第50話 皇都へ向けて出航するまで!
「遅いよ! ソウタ!」
俺は急いで宿へ戻ると宿の前にはすでにみんなの姿があった。
「悪い悪い、思った以上に手こずって朝までかかっちまった。 それじゃあミーナのとこ行こうぜ」
するとティアラが心配そうに聞いてきた。
「あの、ソウタさん。 大丈夫ですか? 昨晩クエストに出てたなら一睡もしてないんじゃないんですか? それならミーナさんに言って今日じゃなくても…」
「いや、徹夜は慣れてるし、それにむこうついてから船乗るんだろ? そこで少し休めば大丈夫!」
「なら、いいんですけど…」
本当は疲れてすぐにでも休みたいのだが、ミーナは忙しいらしいし、そもそも無理を承知で勝手にクエストに行ったのは俺だし、ここは虚勢を張った。
俺らはそのままミーナのいる研究所へ行った。
「おはよう、 君たち。 準備はできてるかい?」
「おう!」
「そうかい。 それじゃあ始めるよ。 あ、その前にルナとティアラ嬢そしてイヴにプレゼントだ」
そう言って3人になにやら渡すミーナ。
「あのー、ミーナさんこれは一体?」
ティアラが長財布くらいの大きさのものを受け取りわけがわからないというふうに聞く。
まぁいきなり謎の道具渡されたらそうなるよな。
「それはだな。 ソウタの持っている通信道具を参考にして作ったものだ。 もちろんソウタの『すまほ』とかいうのよりも性能は落ちるが、連絡を取るだけなら十分使える」
「そうなの!? ミーナさんありがとう!!」
そう言ってルナはミーナに抱きつく。
にしてもすごいな。
この短期間で連絡機能だけとはいえスマホを3台も作るなんてほんとすげーな!
「これから必要となってくるだろ? まぁぶっちゃけこれ作るのに相当時間割いて、ここの施設長から自分の仕事しろー!って怒られちゃったんだけどね」
ははは、と頭をかくミーナ。
一方ルナとティアラはもらった手作りスマホ…というか見た目スマホというよりガラケーなのだが、まぁどちらも携帯電話というくくりでは変わんないからいいか… ともかくケータイをもらってまるでクリスマスにプレゼントをもらった子どものようにはしゃいでいた。 年頃の女の子はどこの世界に行こうが変わんないんだなー。
「ソウタの『すまほ』みたいにそれぞれに番号付けたからそれをお互い交換すればすぐにでも連絡を取れるようになるよ。 それじゃあ僕はその間に転送の準備するから」
そう言ってミーナは準備に取り掛かった。
「ねぇ、ねぇ、ソウタ! 早く交換? しようよ!」
「わかった、わかったから落ち着けって」
ミーナはどこで知識を得たんだろう? なんとルナたちが持つケータイには赤外線通信機能が付いていた。 俺はとりあえずその使い方を教えて3人と交換する。 そしてご丁寧にもちゃんとホルダーを作れるようになっておりそこへ登録された。 てかこの液晶画面やら文字盤やらはどうやって再現したんだ? わからん。 俺はミーナが実はとんでもない人物で、この人に魔王だの『戦争屋』だの任せれば解決するんじゃないかと思えてきた。
「ほらよ。 これでいいはずだ。 最初に忠告するが用があるときに使うんだぞ。 やたらめったら電話かけまくらないように」
「ソウタさん。 『電話』とはなんなのでしょうか?」
「ああ、 『電話』っていうのはこれを使って相手と話すことだ。 まだティアラたちが持っているやつには『電話』しかないが、俺のには他にも手紙を送る機能だとか、いろいろあるんだよ」
「なるほど、わかりました」
ティアラは慣れない手つきでケータイをいじっている。
まぁ電話だけでも便利ったら便利になるからパーティのみんなが持つということは実際ありがたい話である。
「まぁあとはスイーンの街に行ってからゆっくりやりなよ。 転送の準備はもうできたよ。 僕も仕事が溜まりすぎて早くしないといけないからね」
そう言ってミーナは俺たちを魔法陣の方へ急かす。
俺らはそれに従い魔法陣の真ん中で待機する。
