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第61話 大臣の悪事を暴くまで!

「さっきと明らかに動きちげーじゃねーか! あぶなっ!」



俺は紙一重でドラゴンの爪の攻撃をかわす。 ドラゴンは先ほどとは比べものにならないほどの動きを見せていた。 スピードもパワーも桁違いだ。 あの女、弱りかけのドラゴンに何したんだよ!

そんなさなか鞄のなかから着信を知らせる音がなる。



「ルナか? 今忙しいんだけど!?」



ルナからの電話であった。 どうやら向こうは向こうでミノタウルスのことを調べまわっていたようだ。

俺は攻撃をかわしつつ、ルナに現在のっぴきならない状態なのであとにするように伝える。



「おい! ハヤカワソウタ!! 貴様は何をやってるんだ!」



前線でドラゴンの注意を引いているサーニャがブチ切れる。



「サーニャ、ブレスくる!」



フーカの声にドラゴンの頭部をみると今まさに炎を吐こうとしているとこだった。

貯める時間も短くなってるじゃねーか!

さすがのサーニャも先ほどのようにカウンターを打てずに距離をとろうとするが間に合わない!

すると





「『天界の羽衣(ブレセッド・タバード)』!!」




ガブリエルが魔法を唱えると、光の壁が現れるドラゴンのブレスを防いでくれる。




「礼は言わんぞ」



「相変わらず、ツンデレちゃんは厳しいな〜。それにしても君たち本当に厄介なもの持ち込んだね〜」



みると先ほどドラゴンに何か細工した女性はドラゴンの後ろにいる。



「持ち込んだもなにも、フーカたちは飛ばされた。 むしろここに来るまでにドラゴン弱らせたことに感謝してほしい」




「そのドラゴン、 今や無双状態だけどね〜」



「あれは、ガブリエルのせい。 あの変な女が変なことしなければこうはならなかった」



「な、なにを〜! こっちだって世界の平和のためたたかってたんだからねっ!」





攻撃を凌ぎつつガブリエルとフーカはお互いに責任の擦りつけあいだ 。 みるとサーニャが遠目でわかるほどプルプル震えてる。 本当にかわいそうだ。



「ともかく! このドラゴンを倒さなきゃいけないんだろ? 何かいい方法はないのか!?」



「うーん、彼女倒せばおそらくこの強化されたドラゴンも元に戻ると思うんだけど… 彼女、植物魔法使いでね。 多分このドラゴンも植物を脳に埋め込まれて強化されてると思うんだよねー。 ほら、さっき頭に種みたいなのつけてたでしょ?」



ガブリエルはそう言って自分の額を人差し指でトントンと叩く。




「とは言ってもあの女倒すのにはこのドラゴンどうにしないと近づけない。 それとサーニャがそろそろ限界。 早くした方がいい」




フーカはサーニャを指差す。

みると、確かに肩で大きく息をし、疲労が溜まってるのがわかる。

もちろん俺らも戦ってはいるのだが、ぶっちゃけ手が出せないでいた。 遠距離魔法も避けられてしまう始末で、相手の牽制程度にしか使えない。 なら接近戦で戦うしかないのだが、相手は先ほどと比べものにならないくらい俊敏でガブリエルやフーカはなんとかついていってるみたいだが、俺は全くダメであった。 なので、接近戦が得意で、しかも高速で動けるサーニャの負担が大きくなっているのだ。

でも、早くどうにかしないといくら強いといえどサーニャもあのドラゴンの攻撃をまともに食らったらただでは済まないだろう。



「ソウタがあの女どうにかして。 フーカたちがあのドラゴンの相手をするから」



「そうだね… それがいいかもね」



フーカの方からそう提案すし、ガブリエルも賛同する。



「で、でも…」



「ソウタの強さはまだまだ。 あのドラゴンをソウタじゃ相手できない。 でも、あの女1人ならソウタでもなんとかなるかも」



「まぁ彼女、魔力は結構あるみたいだけど戦闘派の人間じゃないからそうかもねっ。 まぁ私と比べたら魔力の量もまだまだ、だけどね〜。 なんせ私は大天使様だから」




つまりドラゴンとの戦いには足手まといだから首をつっこむなということらしい。 反論したいところだがそれが事実だ。 俺は納得はしないが、その案に了解する。



「わかった。 俺は俺でやってみるよ」



「これも修行のうち。 頑張って。 頑張ったらきっとおいしいご飯が待ってる」




と拳を突き出すフーカ。

俺はそれに拳を当て返す。



「頑張ってねっ。 ソウタくん♪」



ガブリエルも同じように拳を突き出す。

俺は同じように当て返すように見せて、



「『魔力喰い(エナジー・イーター)』」



と魔法を唱える。



「あがっ!? なに!? なんなの今の!?」



「おお、うまくいった」



「ソウタよくできました」




と俺にかがむよう言って俺の頭を撫でるフーカ。 ガブリエルはなにがなんだか、わからないといった様子だ。




「いや、実はフーカと今『師弟関係』にあってな。 フーカに色々技とかそういうの教えてもらってるんだよ。 で、今のはお前の魔力を少しもらったんだよ。 いいだろ? さっきも自分は有り余ってるって言ってたし」



