表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
57/114

第56話 修行に挑戦するまで!

「で? 折角の『師弟制度』を利用してフーカに弟子入りしたわけなのだけども… なにこれ?」



次の日、俺の師匠役をかってくれたフーカに従うまま、クロエの家の食卓につかされていた。

そして目の前にはクロエの協力の元、作られた満漢全席。



「どうするもなにも、これを食べる」



「1人で?」



「もちろん」



「うふふ、夢だったんです! こんなにたくさん料理を作って食べてもらうの! はぁ〜幸せ…」




クロエは自分の趣味を思う存分できて楽しかったのか、うっとり顔で明後日の方向を見ている。

一方のフーカはヨダレを垂らしながら、俺に早く全部食べるように催促する。



「いや、ちょっと待って! さすがに腹が減っては戦はできぬとはいうけど、これは量多いでしょ! これ食べたら胃がパンクするよ!?」



「これも修行のうち。 ソウタにはフーカの『限りない食欲』を覚えてもらう。 それにはまずいろいろなものをいっぱい食べれるようにならないとダメ。 さぁ早く」



と無理やり手羽先を突っ込んでくる。

修行ってもっとダンジョンとか潜って敵を倒してとかそんなの想像してたんだけどこれじゃあ完全に相撲部屋じゃねーか!



もちろん、口を塞がれた俺はそんな事を言えることもなく。フーカにどんどん突っ込まれていく。










空腹の辛さと満腹なのにどんどんご飯を食べさせられる辛さこれは贅沢な悩みなのかもしれないが、後者のほうが断然辛いと俺は思った。
















「うぷっ… く、苦しい…」




「全く情けない。 クロエ、ありがとう。 美味しかった」



「いえいえ、お粗末様。 ソウタさん待っててくださいね。 今、胃腸の薬を持ってきますから」



そう言ってクロエは階段を登っていく。

あの後結局俺はほとんど食べれずに、フーカがほとんど食べてしまった。

本当どんな腹してるんだよ…




「仕方がない。 本当はもっと食べたか… じゃなかった、 食べて欲しかったけどいいとしよう」



今食べたかったって言いかけたよな?

なに?

修行と言いつつただ自分が満漢全席を食べたかっただけってこと?


とんでもなく不安になってきた…
















「まぁそれは置いといて。 今のソウタに実際『限りない食欲アンリミテッド・グラトニー』は難しいけど、これならできると思う」



と握手を求めるように手を出してくる。

わけがわからないがとりあえず俺も手を出してフーカの手を握ってみる。

すると、




「うっ!?」



俺は膝から崩れた。

というよりなんだか身体が急に気だるくなったような…!




「この『魔力喰い(エナジー・イーター)』ならやり方を教えればソウタでも簡単に覚えられる」



それワザ使う前に言ってよ。

身構えたりとか心の準備とかあるじゃん!



そこにクロエが上から戻ってきてなぜ俺が床に突っ伏しているのかわからないといったように首を傾げている。




俺はクロエが持ってきた薬を飲み、さらにクロエが入れてくれた消化を助けてくれるハーブティーを入れてくれる。




「さっきの『魔力喰い』は簡単に言えば相手の魔力を吸収するワザなんだな?」




俺はクロエの出したお菓子を頬張るフーカに聞いた。



「そう。 うまく使えば相手の使った魔法も吸収して無力化できる。 それに自分は魔力を回復できる、便利なワザ。 実際『限りない食欲』も『魔力喰い』の応用編」




「なるほどなー。 つまりはこの『魔力喰い』を習得できれば『限りない食欲』も夢じゃないと…。 なんだかんだ大変そうだなー」




「そこは努力あるのみ。 フーカは厳しく行くから。 それじゃあ夕飯も満漢全席で…」



「それはやめて!」



俺は命の危機を感じ、フーカに懇願する。 一方のフーカはふてくされたようにしょうがないと言って納得してもらった。

俺はそのあとなんとか動けるようになったので昼までにお腹を空かせようとフーカに模擬戦の稽古をしてくれるように頼んだ。 最初はフーカも乗り気じゃなかったが、クロエがフーカのために夜も奮発するというので俄然やる気になってくれた。

このままだとどんどん出費がかさんで一文無しになりそうなことクロエわかってるのかな?

おれはお金の使い方に意外ではないけど無計画なクロエの心配をする。

まぁ今はフーカをやる気にさせてくれたのに感謝するとする。




一応模擬戦とのことで、武器は俺は木刀を使い、フーカは長い木の棒を使う。

お互い構え相手の出方を伺う。

するとフーカがこちらとの間合いを一気に詰める。 もちろん俺だって黙ってやられるわけにはいかない。 俺は相手の棒さばきを防ぎ、相手の懐に入る。 リーチで言うならばもちろん棒のほうが長いのだが、ここまで距離を詰めれば剣に有利になる。 俺は木刀を振るい相手の横腹に一撃をくらわそうとするが、



「な!」



どうやってそんな長い棒を操ったか知らないが防がれてしまう。

そしてその棒を地面につけ、それを軸に思いっきり回し蹴りをくらい、吹っ飛ばされてしまう。




「がはっ!!」



「はぁ、まだまだだね。 それに動きが前より悪い」



と、やれやれとこちらへ近寄ってきて倒れてる俺に手を出してくれる。



俺は素直にその手に頼ろうとするが、




「あがっ!!?」



途端に力が抜ける。

こいつ… いい性格してるな!