「それじゃあ、みんな元気で。 僕はしばらくこの街にいるから何かまた困ったことがあればこの街に来るといいよ。 あ、それと転送後の着地失敗しないようにね」
ミーナがなにやら道具を操作すると魔法陣が光始め、俺らの身体が宙に浮く。
「おう、 いろいろ世話になった。 ありが…」
「やれやれ、あんな転送中喋って舌噛まないといいけど。 さて、僕も自分の仕事頑張りますか!」
そう言ってミーナは転送装置のある部屋を出て行った。
「あらあら、 お姉ちゃんに着地の仕方を聞かなかったの?」
俺らは気がつくとどこかの部屋の1室へ来ていた。 そして目の前にはキーナさんがいる。
「待って、さすがに重い… 早く降りて」
「ちょっとソウタ! 女の子に重いは失礼だよ!?」
「ルナさん。 それ一番上の人が一番下の人に言っちゃダメです…」
「許容限界です。 爆発します」
「イヴちゃん、ほんと!?」
「嘘です」
「いいから降りろよ!」
そう着地した時、なぜか上からルナ、ティアラ、イヴ、俺の順に重なるように転送されたのだ。 結果組体操のピラミッドが潰れたような形になり、一番下の俺がもっとも被害を被った。
とりあえず上のルナから順にどいていく。
たく、転送があんな急なもんだとは思わなかった。舌噛んだし。
「ふふふ、とりあえずようこそ、スイーンの街へ。 ソウタくんとルナちゃんは久しぶりね。 ええと、あなたがティアラちゃんね? 私はキーナ、キーナ・ウィルキンスよ」
「あ、初めまして。 ティアラです」
とティアラは自己紹介をしぺこりと頭をさげる。
あとは、とキーナさんがイヴの方を見る。
「あなたも初めましてよね。 イヴちゃん。 まさか私に妹みたいな娘が出来るなんてねー」
とキーナさんはイヴの頭を撫でる。
「はい、よろしくお願います。 キーナ様」
「ダメ! 呼び方はお姉ちゃんじゃなきゃ許しません」
とキーナさんはイヴにダメ出しをする。 イヴもイヴで、わかりました、お姉ちゃん。と返事をする。
以前この街を訪れた時はミーナと一緒にいる時間が長かったためキーナさんとはあまり接点がなかったが、この人はこの人でめんどくせー。 姉妹揃ってクセがありすぎるだろ…
「それじゃあ本題に入ろうかしら」
そう言って再会を喜んだところで話を始める。
「みんなは皇都に行くのよね? 皇都行きの船は今日の昼過ぎに出るわ。 それまではこの家でゆっくりしていって」
転送された場所はどうやらミーナとキーナさん2人の家らしい。 ここに来るのも久しぶりだな。
こうして俺たちは船が出るまでキーナさんにお世話になり、時間が来たので俺たちは船着場へ向かった。
そして、見送りにはキーナさんが付いてきてくれた。
「あ、そういえば、確か運賃高かったんじゃなかったか? 全員分のお金あるのか?」
俺は以前来た時船が出てる出てないに関わらず乗るお金がなかったことを思い出す。
「うーん、あの時よりだいぶ持ってるから乗れるとは思うんだけど…」
ルナもうーんと唸ってしまう。
「運賃なら大丈夫よ。 ちょっと待っててね」
そう言ってキーナさんは船着場の人のところへ行き何か話している。
そしてしばらく話し込んだあとこちらへ戻ってきた。
「タダで大丈夫そうよ。 今回はルナちゃんが踊らずに済みそうね」
とルナに笑いかける。 ルナは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「どんな裏技つかったんですか!? キーナさん!?」
「ちょっとね。 航路を邪魔していた魔物をどかすのを手伝ったのよ。 さぁ乗った乗った!」
この姉妹やっぱはんぱねー。
俺は内心戦々恐々するのであった。
「キーナさんありがとうございました!」
「こっちもちょっとだけだったけどまた会えて嬉しかったわ! そうだ! お姉ちゃんが作った通信道具、私の番号も最初から入ってるから何かあったら連 力になれることがあればいつでも連絡ちょうだい!」
「わかりました!」
俺たちは出航する船からキーナさんに手を振る。
こうして俺たちは皇都ミタリアへ向けて出発するのであった。




