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第5話 恩人に恩返しするまで!

畑の魔物退治から1週間。

ルナの献身的な治療もあってか、傷はほぼ塞がった。


「ソウタ、私が回復魔法とかいろいろやって手当てはできる限りしてたんだけどそれにしても傷治るの早いよねー」


感心したように俺の傷口をみるルナ。

うーん、これも異世界からきた勇者としての特典なんだろうか、というか神さま代理の派遣勇者なんだけど。



「まぁ何はともあれ、これで無事クエストだったりなんだったりができるってわけだ」


よいしょと、ベットから立ちいろいろと身体を動かしてみる。

よし、問題なく動きそうだ。


「とりあえず、服…というか防具買いに行かなきゃな。ジャックパンサーに破かれちまったし」


「それなんだけどね、ソウタ」


と、ルナは袋の中からなにか取り出す。


「おお!」


俺は思わず感嘆の声を上げた。

ルナが持ってきたのはジャックパンサーに破かれたはずの勇者の服だった。しかも、まるで新品のような様に綺麗になってる。


「これ、ルナが破れたとこ縫ってくれたのか?」


しかしルナは首を横に振る。


「違うよ、私もそうしようと思ったんだけど、血を洗ってみてみたら最初から破けてなかったみたいに綺麗になってたの」


「あれ、確かにあの時破けたよな?」


「うん、私も見たからおかしいなと思って」



よくわからないが、この服自動再生機能でもついてるのだろうか。やはり、勇者の服というだけあっていろいろと高性能らしい。



「ソウタはこれどう思う?」


「まぁもともとこの服は俺のいた国から持ってきたものなんだが、俺もわからん不思議素材を使ってるらしい。多分その作用だろう」



と、適当に答えておく。

さすがにここんところの冒険で気心が知れたとはいえ、『神さまに頼まれて異世界からきた勇者です』なんていってもルナに信じてもらえないだろう。



「そんなんだ、そういえばソウタの国って東の島国だよね?」


「そうだよ、ここからずーっと東の果ての小さな島国さ」


「ねえねえ、どんなとこか教えてよ!」


ルナは興味津々に聞いてきたので日本のことをいろいろ話してやった。魔法よりカガクが進歩してること、魔物がいなくて人が平和に暮らしていることなどルナは信じられないといっていたが、楽しそうに聞いてくれた。




「いってみたいなー、ソウタの国」


「ああ、いつかいけるさ。とりあえず今は目先のクエストだ!」


そう言って部屋を出てギルドに向かう。ちなみに前回も今回もルナの家で世話になっていたのだ。

よくよく考えてみると合わせて2週間くらい女の子の家に泊まっていたことになる。

現実の世界じゃありえないことだ。




ギルドへいき、様々なクエストが張り紙として貼り付けてあるクエスト依頼板のところへ行く。


「うーん、簡単そうなクエストないかなー」


「なぁルナ、そろそろクエストの難易度上げてもいいんじゃないか? ほら、この大きなイノシシの魔物討伐とか」


「ダメだよ! またソウタが危険な目にあうかもしれないでしょ!」


なんか瀕死になるたびルナがどんどん過保護になる。

…このまま勇者やめてルナに世話されながら暮らした方がいいのでは?

そんな現実逃避としか思えない考えが出てくる。

自分でも思うが、つくづくクソ人間だな。



俺がこれからについていろいろと思いを廻らせている間にルナは受付の方にいき、簡単で危なくないクエストを聞きにいっているみたいだ。



そんな様子を遠く目に見ていたのだが、誰かにぶつかられた。

ずっと依頼板の前に立っていたから人の邪魔になってしまってしまっていたのだろう。



「ああ、ごめんなさい。(わたくし)の不注意で!!」


「あ、いえ。こちらも邪魔なところにすみません」


そういってぶつかった人の方をみる。


「あれ? セリアさん?」


「ああ、ソウタさんでしたか。お怪我はありませんでしたか?」


そう、ぶつかってきたのは我らが天使セリアさんだ。

セリアさんはすみません、すみませんと何度も謝っている



「い、いえ、怪我とかは大丈夫ですよ。それよりなんでこんなところにいるんですか?」


俺は気になっていたことを素直に聞いてみた。


「あ、はい。実はギルドの方に依頼したいことがあってきたのですが…」


「依頼ですか?」


なんだろう、冒険者に依頼しないといけないような仕事なんだろうか?

すると受付のお姉さんと話していたルナが帰ってきた。



「いやー、ソウタ、やっぱ簡単そうなクエストなかったよ」


そのルナの報告を華麗にスルーして、俺はセリアさんの手を取り


「ぜひ、俺にそのクエストやらせてください!!」










「ソウタったら、全くもう!!」


ルナはずーっとむくれている。



「まあまあ、いいじゃないか。探していた簡単なクエストじゃないか」


「そうなんだけどさ! ソウタってば大きい女の人だとすぐひょいひょいついていって!!」


「べ、別にそれが理由じゃねーよ! セリアさんには前にもお世話になったし、いろいろ恩返ししようと思ってたところなんだよ」


「ふーん、そーなんだー」



どうやら、信用されていないらしい。




今回俺らがセリアさんに頼まれたクエストは夜の墓場の調査である。


セリアさん曰く、最近夜の墓場に怪しい影が現れるという。その正体を調べてきてほしいとのことだ。


今回はその影の正体を調べてくるだけのクエストなので危険な目に合わないだろうと、ルナを説得してきたのだ。






実際墓場についてみると見事に期待を裏切らない不気味な場所だった。


「よし、さっさと正体暴いてちゃっちゃと帰ろうぜ」


「うん、そうだね」


「そういえば、ルナお前怖いのとか大丈夫なのか?」


「うーん、まぁね。エルフの血のおかげで暗闇でもある程度見えるからね。それに幽霊とエルフの扱う精霊は似たようなもんでしょ?」


なるほど、エルフはお化けを怖いとは思わないのか。


「そういうソウタは怖くないの?」


「ああ、大丈夫だ」



日本の、俺のいた街は寂れていたので真夜中にうろつく人間などほとんどおらず、まるでゴーストタウンのようになる。だから、不気味な空間には慣れているのだ。



そんなことを話しながら墓場をまわっていたのだが、ある1つの墓、十字架の後ろになにかうずくまっているのを発見する。



「そ、ソウタ、あれじゃない? 怪しい影って?」


「た、多分そうだな。よし調べるぞ」



ルナは怖いのは大丈夫とは言っていたが、声が上ずってい…それは俺もか。



もし襲いかかられてもいいように武器をいつでも抜けるように構えながら、影に近づく。



近づくと黒い布をかぶった塊のようだった。勇気を振り絞りその塊を手で叩いてみる。

すると、



「ひやあああああっっ!」



と、悲鳴をあげながら俺に抱きついてくる。


「あれ? セリアさん」


ルナがそういう。

俺も抱きついてきた黒い塊を見てみると涙目になったセリアさんだった。






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