「ほら、次。 動いた方がご飯は美味しくなる」



「やってやらぁぁ!!」

















こうして俺はフーカとの組み手をこの後何本もやったのであった。

結果は想像に任せるとしよう。














「全くこれじゃあ師匠として恥ずかしい」



俺はクロエに手当てしてもらいながらフーカから説教を受けている。



「剣術に関しては素人同然なんだよ。 まだ春に始めたばっかりで、今は夏の終わりだろ? 半年も経ってないんだよ」



すると、クロエが驚いたように言う。



「え!? そうなんですか? だったら覚えるの早いですねー。 半年も経たずにあそこまでできるなんて! 私なんて何年もこの街に住んでるのに未だに『転移魔法陣(トランスゲート)』の使い方慣れないのに」




と肩を落とす。

それは性格的なものも関係してると思う…。




「まぁ俺の場合は装備のおかげってのもあるな。 この剣と服は装備してるだけである程度の武術は身体が勝手に動いてくれるっていう効果があるんだ。 だからフーカがさっき言ってた前より動きが鈍いっていうのはあの剣じゃなくて木刀を使ってたからだろうな」




「そんなんですか? 便利なものもあるんですねー。 それを持てば私も強くなりますか?」



と俺の剣を持つクロエ。




「まぁ使えればな。 でもその剣抜くはいいけど、抜いたら抜いたで魔毒みたいなのが出るから生身の人間が抜いたら気分悪くなるよ」




「えっ! 危ないじゃないですか! ソウタさんは大丈夫なんですか!?」



「んー、特になんともないな。 おそらく特異体質とかそんなもんだろ」




まさか異世界人だからなんて言えるわけもなく、適当に誤魔化す。

クロエは特に疑問も持たず納得してくれた。




「まったく、武器に頼ってるようじゃダメだ。 根性が足りない」



そういうフーカはクロエが作った料理を早速摘み食いしている。




「クロエ、ソウタのやつが終わったらごはんにしよう」



ほんと食べることしか頭にない娘だなー。

もしゃもしゃと口の中を動かすフーカを見て改めてそう思った。



























「うーん、結局ギルドでは特にこれといった情報はなかったね」




「はい。 しかし、昨日その謎の怪物を倒した冒険者がいるとの情報がありましたが、信憑性はかけるとのことです。 その場に駆けつけたのが皇都の兵士で、国のでその件は処分されたのであまり情報が出回ってないというのもありますが」



とイヴは今日唯一手に入った有益そうな情報をいう。

しかしこれも本当かどうかわからない。




「それならこれから大臣に聞くのもいいかと思います。 デマならデマで、また振り出しに戻りますが、その時は根気よく探しましょう」



「それじゃあとりあえず大臣のところだね!」





ルナ、ティアラ、イヴの3人はギルドからの帰り街の中央区にある『中央駅セントラルステーション』近くのオープンテラスのカフェに来ていた。 3人はとりあえずギルドの成果をまとめてみるのだが、どれも使えそうなネタはなく、角が生えた牛だとか鉄の棒を振り回す巨人だとか肉弾戦のみで戦うとか多彩な魔法を使うとか証言がバラバラだったのだ。 それに唯一使える情報としては最近北の森付近の街道にその化け物が出現し、ランダスの街から山脈を越えてきた商隊を襲ったらしいのだ。

しかし、偶然近くにいた冒険者によって見事倒されたらしいのだが、死体はなく、冒険者も名乗らなかったので結局嘘なんじゃないかという話だ。

しかし、それは後から現場を見に行った人間が話したことで、なんでもその人よりも前に皇都の兵士たちが現場処理をしており、詳しいことは兵士たちの方で事件のことはあまり教えてくれなかった、ということだ。









休憩もそこそこに3人は再び城に戻り、大臣のところにいって話を聞くことにした。














「話はレイラ様から聞いておる。 怪物の件について知ってることがあるなら教えて欲しいとのことだな」



ハゲ頭に口ひげ、そしてふくよかな体これほどまでに大臣っぽい大臣はいないだろうという容姿の男だった。



「そうなのです。 ロベルタ卿。 何か皇国として入手した情報があったら私たちにも教えて欲しいのです」




「これはこれは。 リューン家のご息女ではありませんか。 大きくなられて。 しかし残念ながら皇国としても例の巷を騒がせる魔物に対してはこれといった情報はなく、申し訳ないのだがそのことではお力になれそうもありませんな」




そう言ってティアラのことをジロッとみる。

しかしティアラは引かずにギルドで聞いたことをロベルタに聞いた。




「しかし、先ほどギルドの方で昨日怪物らしきものが現れ戦後処理を皇都の兵士がしたとのことです。 それについても教えて欲しいのですが!」



「さぁ、それについても知りませんな。 所詮冒険者の噂話まともに相手にしないほうがいいのでは?」




ロベルタは何を言うのかというようにニヤニヤ笑いながらそうティアラに返す。




「…わかりました」




「他に聞きたいことがあるなら聞こうか? 私も多忙の身。 なるべく早くして欲しいですな」




「いいえ、ありがとうございました。 失礼します」




ティアラは引き、ここで3人は大臣室を出た。





結局、3人の本日の収穫はゼロに等しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