と、シレッという俺にムキーッとガブリエルは怒った。



「あるとかないとかの問題じゃないよっ! ソウタくんのえっち! スケベ! もうキリちゃんに言いつけてやるんだからっ!」




とむくれてしまった。 ただ、ガブリエルのおかげで、『魔力喰い』のコツもなんとなくつかめたし、魔力も回復した。 後はあの植物使いの女と頑張って戦うだけだ。 と思ったらあいつの姿が見えない。 残念ながら俺には追跡スキルを持っていない。 一応前に使った『追跡(トレース)』の魔法はあくまで人を追う魔法であって、一個人を特定して追うことはできない。



「ソウタ、忘れてる。 フーカはソウタの師匠」



突然そう言いだすフーカ。

それはわかってるんだけど…



「だったらここ使えるはず」



と自分の鼻を指差す。

鼻?

ああ、匂いか!

でもいくら弟子とはいえ、俺にはフーカみたいな鼻の良さは持ってないんだけど…

そう言おうとするとフーカはギルドカードを見ろという。

俺のギルドカードを見てみると、先ほど教えてもらった『魔力喰い』の他にもう一つ魔法を覚えていた。



「『ご馳走の匂いの方へスメル・フォー・デリシャス』? なんだこれ? これであいつを終えるのか?」



「わからない。 フーカのは魔法じゃないから。 でも、もしフーカと同じようなのだったら1度嗅いだことある匂いは追える」



「においだったらこれなんかどう? 私がさっき彼女と戦っていた時に着いたやつ。 物騒だけど血のにおいで終えるんじゃない?」



とガブリエルは自分のトーガを見せる。 血のにおいを嗅ぐのは抵抗あるがそれしか手がないので、俺はにおいを嗅がせてもらう。



「なんか、私たち2人特殊な性癖あるみたいだよね、これ」



ガブリエルはわけのわからないことを言っているが無視して俺は植物使いの女を追った。




「それじゃあ後は任せた!」










































「さぁ観念してください。 そして大人しく投降してください」



ティアラは他の2人よりも先に大臣の部屋へ到着していた。



「いきなりなんなのかね?」



大臣の声色には焦りなどはないように聞こえる。しかし、ティアラには前とは違いみんながかき集めた証拠が今回はあった。



「あなたのことは先日遭遇した商隊の人たちや北の門の兵士の方々が証言してくれました。 あとナタさんの残した活動記録が」



ティアラは図書館で借りてきたナタのここ最近の活動記録の本を大臣に見せつける。 そこにはナタが調べた大臣の不可解な動きについて細かく書かれていた。それを見た大臣の眉がピクッと動く。



「近衛兵の何人かとナタさんが昨夜から行方不明です。 何か心当たりは?」



大臣は黙ったままだ。 ティアラは再度尋ねる。



「いえ、聞き方が違いますね。 ナタさんたちをどこへやったんですか?」






しばらくの沈黙が流れ、ふぅと大臣がため息をつき、いった。



「さすがは皇帝の右腕と謳われた、ケント殿の娘だ。 お見事。 近衛兵と副団長なら知らんな。 なんせドラゴンのエサ用に私の研究所に持ってったからな」




ティアラは剣を抜き大臣の方へ向ける。 どうやったかはわからないが近衛兵とナタを蹴散らしたのだ。 油断はできない。



「私の計画を見抜いたことは褒めるが、だがしかし少し遅かったな。 外を見てみるといい



そう言って大臣は窓の外をみる。ティアラ大臣とは違う窓から、警戒しつつ窓の外をみる。



「なっ!」



街の様子は一変していた。

あちらこちらから火の手が上がり、恐怖に慄く人たちの悲鳴が聞こえる。

その原因はここからでもわかった。

角の生えた魔物が街の至る所で暴れていたのだ。



「皇都ももう終わりだな。 そしてティアラ殿も」



大臣はいつの間にか手にしていた。 注射器を自分の腕にプスリと刺した。

するとみるみる大臣の体が盛り上がっていったのであった。










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