスじゃないか。 全く誇るんならそれくらいのものを持ってくるんだな」



物騒な会話をしている2人。

ちなみにセリアが飲んでいるのは普通のお酒だ。 セリアはシスターであるからお酒とかはまずいんじゃないかという疑問は『吸血鬼と一緒に行動している人間が今さら背教とかないですから』らしい。



すると、突然、そうだ! とメアリーが声を上げる。



「エルフで思い出したけどこの騒動が起こる前にね、 可愛いエルフの子が来たのよ!」



「貴様のあの胡散臭い道具屋にか? よっぽどの変わり者とみえるな」



「私の知り合いの紹介できたんだけどね、 名前はなんて言ったかなー、えーっと… そう! ルナちゃん!」



その名を聞いた途端ルークは急にむせこみ、セリアはまぁと驚いていた。



「あら? 二人とも知り合いなの?」




「あのイカれた娘がここに来たのか?」



「イカれたなんてルナちゃんが可哀想よ。今回彼らは魔王というよりは『戦争屋』相手に戦ってたみたいだけどそいつらと戦うために便利な道具をね。 それに皇都の騒動を解決したのはルナちゃんたちよ」



「ふふ、ポルタの街を出た時にはまだまだ初々しい冒険者というイメージでしたが、そこまで成長したんですか」



とルークとは対照的にセリアは楽しそうだ。



「まぁ何はともあれあの者たちに会ったところで別段問題はなしか。 それよりシスター・セリア、お主はここに泊めてもらえ。 我は例の笛のあると思われる場所の下調べをしてくるのでな」




「ルークさん? 本当に『下調べ』なんですか? ダメですよ? 皇都の女性に迷惑かけてしまっては」




なんというかとても鋭いセリアに言葉を失うルーク。

この旅の途中幾度かチャンスをうかがい行こうとしたのだが、ことごとく邪魔されている。

まさにセリアは対ルークに特化したバンパイアキラーであった。



「わかった… 心しよう…」




そういうとルークは皇都の夜の闇の中へ姿を消してしまった。














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